取材

「Fate/stay night」を作っているのはこんな人たち、スタッフトークイベント・前編


7月27日に開催された「Fate Project最新情報発表会」の中で、2014年秋からスタートするテレビアニメ「Fate/stay night」はUnlimited Blade Works(凛ルート)を描く予定であること、Heaven's Feel(桜ルート)は映画化予定であること、Fate(セイバールート)がアプリゲームにてテレビ放送に合わせて期間限定で無償開放されることなどが発表されました。

それから2週間の8月9日夜、ufotableのアニメ制作スタッフたちが作品作りについて語るイベントが発表会後初めて行われました。登場したのは監督から原画・動画検査・撮影・美術・色彩設計まで、まさにアニメを生み出す現場の人たち。その生の声を聞くことができました。

Fate/Zero~stay night Cafe 【第4期】summer vacationイベント3 Fate/stay night TVアニメ制作スタッフ トークイベント
http://www.ufotable.com/cafe/tokyo/gallery/fate_zerosn_cafe/event.html#event_talk

・目次
【前編】
◆パート1:監督・三浦貴博さん&キャラクターデザイン・総作画監督・須藤友德さん
◆パート2:演出・栖原隆史さん&作画監督・青木拓也さん
◆パート3:原画・小船井充さん&原画・國弘昌之さん&演出・白井俊行さん
【後編】
◆パート4:原画・小山将治さん&原画・竹内將さん&原画・梅田貴嗣さん
◆パート5:動画検査・亀谷佳須美さん&動画検査・都築萌さん&動画検査・下村晋矢さん
◆パート6:撮影監督・寺尾優一さん&撮影・西脇一樹さん&撮影・滝沢雅人さん
◆パート7:美術監督・衛藤功二さん&色彩設計・松岡美佳さん&制作進行・近藤亮さん

場所は中野区にあるufotable cafe。4月29日から「Fate/Zero~stay night cafe」が開催されていて、その中のイベントの1つとして開催されたものです。


カフェのスクリーン前に設けられたトークスペース


壁面には2014年阿波おどりのコラボポスターも。


中はギッシリになり、立ち見の人も出るほどの状態に。


高橋祐馬さん(以下、高橋):
これからufotableプレゼンツということで「Fate/stay night」のトークイベントを始めさせていただきます。まずは近藤さん、こういったイベントをしようと思ったきっかけやそのお気持ちなど伺ってもいいですか?

近藤光プロデューサー(以下、近藤):
7月に実施した発表会の評判が良かったのか、ufotable cafeのお客さんがとっても増えました。それはすごく嬉しいことなんですが、なかなか今年できた小倉のカフェまでスタッフを連れて行くということはできないので、今回はこうしてトークイベントを実施してその様子を各地のカフェで中継してもらっています。これで「Fate/stay night」のテレビアニメが始まる前に、少しでも僕らのことを知ってもらって10月を楽しみにしてもらえればと思っています。

7月27日に開催された最新情報発表会の様子はこんな感じでした。

Fate/stay nightは凛ルートをアニメ化&「Heaven’s Feel」映画化&「Fate/Grand Order」今冬開始など「Fate Project最新情報発表会」レポート - GIGAZINE


高橋:
今日は監督やキャラクターデザイン、原画・撮影・背景・仕上げなどスタッフの方々にご登壇いただいて、今どういったことをしているかなどお伺いしていきたいと思います。いつもはエンディングで名前を見るだけの方々ですが、今日は実際にここに来ていただきます。

近藤:
彼らが1つ1つやって作品ができているので、こういう人たちが作っているんだということを知ってもらうことで、彼らの力にもなり10月からの放送のクオリティも上がるのではないかと思うので、期待を込めつつやれればと思っています。

高橋:
このあと7つのセクションのスタッフの方に、それぞれ10分ぐらいずつお話ししていただきます。各陣営が10分ずつ話をしても23時を過ぎるというスケジュールですが(会場笑)、そのあたりも考慮しつつ進めて行ければと思っています。1陣営目、まずはクラスとしてはかなり強いセイバークラスぐらいの方々ですね。

近藤:
発表会にも出ていた、いわゆる「メインスタッフ」です。

高橋:
まずは監督の三浦さんと、キャラクターデザインの須藤さん、どうぞ。

◆パート1:監督・三浦貴博さん&キャラクターデザイン・総作画監督・須藤友德さん
三浦貴博監督(以下、三浦):
「Fate/stay night」の監督をやらせていただいている三浦です。よろしくお願いします。

キャラクターデザイン・総作画監督 須藤友德さん(以下、須藤):
キャラクターデザインの須藤友德と申します、よろしくお願いします。


高橋:
改めて、みなさんお二人の顔と名前と役職とを覚えて帰っていただければと思います。まずは、お二人がどういったお仕事をしているかというところから伺っていきたいと思います。

近藤:
そうですね、自分で「俺こんなことやってるんだ」とは言いづらいだろうから紹介すると、監督の三浦くんです。彼は監督の作業はもちろん、絵コンテもバリバリやっています。今回、stay nightも自分でかなりの話数のコンテを担当しています。また、彼自身が絵描きとして一流で、それが監督チェックで反映されていると思います。

三浦:
そうですね、絵コンテいっぱいやってます。

近藤:
ゲームで発表した「Realta Nua」では3ルートとも三浦くん自身がコンテを切っていますので、あのクオリティでテレビアニメも行くぞ!と考えています。

三浦:
作業は、7月のイベントでお話ししたところよりかなり進んでいます。オープニングも作業真っ盛りですし、コンテが上がって作画に入っています。


須藤:
僕は基本、作画監督として各話を見ています。今の時期でこれだけの話数が回っていることはなかったので、ペースはいいかなと。

近藤:
そうだね、相当先を今やっております。

須藤:
田畑さんと「ここらへんどうする?」って相談しながら作業をしています。

高橋:
監督の直近の作業としては、オープニングのコンテ作業をなさっているところですか?

三浦:
そうですね、OPは演出も自分でやっています。あとは、各話のレイアウトチェックですね。

近藤:
今回、三浦くんが「全カット見たい」ということなので「全話数全カット監督チェック」というのをやっていて全話チェックするということなので、ものすごい物量のカットが回ってきてますよね。

三浦:
話数によっては外しているものもありますが、ほぼ見ています。

高橋:
制作が進んでいるということはそれぞれ物量もということで、須藤さんは作画監督としてカットを見るお仕事で、今はどんなことをされているんですか?

須藤:
やることは毎日変わらないですよ(笑)。見て、直して、出して、というのを毎日やっています。積み重ねないとアニメができないので……。時々来るすごいアクションカットとかをぺらっと見たりするのが楽しみの一つです。「ああ、こういうアクションするんだ!……でも、顔は似てないから直そう」とか(笑)


近藤:
アクションが上手い人はあまり顔を似せる気がないよね。

須藤:
そうですねぇ……なんででしょうね?(笑)

近藤:
このあと、次の次にその「動かすの得意な人」のブロックもありますので。

高橋:
ご覧いただいているファンの方に期待して欲しいところ、見てほしいシーン、キャラ、カットなどあると思いますが、どんなポイントを期待して欲しいですか?まずは監督からお願いします。

三浦:
うーん……結構、ネタバレになりそうなところもあるので……ネタバレがあるぐらいにいろいろと仕込んでいるということを楽しみにしてもらえればと思います。
少し言えるところとしては、「Fate/stay night」ってルートによってキャラクターの扱いがかなり違いますよね。で、Unlimited Blade Worksの中で、本来はそれほど活躍しなかったキャラクターにも多くの出番を与えています。……今はこれぐらいしか言えないですけれど(笑)

近藤:
監督の中にはシナリオや作品としての構造を大事にする人と、キャラクターを大事にする人がいて、その両方のどちらかというと、三浦くんは後者。キャラクター愛が強いので、そういうところには気を遣っていて「できるだけ出したい」と。そういう点のやりとりは何度もやってきてるよね。

三浦:
そうですね。あと、シナリオ打ち(合わせ)に奈須さんがいるのはすごく助かりますね、その場でいろいろと聞いてみたりできるので。

高橋:
シナリオ打ちには、奈須さんは全出席ですか?その場でディスカッションをしたり?

近藤:
全出席してもらって、ディスカッションしたり、セルフ修正をしてもらったりもしています。作品についての一番の生き字引ですから、本当に助かるし、ありがたいです。

三浦:
本当ですね。原作付きはこのやり方がすごくいいと思います。

高橋:
須藤さんからは、ファンの方に期待して欲しいところはどのあたりでしょうか?

須藤:
演出面は三浦さんが言ったとおりなんですが、ビジュアル面としては、士郎くんにちゃんと上着を着せてあげようと(会場笑)。時節が2月なので、さすがにね……(笑)。あと、制服にもマフラーをつけてあげたり。

近藤:
結構凝ったのをつけてるよね。

須藤:
季節感とか、絵で見て分かるところをできるだけ出してあげたいなと思っています。

近藤:
話がちょっとずれちゃうけど、須藤君の描いているアーチャーはめっちゃくちゃかっこいいよ。僕はフィルムを相当先まで見てますが、アーチャーおすすめです。

高橋:
Unlimied Blade Worksということで、凛やアーチャーの活躍も楽しみですが、サーヴァントたちのアクションはいかがですか?

須藤:
三浦さんのアクションの作り方は、Fate/Zeroのときには「技量を見せる」という手法を出していたんですが、今回のstay nightではコンテがド派手アクションで、「派手なんだけれど技量を見せる」という、さらに上の表現を目指しています。単純に言えば撮影手法に頼らない、背景をガーッと早く引くことで勢いを出すのではなく、ちゃんとアクションで勢いを見せる、そういうちょっとめんどくさい大変なやり方のアクションを目指しています。その場合、うまい原画さんの力量に頼る部分が大きくて、ufotableの社内にこれを描けるスタッフがいるっていうことが、今いいことにつながっているなと思います。

近藤:
今までの作品で活躍してきた原画マンに加え、若い子たちも育ってきて戦力になっています。

高橋:
このあとのパートではその若手の方々にもご登壇いただくので楽しみにいただければと思います。ということで、監督とキャラクターデザインというメインスタッフのお二人から、改めてオンエアに向けて一言いただければと思います。

三浦:
頑張りますのでみなさん、よろしくお願いします。

須藤:
(イベント時点で)放送2カ月前の作品にこれだけの人が集まっていることが嬉しいし、期待にぜひ応えたいです。今回、キャラクターデザインは碇谷さん、田畑さんと3人でやっていて、一生懸命仕事しますので、みなさんを楽しませる作品を作りたいなと思います。


(拍手)

近藤:
制作をやっている僕としても、とても頼もしい言葉がもらえたので今日はやってよかったなと思いました。

◆パート2:演出・栖原隆史さん&作画監督・青木拓也さん
高橋:
こんな感じで、各陣営というかパート、お仕事ごとに行ければと思います。続いては演出の栖原隆史さんと、作画監督の青木拓也さんです。

演出 栖原隆史さん(以下、栖原):
今回、stay nightで絵コンテ・演出を何本かやらせていただく栖原と申します。よろしくお願いします。

近藤:
補足の説明をすると、栖原くんがZeroで演出を担当したのは4話、9話、16話、18話かな。ランサーの過去から入る話と、ランサーさんがあちら側に行く話と、切嗣さんの子ども話数とかですね。今回、stay nightにはどっぷり入って、三浦くんの片腕として頑張っています。

作画監督 青木拓也さん(以下、青木):
作画監督をやらせていただいております青木と申します、よろしくお願いします。

近藤:
彼は下積みが長いというか、ずっと動画検査というセクションをやってくれています。うちはとっても動画を大事にするというか、僕が動画をすごく大事だと思っていて、それを彼が下支えしてくれていました。これまでに結構重い作品の動画検査も延々とやってくれています。青木くん的に重かった動画検査はどれ?

青木:
一番重かったのは個人的にはGOD EATER BURSTで、動画検査と原画の両方をやっていて、原画を抜けた後に動画検査をやってほぼ同時進行だったので、短期でしたけれどしんどかったですね。

近藤:
今回、満を持しての作画監督です。「魔女っこ姉妹のヨヨとネネ」でも作画監督補佐をしてくれたりして、今回、「Fate/stay night」ではド真ん前に出てやってくれるというところです。

高橋:
すごくカンタンにお話しすると、「演出」というお仕事は、その話数ごとの監督のようなものです。作画監督は各話の絵のクオリティコントロールを行っていて、表情を含めて動きなどを直したりしています。それをさらに、先ほど登壇された三浦さんや須藤さんが見ます。話数ごとのメインスタッフですね。

近藤:
うちでいうと中堅の2人です。さっきのメインスタッフがいて、さらにこのあと来る濃いメンツがいるので、それに挟まれて大変だよね。


高橋:
具体的には日々、どんなことをやられているんですか?

栖原:
各原画マンさんに描いていただいたレイアウトのラフ原、いわゆる原画の下描きみたいなものが僕の目の前に一通り積まれて、それを全部チェックしていって、直すところがあれば直す、リテイクとして戻すものがあれば「直してください」と戻す仕事です。単純なレベルでいえば、カットの前後がつながっているかどうか、物語としてキャラクターのお芝居が、そのキャラクターがちゃんと生きている人格としてできているかどうかの判断をつけていきます。ラフから原画になって戻ってきたものもチェックして、色がついて映像になったらそれもまたチェックして……という、最初に絵コンテを描いて原画さんと打ち合わせをした後はひたすらチェックをしていく仕事ですね。

高橋:
話数でいうとネタバレもあるかもしれませんが、どれぐらい担当なさっているんですか?

近藤:
今回、何本ぐらいコンテ描いたんだっけ?

栖原:
今のところ2本半です。

近藤:
このあとさらに2本入ってくるんだよね。

栖原:
席が三浦監督のすぐ後ろにあるので、何かあればすぐ三浦さんに聞きに行きます。後ろを向いて「あのー」って。ただ、ちょっとしたところとかでも聞いてしまうので、若干迷惑をおかけすることもあるかなと思いますが、聞かないよりはいいと思って、三浦さんに聞いています。

高橋:
ご自身で絵コンテ・演出をやって、このシーンは楽しみにしてもらいたいみたいな部分はありますか?

栖原:
えーっと……“あの人”と“あの人”が戦うところですかね?

(会場笑)

高橋:
大丈夫な範囲で言っていただいても大丈夫ですけれど(笑)、バトルシーンを担当なさっていたり?

栖原:
担当している中だとそこです。あとは……言えないことが一杯です(笑)

近藤:
話数が言えないのが辛いよね。では、いま言峰綺礼ばっかり描いている青木くん、どうですか?

青木:
そうですね……難しいです。綺礼はそもそも体格が他キャラと違ってがっちりしているキャラというのもありますし、前半はそんなに表情が出るキャラではないので、絵として、表情を見せるのではなくちょっとしたニュアンスなどで表現できたらいいなぁと思いつつも苦戦しているところです。

近藤:
一番うまく描けてるキャラは?

青木:
士郎……ですかね。

近藤:
苦戦しているのは?

青木:
苦戦しているのは……そうですね、凛ですかね……?今までずっと須藤さんのキャラデザ・作監としてやってきて、今回は田畑さんが入ってこられたので、最初は合わせるのが難しいなというところもありますね。

高橋:
青木さんは作画監督ということで、各話のクオリティコントロールをしたり、原画もやられているということですが、最近触ったカットやキャラクターなど、絵的な面で楽しみにして欲しいところなどはありますか?

青木:
「Fate/Zero」の時の真剣さが前に出る堅めな印象よりは、stay nightは柔らかいビジュアルになっているかなと思います。

近藤:
三浦くんがそういうのが好きなので、“熱血少年”的なところはあるよね。今日、この2人にここに来ようよと声をかけたのは僕で、今後のufotableを支える2人だと思うので、ぜひ顔と名前を覚えて欲しいなと思って呼んだんですよ。

高橋:
これから各話数のエンディングで栖原さんや青木さんの名前が出た際にはご期待いただければと思います。それでは、最後にメッセージをお願いします。

栖原:
2014年にUnlimited Blade Worksをやるということで、「今あえて作るFate」でみなさんが見たいのはこういうことじゃないだろうか?と日々考えつつやっています。……ということで、お楽しみにしていただければ。よろしくお願いします。


青木:
スタッフ全員でしっかりと「Fate/stay night」の世界観を作るべく頑張っておりますので、みなさん楽しみにしていただければと思います。ありがとうございました。

(拍手)

◆パート3:原画・小船井充さん&原画・國弘昌之さん&演出・白井俊行さん
近藤:
さあ、次は濃い陣営がやってきます(笑)

高橋:
クラスでいうとアーチャークラスぐらいでしょうか。お三方をお迎えしたいと思います、原画の小船井さん、國弘さん、演出の白井さんです。

近藤:
ここは濃いゾーンです。白井くんは演出として紹介されましたが原画もやったりしています。まずはそれぞれご挨拶を。

原画 小船井充さん(以下、小船井):
原画をやっております小船井です。よろしくお願いします。

演出 白井俊行さん(以下、白井):
今回、演出・作画監督をやらせていただいている白井俊行と申します。

原画 國弘昌之さん(以下、國弘):
原画やってます國弘と言います。よろしくお願いします。

近藤:
あちらにいる國弘くんとここに座っている小船井さんがufotableの「動かし屋」のトップメンバーですね。やったところを流そう……(ムービーを見つつ)このくるくる回っているランサーさんとか國弘くんだよね。


近藤:
ここの3つ面倒くさいところは國弘くんです。

(拍手)


この部分は、現地ではタイムコード入りのOPを使って実際にムービーを見せてもらうことができました。該当する部分は、YouTubeで公開されている公式のプロモーションVTRにも含まれているので映像で確認することが可能です。ここで語られているのは下記ムービーの1分8秒から1分12秒前までのランサーのシーンのこと。

PS Vita【Fate/staynight[Realta Nua]】プロモーションVTR - YouTube


近藤:
で、続きのこのライダーさん(プロモーションVTR 1分21秒~1分24秒部分)は小船井さんだよね。ここ(プロモーションVTR 1分16秒~1分18秒のライダーVSセイバー)も小船井さん。いまのセイバーさん(プロモーションVTRに含まれないOP1番締めのエクスカリバーのシーン)も小船井さん。


近藤:
白井くん、レイアウトはどこやったの?あ、桜ルートか、わかりました。(小船井さんや國弘さんのカットを挙げつつ映像を再生し)……あれ、終わっちゃった。

白井:
もう過ぎちゃいました。

近藤:
言ってよー。

白井:
途中のライダーVSセイバーのシーンですね。(映像を見て)何だかわかんない状態ですけれど(笑)

近藤:
という、凄腕チームを連れてきました。プロフィールを言うと、小船井さんが「空の境界 第三章」の監督です。あと、ジャンプフェスタ用に作った「トリコ」の監督もやっています。

小船井:
あったねえ~、それ。

近藤:
そのキャラデを國弘くんがやりました。なので一度コンビを組んでいます。白井くんはこの間やった「Fate/ゼロカフェ」のアニメーションディレクターをやってくれました。という、白井くんは中堅だけれどこの2人はベテランだよね。stay nightはどうですか、みなさん?

小船井:
大変は大変ですよ。

近藤:
大丈夫、(Realta Nuaの桜ルートOPを流しつつ)みんなこういうのを見ているから大変なのはわかってくれる。

小船井:
こういう地味なカットも大変なんですよ。

高橋:
たとえば、直近だとどんなキャラクターのアクションシーンや原画をやられていますか?話数までは難しいかもしれませんが。

近藤:
小船井さんとかはあまり言えないでしょ?

小船井:
ネタバレとかそういう問題もあるので、言えないところがあるんですよ。あのキャラがああなってこうなって、ああなるんです、みたいなところとかね(会場笑)

近藤:
小船井さんは跳んだりはねたりのシーンが多いよね。

高橋:
國弘さんはいかがでしょうか?

近藤:
PVがあります。(PVを見つつ)ここ(ランサーVSアーチャー)はそうだよね。

國弘:
そうですね、(ランサーが突きかかっていく横からのカットに切り替わると即座に)ここは違います。

(会場笑)

小船井:
こんなのわかんないよねえ?

近藤:
いやいや、見てたら「あ、小船井さんだ」ってすぐわかるよ。

小船井:
そう?

(会場笑)

高橋:
テレビアニメとして制作を進めている中で、アクションシーンがどんな感じになりそうとかありますか?

國弘:
槍とか二刀流とか武器の扱い方に悩むところがありました。自分は右利きなので……左利きで武器を扱っているところはスムーズに作画できず、難しさがありました。

高橋:
なるほど。白井さんのお仕事はどのあたりの担当なんでしょうか?

白井:
僕の作業は國弘さんとかから上がってきたアクション原画を、お話の流れに沿って表情が正しいかどうかチェックしたりするところです。國弘さんのなんかは本当にチェックするだけですけど。

(会場笑)

近藤:
この凛は白井くん担当だよね。

白井:
そうですね、國弘さんが原画で、僕が演出したところです。


該当するのは下記ムービーの6秒~7秒に出てくるシーン。

「Fate/stay night」キャラクター別番宣CM第1弾”遠坂凛ver.” - YouTube


近藤:
どう、このカットは?

白井:
ガンドの処理が難しくて……。光ったりすると画面が映えるんですが、ガンドは黒いので光ったときにいかに派手にするかというのは悩みました。

國弘:
うーん、処理のことはあんまり考えないんで(笑)、ガンドっぽくしてくださいって。自分自身、ガンドがどんなものかいまいち詰め切れないので、白井くんに任せました。

近藤:
コンテを描くときはどうだった?前後、ゲームをしている人ならわかるけれどいろいろあるから。

白井:
コンテ自体が初めてだったので、手探りでした。ほとんど、そのときのことは覚えてないですね。

近藤:
でも、白井くんっぽいコンテだったよ。ゼロカフェでも少しだけコンテをやってたじゃない。

白井:
そうですね、オープニングだけ。

近藤:
どうですか、小船井さんから見て白井くんの演出は?

小船井:
ごめん、まだ見てないからわからない(笑)

近藤:
そうか、まだなんだ。この話数も描いてないから、まだなんだ。じゃあ、小船井さんから見て國弘くんの原画はどうですか?だいぶ付き合いも長くなってきましたけど。

小船井:
俺自身もきっとそうなんだけど、好き勝手やってしまう方なので、当分はそれでいいんじゃないですかね?

(会場笑)

近藤:
原画マン同士、不思議な上下関係があるんですよね。

國弘:
自分、はじめて小船井さんに会ったときはまだまだぺーぺーの駆け出しで、歴然とした力の差があったところからスタートしたので。

近藤:
小船井さんと気軽に飲みに行ったりとかできないの?

國弘:
できないですね、緊張しちゃって。

小船井:
それは絶対に嘘だね(笑)

近藤:
どうですか白井くん、この二人に挟まれて。

白井:
席替わってくれないですかね?(笑)

高橋:
ありがとうございます、今お話にもあったようにアクションシーンや各話演出など、このメンバーが中核を担っている、ということですね。

近藤:
うちの会社としては、この3人が入っていれば問題ないぞっていうゾーン、前後には若手のチームを呼んでますけれどここは鉄板チームです。「期待している」というよりは、この仕事をしてくれるとわかっているし、してくれないと困るぞという人たち。勝負話数、勝負カットを持ってもらう3人ですね。

高橋:
10月からの放送で名前を見かけたら「ああー、この3人だ」って思いましょう。

近藤:
白井くんは若いけれど、Fate/Zeroの16話で作監をやったんだよね。

白井:
そうですね。

近藤:
ランサーの目が真っ黒になって涙を流すところ、あれは白井くんが作監をやった話数です。小船井さんはメインスタッフとして出まくったからね。國弘くんの代表的なお仕事は、「空の境界 第二章」で林の中を黒桐が走るところとかかな。あと、代表作でテロップに名前が出ないのは「アニメ店長」で、CMでちょこちょこ出てますが彼がキャラクターデザインと作画監督をやりました。監督は三浦くんなので、覚えていていただければと思います。では、最後に一言ずつ。

小船井:
スタッフ一同頑張っていますので、よろしくお願いします。

白井:
今回、初コンテもあって、自分なりに毎日こもって作業しているので、よろしくお願いします。

國弘:
日々頑張っていきます。よろしくお願いします。

・続き
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in 取材,   動画,   アニメ, Posted by logc_nt

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