ゲーム

「ゲームのUXを倫理的にデザインする」とはどういうことなのか?

by Chapendra

ゲームを開発する上では、世界観や操作性、システムの設計だけではなく、「ゲームの楽しさや気持ちよさをユーザーがどのように感じるか」というユーザーエクスペリエンス(UX)も非常に重要です。海外のゲーム系メディアであるGamastraが、人気バトルロイヤルゲーム「フォートナイト」のリードデザイナーを務めたCelia Hodent氏に、ゲームの倫理的なUXデザインについてインタビューを行いました。

Gamasutra - Former Fortnite UX lead digs into ethical game design
http://www.gamasutra.com/view/news/342130/Former_Fortnite_UX_lead_digs_into_ethical_game_design.php


2018年6月、世界保健機関(WHO)は「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD)」で、日常生活に支障が出てしまうほどゲームをやりすぎてしまう「ゲーム障害」を新しい病気として認定しました。しかし、一部の学者や医者からは「ゲーム障害を疾病であると認めるためには十分な研究が行われていない」「科学よりも道徳的な懸念に根ざしたものである」という批判の声があがっています。

ゲームを普段の生活に支障が出るほどやり過ぎてしまう「ゲーム障害」は病気であると分類される - GIGAZINE


Hodent氏は「ほとんどのゲームにおいて、高い依存性が問題になることはありません。ゲーム障害は非常に特異的な疾病であり、大多数のゲーマーには影響を与えません」と主張し、「ゲームに熱中すること」と「ゲームに依存すること」は別の話だと述べました。一方で、開発者やゲーマー、ゲームメディアのジャーナリストは「このゲームはめちゃくちゃはまります!最高!」というような評価を行いがちであることを指摘し、ゲームに依存することは決していいことではなく、一部の人が苦しむような深刻な問題だとしています。

Hodent氏は、ゲームに夢中になる子どもの両親から相談されることがよくあるそうですが、そういった問題の原因はゲームそのものではなく、子どもが自分で自分を律することができない点だとのこと。しかし、これは子どもがゲーム中毒になっているのではなく、単に時間管理ができていないだけだとHodent氏は述べています。子どもがいつまでもゲームで遊ばないようにするには、親が何らかのルールを強いて守らせるべきであり、親は子どもがゲームで何を遊んでいるのか、誰と遊んでいるのかを理解しておく必要があると、Hodent氏は主張しています。


一方で、ゲームの開発者は、ゲームを長く遊べるように設計しがちだとHodent氏。それはひとえにプレイヤーが長く遊べないゲームにはお金を払わないからであり、ゲームが面白くなければゲームを長く遊んでもらうこともないからです。「長く遊んでもらえるゲームを作って売る」というビジネスモデルには「ゲームへ没頭することに報酬を与える傾向」を生んでしまう欠点があるとHodent氏は指摘し、倫理的なUXデザインで重要なのは「ゲーム中の休憩に報酬を用意する」あるいは「ゲームをプレイしないことにネガティブな要素を与えない」ことだそうです。

例えば、人気MMORPGWorld of Warcraft」では、ゲームを中断してもマイナス要素は特にありません。それどころか、ゲームをいったん中断すると休憩バーが表示され、休憩が終わった後は入手できる経験値が2倍になるというボーナスが採用されています。つまり、World of WarcraftはゲームのUXが「休憩を挟んで遊ぶ」というプレイスタイルとリンクしてデザインされているというわけです。倫理的なUCデザインは、ゲーム開発者による自主的な規制に基づいて行われているのが現状です。

by Stefson

こうした自主規制に基づくUXデザインは、予算と収益を優先的に考えるビジネスでは重要視されません。また、「フォートナイト」のような無料で提供されるゲームは「無料で遊べる」「無料で高画質なゲームを遊べる」「無料で高画質なゲームをずっと長く遊べる」と、プレイヤーが要求するハードルが高くなっていくために、ますますゲームデザインがプレイヤーを引き留めようとするものになります。

そして、この流れはゲームの公正性にも大きな影響を与えます。例えば、もし20時間かけなければゲットできないアイテムがあったとして、大人であれば「そのアイテムを入手できないのは大したことではない」とゲットできないことを正当化できますが、子どもは一度欲しいと考えたらなかなか気持ちに折り合いをつけることができません。例えば、「フォートナイト」のバトルパスのような課金アイテムの場合、一部のプレイヤーは「お金なら持っているから、1万ドル(約110万円)くらい払う」と考えても、プレイヤー全員が1万ドルをぽんと払えるわけではない、とHodent氏は主張しています。ゲームが子どもをターゲットにしているのであれば、ゲームの公正性についてもっと深く考える必要があるとHodent氏は述べました。

倫理的で公正なゲームデザインを行うためには、非常に難しいことではありますが、開発しているゲームのターゲットが誰なのかを把握する必要がある、とHodent氏。子ども向けで倫理的なゲームデザインが行われている例として、Hodent氏は任天堂の「どうぶつの森」を挙げています。「どうぶつの森」は、プレイヤーが一通りやるべきことをやったら一定時間が経たないと何もやることがなくなってしまうように設計されています。これはゲームを何時間も続けてプレイすることに報酬を与えないようなデザインであり、少なくとも休憩を取ることがプレイヤーにとってマイナス要素になっていないとHodent氏は指摘しています。

by Patrick de Ritter

最後に「政府によるゲームの規制と業界による自主規制」について、Hodent氏は「メーカーによる自主規制は少なくとも法的規制についての議論をある程度コントロールでき、ゲーム開発やその仕組みを理解していない人たちによる規制が行われるよりも先に合理的な規制を行うことができます」と、業界による自主規制を認めています。Hodent氏は「自主規制であれば、外部から強制されるよりも、じっくりと感情的にならない議論が可能です。しかし、何も行わなければ、ソーシャルゲームのルートボックス規制のように、いつかは業界外部から厳しい規制が課されることとなるでしょう」と述べました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
「子どもをゲームからうまく脱却させる」方法とは? - GIGAZINE

ゲームの開発者はゲームの中毒性に対して法的責任を負わなければならないのか? - GIGAZINE

スマホゲームでガチャへの欲求を抑えて楽しくプレイする方法を海外メディアが伝授 - GIGAZINE

いかにスロットマシンが人から最大限のお金と時間を奪うように作られているのかを解説 - GIGAZINE

ゲームをプレイすることで脳に起こるポジティブ&ネガティブな影響 - GIGAZINE

in ゲーム, Posted by log1i_yk

You can read the machine translated English article here.