ゴジラの巨大化は米軍の軍事費の増加と関係している可能性があると科学者が主張
「怪獣王」の異名をとるゴジラは、今では日本だけでなく世界で畏怖されつつも愛されている怪獣です。ダートマス大学の研究チームは、「『ゴジラという種』の進化速度は通常の生物の30倍」と主張しており、成長について「米軍の軍事費の増加と関係性があるのでは」と推測しています。
A movie monster evolves, fed by fear | Science
https://science.sciencemag.org/content/364/6443/840/tab-figures-data
Godzilla’s extraordinary growth over time mirrors an increase in Anthropocene angst | Books, Et Al.
https://blogs.sciencemag.org/books/2019/05/28/godzilla-king-of-the-monsters/
Godzilla Is Back and He’s Bigger Than Ever: The Evolutionary Biology of the Monster
https://www.dartmouth.edu/press-releases/godzilla_back_hes_bigger_than_ever_evolutionary_biology_monster.html
ゴジラの成長速度に関する研究を発表したのは、ダートマス大学の進化生物学者ナサニエル・J・ドミニー教授と、同大学で自然淘汰などを研究している生物学者のライアン・カルスビーク准教授の研究チームです。2019年5月31日に学術雑誌「Science」に掲載された研究は、初代ゴジラのストーリーの考察からスタートしています。
1954年に公開された映画「ゴジラ」(1作目)におけるゴジラの出自と行動には1945年に終結した第二次世界大戦の爪痕を見て取ることができると研究チームは述べています。ゴジラは東京のインフラを無差別に破壊しますが、これは1944年の冬から1945年の初夏にかけて東京を襲った無差別爆撃のメタファーで、度重なる水爆実験の影響で安住の地を追われたというゴジラのバックグラウンドは、核攻撃を行ったアメリカに対する、戦後まもない日本の反米感情を具現化したものとのことです。
ゴジラの体高は登場以来、増加し続けています。初代ゴジラの体高は50mでしたが、最新作「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」のゴジラの体高は119.8mと、2倍以上にまで成長を遂げています。
《2019 GODZILLA SIZE CHART》
— Noger Chen (@nogerchen) 2019年5月18日
Feel free to share and mention the source.
我用了「世界が終わる、ゴジラが目覚める」作為標題,這是2014年哥吉拉電影宣傳標題的日文版,跟畫面搭起來,極具戲劇張力也很有末日的絕望感。#哥吉拉II怪獸之王 #nogerchen #goodzila #好吉拉 pic.twitter.com/p6cos8ZAFA
研究チームによると、ゴジラはその外見からケラトサウルスの一種という説が存在するものの、両者を比較すると体高の増加率ではゴジラはケラトサウルスをはるかに上回るとのこと。また、野生動物2500種から集められたデータと比較すると、ゴジラは自然淘汰による進化を促す圧力である「進化圧」を他の生物よりも30倍大きく受けているそうです。
もちろん、ゴジラはあくまでも想像上の生き物であり、ゴジラの大きさは制作者次第で変化します。作中に登場するゴジラにしても、初代がオキシジェンデストロイヤーで倒されているように、複数の個体なので、「1954年には50mだったゴジラが、2019年には119.8mに成長した」というわけではありません。しかし研究チームは、「ゴジラの大きさを決定する制作者の心理と、アメリカの軍事費には関連性がある」と主張しています。
以下は縦軸にゴジラの体高、横軸にアメリカの軍事費を置いて関係を示したグラフです。研究チームによると、それぞれのデータから回帰式を推定し、その決定係数を算出すると、値は0.74になるとのこと。推定された回帰式はデータの当てはまりが良いため、軍事費とゴジラの体高の間には相関関係があると主張しているわけです。
2003年のペンタゴンの報告書は、気候変動が水資源と食料生産に打撃を与えており、それによる人々の移住が国際紛争の一因であるとしています。それゆえ研究チームは、気候変動から生まれる国際紛争を調停するアメリカ軍と、気候変動から生まれる自然災害の暗喩であるゴジラの間には潜在的に関係があると考えています。
研究チームは「ゴジラは天災を象徴しており、ゴジラの物語は我々の時代における『教訓的な寓話』といえます。それゆえにゴジラは文化的な象徴であり続けているのです」と述べています。
なお、体長119.8mで過去最大のゴジラが最大のライバル・キングギドラと死闘を繰り広げる「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」は2019年5月31日(金)から絶賛公開中。2014年に公開された「GODZILLA ゴジラ」の続編ですが、前作よりも怪獣バトルのパートに重きが置かれているので「怪獣映画では人間ドラマよりも怪獣が戦ってこそ」と思う人はぜひ劇場に足を運んでください。
映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』予告3 - YouTube
©2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.
・関連記事
新宿・歌舞伎町のど真ん中に出現したゴジラを見てきた - GIGAZINE
ゴジラの雄叫びを歴代まとめて振り返って聞いてみるとこんな感じ - GIGAZINE
ゴジラ・モスラ・キングギドラなど17体の巨大生物たちが乱闘する「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」最終予告編公開 - GIGAZINE
なんと100万円近い庵野秀明プロデュース・ゴジラ雛形レプリカ特別版(1号雛形仕様)「シン・ゴジラ」 - GIGAZINE
シン・ゴジラ第2形態「蒲田くん」がケチャップ用ノズルになって登場 - GIGAZINE
「シン・ゴジラ」公式記録集「ジ・アート・オブ シン・ゴジラ」レビュー、圧倒的ボリュームで1万円を超える価値あり - GIGAZINE
ゴジラ造形の第一人者・酒井ゆうじ氏にアニメ映画「GODZILLA 怪獣惑星」のゴジラについてインタビュー - GIGAZINE
「GODZILLA 星を喰う者」虚淵玄・静野孔文・瀬下寛之鼎談インタビュー、あのラストはどのように生み出されたのか? - GIGAZINE
「GODZILLA 決戦機動増殖都市」静野孔文監督&瀬下寛之監督インタビュー、物語を信じてもらうため制作にこだわり抜く - GIGAZINE
・関連コンテンツ