サイエンス

ガンダムに登場した「スペースコロニー」のモデルがジェフ・ベゾス氏の宇宙進出構想のベースになっている


2019年5月9日、Amazonの創業者兼CEOであるジェフ・ベゾス氏は、自身が所有する宇宙企業Blue Originの代表として会見を開き、2024年までに月面着陸を目指す計画を明らかにしました。そして、その計画の先に見据えた宇宙への移住のイメージはベゾス氏オリジナルのものではなく、40年以上前に1人の物理学者が提唱した壮大な構想をベースにしたものでした。

Why Jeff Bezos's Space Habitats Already Feel Stale - CityLab
https://www.citylab.com/perspective/2019/05/space-colony-design-jeff-bezos-blue-origin-oneill-colonies/589294/

ベゾス氏が5月9日に行った記者会見の全編は、以下のムービーから見ることができます。

Going to Space to Benefit Earth (Full Event Replay) - YouTube


会見の中でベゾス氏は、アメリカの物理学者であるジェラード・オニール氏のエピソードを紹介しています。1969年、オニール氏はある日の講義中、学生に向かって「地球外惑星の表面は人類が太陽系に進出するのに最適な場所なのか?」という問いを投げかけました。


直感的には地球と同じような星の表面は人類の活動拠点になり得そうなもの。しかし、オニール氏とその学生らはさまざまな計算を行った結果、「理論的に不適」という結論に達したそうです。その理由は、まず地球の隣にある火星や金星は地球よりも表面積や重力が小さく、さらにあまりにも遠く離れているために物資のやりとりができないからだとのこと。


そこで、オニール氏は1975年夏、新しい宇宙進出構想を発表しました。オニール氏の構想とは、地球外で人類が生活できるような大規模な宇宙ステーション「スペースコロニー」を太陽・月・地球の中間に位置するラグランジュ点に設計するという壮大なものでした。


オニール氏の考えたスペースコロニーは直径3~6km・長さ30kmもの巨大な円筒で、その内壁に人類が居住できるスペースを設け、回転することによって人工重力を作るというもの。また、可動式の鏡によって太陽光を反射して内部に取り込んで昼夜を作り出すというアイデアも盛り込まれていました。残念ながらスペースコロニーの建設は実現しなかったものの、日本のテレビアニメ「機動戦士ガンダム」の中に登場するスペースコロニーはまさにこのオニール氏の構想をモデルにしたといわれています。


1980年代にプリンストン大学で電気工学と計算機科学を学んでいたベゾス氏は、オニール氏に師事していたとのこと。ベゾス氏がオニール氏の構想を下敷きにした宇宙進出構想を発表した根本にはこの師弟関係があると、シャーメン氏は指摘しています。実際、ベゾス氏がプレゼンテーションの途中で示したイメージ画像は、オニール氏の考えたスペースコロニー内部にシアトルやフィレンツェを再現した様子を描いたものとなっていました。また、会見のメインで発表した月面着陸プロジェクトは、宇宙進出への長期的な取り組みの第一歩になるとのこと。


スペースコロニー計画は物理学者が科学的考察に基づいて発表された構想ですが、残念ながら現代では40年前の内容は楽観的で古いものがあるとシャーメン氏は述べています。例えば、オニール氏は環境生態系の複雑さを理解していませんでした。たとえオニール氏の計画通りにスペースコロニーを建設できたとしても、その中で複雑な環境生態系を地球上と同じように維持するのは非常に難しいものがあります。シャーメン氏は「ベゾス氏は環境生態系の複雑さや未知の部分に取り組んでいない」と主張しています。

また、プレゼンテーションの途中でベゾス氏は、オニール氏とSF作家のアイザック・アシモフ氏の対談を上映しました。アシモフ氏は司会から「オニール氏のスペースコロニー計画のような構想を抱いていましたか?」と尋ねられ、「誰もまったく想像していませんでした。なぜならSF作家というものは惑星優越主義者で、『人間は惑星上に住むべきだ』と考えているものですから」と語りました。


プレゼンテーションではここで上映が終わったため、その後に皮肉屋のアシモフ氏が「宇宙のイスラエル、宇宙のパレスチナ、宇宙の北アイルランドなどを建設すれば地球上の紛争が終わるでしょう」と述べたり、オニール氏が「本当の問題は私の妻が一緒に宇宙に来てくれるかどうかです。彼女は料理が好きなので、宇宙でレストランを経営したがるんじゃないでしょうか」と冗談をいったりする場面は上映されませんでした。

シャーメン氏はこのことに触れて「大規模なプロジェクトに残る不確実性を浮き彫りにしています。ゼロから新しい世界を作ることは可能なのでしょうか?もし可能なら誰のために作るのでしょうか?ベゾス氏はテクノロジー業界のリーダーであると同時に不動産開発者でもあります。彼の計画では、未来の地球は工業用地区と商業用地区の2つに分かれていますが、現実ではどうだったでしょうか?」と述べ、ベゾス氏の計画には何も新しいものはないと批判しました。

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in サイエンス, Posted by log1i_yk

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