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「ゴジラなどの怪獣と人類が戦うにはどうしたらいいのか?」を数学者が考える

by Daniel Ramirez

ゴジラキングコングのような映画に登場する怪獣は現実に存在しませんが、「もしゴジラが現れたらどうやって戦えばいいんだろう」と考えたことがある人も多いはず。カーディフ大学の数学講師であるトーマス・ウーリー氏も、怪獣が現れた時の戦い方について考察しています。

Godzilla, King Kong: films are actually spot on in how to defeat kaijus – mathematician
https://theconversation.com/godzilla-king-kong-films-are-actually-spot-on-in-how-to-defeat-kaijus-mathematician-117333

怪獣映画で描かれる怪獣はどれも脅威的で、倒すのが非常に難しいものに見えます。しかし、数学者であるウーリー氏にとっては、怪獣を倒すことは捕食者と非捕食者の関係に置き換えて考えることが可能であり、根絶したい怪獣の特性を正確にシミュレートすることで人類が作り出すべきものを見つけ出せるとのこと。過去の怪獣映画を見たところ、複数の怪獣を倒すのに有効な2つの案が考えられるとウーリー氏は主張しています。

by mxmstryo

◆1:巨大メカ(イェーガー)を作る
ギレルモ・デル・トロ監督の怪獣映画「パシフィック・リム」には、怪獣迎撃用の巨人兵器「イェーガー」が登場し、グアム沖から現れる怪獣と戦うために環太平洋地域に配備されています。イェーガーの利点として、「完全に人類の制御下にある点」をウーリー氏は主張しています。

もっとも、現実的に考えてイェーガーのような巨大兵器を大量生産することは非常に困難だとのこと。パシフィック・リムを参考にすると、イェーガーは原子力を応用した専用のエネルギーコアを利用しており、法外な建造費用がかかり、設計も複雑です。しかし人類が一致団結してこれらの問題を解決することができれば、怪獣を倒すためにイェーガーを建造するのは実行可能な策だそうです。

映画の中でイェーガーは環太平洋地域に配備されていますが、イェーガーの大量生産が難しい点を考慮すると、複数の怪獣に対し単独のイェーガーで戦う場面が出てしまいます。そこでウーリー氏は、「イェーガーを使用するならイギリスより少し大きい程度の島国に人類を集めるべきだ」と主張。守るべき場所を最小限に抑えることで、より効率的な戦いができるとしています。


◆2:怪獣を作り出す
2019年公開の映画「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」をはじめとするいくつかの怪獣映画では、怪獣たちがお互いに争って激しい戦いを繰り広げます。そこでウーリー氏は、動物を遺伝的に改変して怪獣サイズまで成長するようにし、怪獣を捕食するように仕向ければ、天然の怪獣と人工の怪獣を戦わせて人類の脅威を減らすことができると主張。

この考えの大きな問題は、人類が作り出した怪獣は結局のところ動物であり、制御し続けることが困難だという点にあります。ひょっとすると「ジュラシック・ワールド」の世界のように、人類が作り出した怪獣はそのまま人類の脅威となるかもしれません。また、歴史的に見ても「有害な生物を倒すために別の生物を輸入したら、外来生物が繁殖して生態系などに悪影響が出てしまった」という例は数多くあります。

しかし、ウーリー氏は有害な生物に捕食者を仕向けることで、事態が解決に向かった事例もあると指摘。たとえば19世紀後半、カリフォルニアの果樹園に脅威をもたらした害虫のイセリアカイガラムシを駆除するために持ち込まれたベダリアテントウは、多くの農園主から最も恐ろしい災厄と見なされていた害虫駆除に劇的な役割を果たしました。


怪獣に対抗するために別の怪獣を作り出す策が持つメリットとして、最初の種を人類が生み出したら、後は怪獣が自分たちで繁殖してさらに個体数を増やしていく点が挙げられます。そのため、過去の過ちを振り返って慎重な検討を重ねた上で実行すれば、人類が怪獣を生み出して有害な怪獣を倒すことができるとウーリー氏は考えています。

架空の怪獣と戦うためには、非常にタフで素早く、生物としてのライフサイクルが短い動物が望ましいとのこと。怪獣が世界中に広がった場合、捕食者と非捕食者は持続可能なバランスを見つけて拮抗してしまいがちですが、捕食者の移動スピードが素早ければより早く怪獣を駆逐できるそうです。

過去の怪獣映画を参考にすると、ウーリー氏は「何度もゴジラを苦しめているモスラを参考にして、を遺伝改変した怪獣がいいのではないか」と提案しています。モスラは音速を超えるスピードで空を飛ぶことが可能であり、人間に優しく、ある個体が死ななければ次の個体が誕生しない点も個体数管理の上で有利だとのこと。

by ROverhate

やはり現実的に考えると、怪獣に対抗するにはイェーガーのような巨大ロボで島国を防衛する形が最善の戦略だとウーリー氏は指摘し、怪獣映画のメッカである日本ほどの大きさがイェーガーを使って防衛するのにギリギリのサイズだとしています。また、巨大な力を生み出す際にはフリードリヒ・ニーチェの「怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ。おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ」という言葉を胸に刻み、人類の新たな脅威とならないことが大切だとウーリー氏は述べました。

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in メモ,   生き物,   映画, Posted by log1h_ik

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