取材

Fateシリーズの最新TVアニメ「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-」の制作スタッフが語るトークイベントレポート


2019年7月放送予定のTVアニメ「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-」の製作を担当するTROYCAのスタッフチームによる初のトークイベントがマチ★アソビ vol.22で開催されました。2018年の大晦日に放送された「Fate Project 大晦日TVスペシャル2018」の中で第0話「墓守と猫と魔術師」が放送されましたが、その0話の制作秘話や、同作品の主人公であるロード・エルメロイII世ことウェイバー・ベルベットについてなど、マチ★アソビでしか聞けないトークが展開されました。

TVアニメ「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-」 - マチ★アソビ
http://www.machiasobi.com/events/2sei.html

TVアニメ「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-」公式サイト
https://anime.elmelloi.com/

というわけで、さっそくイベントがスタート。ステージ左から司会進行を務めるアニプレックスの太田今日子さん、「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」や「やがて君になる」で監督を務め、「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-」でも監督を務める加藤誠さん、同じFateシリーズ作品である「Fate/Zero」で監督を務め、本作ではスーパーバイザーという立場のあおきえいさん、そしてプロデューサーの長野敏之さん。


あおきさんと長野プロデューサーは、これまでに複数回マチ★アソビに参加したことがあり、あおきさんは来すぎて前回来たかどうかわからないほどだそうです。それに対して、加藤監督は今回が初のマチ★アソビとのことで、緊張した面持ち。しかし、イベント前にTROYCAブースで行われていたサイン会の中でファンの方々と交流してきたことを明かしてくれました。

アニメ本編は2019年7月放送開始ですが、イベントが行われら時点ではスマートフォン向けアプリ「Fate/Grand Order(FGO)」の中で、ロード・エルメロイII世とのコラボレーションイベントである「レディ・ライネスの事件簿」を実施中です。ということで、会場ではイベントプレイ中の人がどれだけいるか尋ねられたのですが、なんと会場に来たほとんどがイベントプレイ中のようでした。


また、2018年大晦日の「Fate Project 大晦日TVスペシャル2018」に放送された第0話「墓守と猫と魔術師」について、制作陣に「どうだった?」と、ザックリとした質問が投げられました。加藤監督はとにかく忙しすぎて覚えていないとのこと。長野プロデューサーによると、大晦日に放送された第0話はTROYCAが過去に制作した「アルドノア・ゼロ」よりも厳しい進行だったそうで、ほんとに完成するのかというくらいの状況だったそうです。

TROYCA史上最大級に忙しいタイミングで制作されたという第0話について、既に視聴済みという人には挙手をお願いしたところ、これまた会場のほとんどが視聴済みだった模様。


なお、第0話は5月7日までの期間限定でYouTube上で公開されています。

【期間限定】TVアニメ「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-」|0話「墓守と猫と魔術師」 - YouTube


そんな過酷な中制作された第0話への反響について、加藤監督は大晦日特番の中で作品が発表された瞬間の反応がスタッフの想像以上だったと告白。好意的な反応を得られて一安心した気持ちと、大きな反響を受けての責任感も感じたと明かしてくれました。


本作は、あおきさんが過去に監督を務めたアニメ「Fate/Zero」に登場するウェイバーくんが、立派な大人になって時計塔で起きる事件を解決していくというミステリー作品となっています。そんな本作の企画について、長野プロデューサーはアニプレックスさんからTROYCAに話が来た際は、Fateシリーズ作品ということでごめんなさいしようと思ったと冗談めかして語っていました。Fateシリーズという人気作品の映像化はTROYCAには荷が重いと感じたそうですが、とりあえず作品を読んでみて欲しいと言われて読んだところ、バトル中心の作品というよりは、題名に「事件簿」とついているだけあってミステリーものとして仕上がっていたため、とりあえず加藤さんに委ねてみることにしたそうです。

そんな加藤さんは、ロード・エルメロイII世のアニメ化企画の話が舞い込んだ際には、「ついに俺にもFateが来たか」と感じたそうです。そして、Fate/Zeroの続きの話であるという点も、引きつけられた点だと明かしています。所属するTROYCAのあおきさんが過去に担当したFate/Zeroに関わる物語であり、そのFate/Zeroで1番好きなキャラクターがウェイバーくんだったこともあり、できるなら是非ということで話を受けることとなったそうです。

なお、本作ではスーパーバイザーを務めるあおきさんは、長野プロデューサーと同じくらいのタイミングでアニメ化企画についての話を聞いていたとのこと。あおきさんがFate/Zeroで監督を担当していたという縁もあり、「スーパーバイザー」という形で制作に携わることとなったそうです。「スーパーバイザー」という形で作品に関わっているあおきさんですが、TROYCAのアイドル作品でもスーパーバイザーとして制作に関わっており、厳密な役割は決まっていないものの、監督のサポートという立場で絵コンテをチェックしたり、打ち合わせに立ち会ったりしているとのこと。


加藤監督は「スーパーバイザーのあおきさんにアドバイスをもらったりするのか?」という質問に対して、ロード・エルメロイII世の事件簿もFateシリーズ作品であるため、世界観を崩さずに踏襲しなければいけない部分について意見を求めたことを明かしています。具体的には、本編の絵コンテや演出におけるカロリーコントロールの部分、例えば直すのに手一杯になって大切な設定を削りすぎている場合などあれば言って欲しい、といった具合にお願いしたそうです。

あおきさんはロード・エルメロイII世の事件簿における、ウェイバーくんを見た際の感想について聞かれたところ、ウェイバーくんの頼りない感じとエルメロイII世の大人びたしっかりした感じの間に、どういった経緯があったのかがミッシングリンクのようで気になったと明かしています。

FGO内で開催中のコラボイベントでは、ライネス・エルメロイ・アーチゾルテとグレイの2人が活躍します。この2人を含めた、事件簿に登場するキャラクターの中で好きなキャラクターについて尋ねられると、加藤監督はすかさずエルメロイII世を挙げました。原作小説を読んでも1番感情移入できるキャラクターだったそうで、力はないけれど到達したい場所に向けて頑張る姿が応援したくなるキャラクターであり、いずれ到達するであろう星を見届けたいとしています。

あおきさんは、第0話に登場したスヴィン・グラシュエートとフラット・エスカルドスを挙げています。2人はどちらもボケでもありツッコミでもあるというキャラクターで、片方がボケるともう片方がツッコむといった具合にバランスの難しいキャラクターであるため、描写において特に迷ったキャラクターであるとのこと。なるべくバランスをとりながら表現したつもりだそうで、2人の印象が視聴者にどのように届いたかが気になると語っていました。

長野プロデューサーの好きなキャラクターはグレイ一択とのことで、自身のFGOではイベントに参加できずグレイを入手できないことを嘆いていました。なお、長野プロデューサーはどの作品でも水着回と温泉回を提案するそうですが、ロード・エルメロイII世の事件簿ではこの提案は通らなかった模様。


制作現場では既にアフレコも始まっているとのことで、キャストさんの皆さんのお芝居について聞かれたところ、加藤監督はベテランというか、実力派の方々が集まっているため、基本的に時間がかかることはないと明かしてくれました。実力派の声優陣がそろっているため、演技指導というよりは監督としてこだわりたい部分を出せるとのこと。ただし、Fate作品の中では初登場となるグレイは制作陣も声優の上田麗奈さんも苦労しているとのことで、探り探りでアフレコを進めているそうです。そのため、キャラクターとしての成長だけでなく、演じる上田さんの成長もアニメを通して楽しんでもらえるかと思う、と加藤監督。

アニメの制作陣はアニメ化で初めてキャラクターに声がついたところを体感するケースが多いそうですが、題材や役者によっては、アニメ化よりも前からキャラクターを演じている場合もあります。Fate/Zeroの時もそうだったように、Fate作品では長らく1つのキャラクターを演じ続けている人もいるので、そういった役者さんには細かい指示は出さずに演技を任せてしまうところも多いとあおきさん。そのため、ロード・エルメロイII世の事件簿のアフレコ現場は基本的にスムーズに進行しているそうです。

TVアニメ「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-」第1弾PV │ 2019年7月より放送開始予定 - YouTube


ロード・エルメロイII世の事件簿のロケハンで、加藤監督とあおきさんはイギリス・ロンドンへ行ったそうです。その際、ロンドンは曇りで、全体的に彩度を抜いたような色合いだったそうで、その実際の景色に合わせてロード・エルメロイII世の事件簿の色彩設計もグレーっぽい大人な色合いにしたそうです。また、あおきさんはFate/Zeroでも時計塔の描写をしており、当時はロケハンに行かずに手元の資料のみで時計塔の様子を想像して表現したと語っています。あおきさんが「初めてウェイバーが荷物を受け取ってクルって振り向く場所」と言うと、会場の一部からは「あーっ!」という声も挙がりました。このシーンのモデルとなった場所で記念撮影もしたそうで、おおきさんは思ったよりも狭かったとして、ロケハンの重要性を再認識したと語ってくれました。なお、第0話の場合、ライネスが登場してウロウロする廊下のシーンは、ロケハンの成果が出ているとのことです。

続いてTVアニメ「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-」の構成の話。構成としては、前半がオリジナルパートで、後半が魔眼蒐集列車(レール・ツェッペリン)編になっているとのこと。加藤監督は1クール(12、13話)で「case.剥離城アドラ」「case.双貌塔イゼルマ」「case.魔眼蒐集列車」という3つのエピソードをすべて表現するのは難しいと感じたそうです。また、各ピソードを3話ずつ程度に凝縮してしまい、それぞれに用意された細かな設定を使い切ってしまうのはもったいないと感じたため、エルメロイII世とグレイが成長できるエピソードはどれかを考え、「魔眼蒐集列車」編をメインに据えることに決めたそうです。しかし、1クールかけて「魔眼蒐集列車」を表現するのはちょっとかったるくなり過ぎるという点と、これからアニメを見てFate作品に触れていくことになる人にも楽しんでもらえるような作品にするために、「魔眼蒐集列車」パートの前にFate作品の舞台背景的なものを最低限知ってもらい、後半パートを楽しんでもらえるように、前半部分にオリジナルパートを組み込むことにしたと説明してくれました。

また、前半のオリジナルパート部分でやりたかったことについて、加藤監督は「エルメロイII世があまり登場しない話」挙げました。あおきさんは、原作の魅力としてミステリーものとしての魅力と、膨大な設定をストーリーに組み込む魅力を挙げています。しかし、それをそのまま表現すると作品としての重厚感は出るものの、キャラクターものとしての空気感のようなものもあってもいいのかなと感じたそうです。そこで、「魔眼蒐集列車」パートまでにキャラクターのことを知ってもらえるような流れでもいいのでは?と考え、そのような流れを作り出したとのこと。その影響から、「本読みも楽しかった」と語ってくれました。

TVアニメ「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-」第2弾PV │ 2019年7月より放送開始予定 - YouTube


また、「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-」ではFate/Zeroと同じく音楽を梶浦由記さんが担当しています。音楽面について加藤監督は、魔法も戦闘もあるけれど、大事にしたいのはエルメロイII世とグレイのバディ(相棒)としての成長であると伝えたそうです。また、1話の絵コンテを見たあとに音楽の打ち合わせを行ったそうで、既にいろいろ飲み込んでもらえていたため、意見の食い違いなどもなかったとのこと。

さらに、後半の「魔眼蒐集列車」パートの見所について、アニメオリジナルで追加したかったものがあり、「ウェイバーくんといえばあの人」が登場するシーンを用意したとのことなので、その部分にも期待して欲しいとのこと。

イベントの後半にはQ&Aコーナーが開かれ、ロード・エルメロイⅡ世の事件簿がFate/Zeroと同じ世界線の物語であることや、作品が想定を上回るような大ヒットとなれば、他エピソードのアニメ化企画などもすぐに始動する可能性があることなどが語られました。


最後はクリアファイルの裏面に制作陣のサインが書かれたものをゲットできるじゃんけん大会がスタート。


クリアファイルが6つ用意されていたので、じゃんけんに勝利した6人がTROYCAが制作現場で使用しているカット袋に入ったクリアファイルをゲットしました。

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in 取材,   動画,   アニメ,   ゲーム, Posted by logu_ii

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