取材

ウェイバーとライダーの邂逅シーン秘話などが飛び出した「ロード・エルメロイII世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-」放送終了記念スタッフトーク


TVアニメ「ロード・エルメロイII世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-」の放送終了記念スタッフトークイベントが、マチ★アソビ vol.23の中で開催されました。アニメ最終話でロードエルメロイII世がライダーと邂逅するシーンに関する話など、制作スタッフならではの制作秘話が多数飛び出すファン垂涎のイベントとなりました。

ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-
放送終了記念スタッフトークイベント - マチ★アソビ

http://www.machiasobi.com/events/em2.html

登壇者は左から加藤誠監督、キャラクターデザインを担当した中井準さん、スーパーバイザーのあおきえいさんの3人。加藤監督は前回が初のマチ★アソビ参戦でしたが、中井さんは今回が初のマチ★アソビ。それどころか中井さんは、多くの観客の前で話をするスタッフトークイベントに参加するのも初だそうです。それに対して、あおきさんは数えるのを止めたくらいたくさんマチ★アソビに来てイベントに参加しているとのこと。


そして、マチ★アソビのイベントは「ロード・エルメロイII世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-」の放送終了後としては初となるトークイベントとなります。加藤監督はFateというヘビーなタイトルであったため、当初はクオリティを維持したまま放送を走りきることができるか緊張していたと明かしました。中井さんも過去のFate作品がどれも高クオリティだったためプレッシャーを感じていたそうですが、まだまだやりたいという思いもあるそうです。

それに対してあおきさんは、当初「ミステリーもの」「推理もの」と聞いていた「ロード・エルメロイII世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-」が、こんなにバトルが多い作品だなんてと驚いたと明かしました。意外にもバトルシーンが多い同作品ですが、作品後半の列車上でのバトルでは、線路のそばに生える並木の作画が特に大変だったとも振り返っていました。

2分でわかる『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』 - YouTube


続いて、ゲストの3人に作品に対する最初の印象を聞いていくことに。加藤監督は原作を読んだ際に、ウェイバーのさらなる人生を描けるということは「非常に特別」と感じたそうです。加藤監督は「Re:CREATORS」や「やがて君になる」で、あおきさんと共に作品作りを行ってきた人物。そんなあおきさんが監督を務めた2011年公開の「Fate/Zero」と、「ロード・エルメロイII世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-」は正式な続編ではないものの、地続きの作品といえます。Fate作品というプレッシャーもあったものの、「お師匠の続きをできるとは!」ということで、作品に携わることは必然の流れのようにも感じたそうです。あおきさんも、ロードエルメロイII世の事件簿のアニメ化企画が届いた際には不思議な感覚を覚えたと明かしてくれています。

キャラクターデザインの中井さんは、Fateシリーズ作品である「Fate/Grand Order」の第2部Cosmos in the Lostbeltのオープニング映像の監督・演出を担当したという人物。このオープニング映像を担当する前から、ロード・エルメロイII世の事件簿のアニメ化に関する話を聞いていたそうで、原作表紙の「黒髪ロン毛の主人公」を見た時から大きなインパクトを受けて気になっていたとのこと。


続いて、キャラクターデザインを担当した中井さんが、スケッチブック上にライブドローイングでロードエルメロイII世のイラストを描きながら、フリートークを繰り広げることに。アニメの制作に携わるプロデューサーはもちろんのこと、加藤監督やあおきさんも実際に中井さんらアニメーターが絵を描いている様子をリアルタイムで見ることはないそうなので、会場で中井さんがお絵描きする様子を見られた人はかなりレアな体験をしたということになるのかも。


あっという間にロードエルメロイII世の輪郭ができあがっていき、司会進行を務めたプロデューサーさんはしきりに「絵が上手い!」と連呼していました。


中井さんによると、ロードエルメロイII世を描くうえでポイントとなるのは「眉間のしわ」だそうです。


そんなこんなで完成。ものの数分であのロードエルメロイII世が完成してしまい、会場からは大きな拍手が巻き起こりました。


アニメの中でのロードエルメロイII世は、「大人の姿」だけでなく「第四次聖杯戦争時のウェイバーくん」や、1話に出てきた「9年前のウェイバーくん」、さらにはライネスにご褒美折檻された「7年前のウェイバーくん」と、さまざまな姿で描かれています。本編でこれだけバリエーション豊富な姿が描かれたキャラクターはなかなかいないということで、その中で「難しさはなかったのか?」という質問が飛び出しました。

確かにさまざまなバリエーションで細かな差異が表現されていたウェイバーくんですが、「第四次聖杯戦争時のウェイバーくん」については元々Fate/Zero時のキャラクターが存在したため、そのまま描けたため難しさはなかったそうです。さらに、「9年前のウェイバーくん」についても、原作でイラストを担当する坂本みねぢさんの原案が存在したため、「スッと描けた」とのこと。しかし、「7年前のウェイバーくん」についてはかなり頭を悩ませたと中井さん。

また、0話の段階ではロードエルメロイII世の表現が探り探りだったと中井さんは明かしており、あおきさんが描いたコンテの「ロードエルメロイII世が猫を追いかけて机にすねをぶつけるシーン」を見て、「こんなに表情を崩してもいいのか」と驚いたそうです。


アニメの制作に関する話がTROYCAに持ち込まれた際、初めは「case.剥離城アドラ」「case.双貌塔イゼルマ」「case.魔眼蒐集列車」の3つをアニメ化したいという話だった模様。しかし、これを3話ずつもしくは4話ずつの構成でアニメ化すると、どうしても内容を省略しなければいけない形となり、初見さんお断りな内容になってしまうのはもったいないと加藤監督は感じたそうです。また、ロードエルメロイII世とグレイの関係性をしっかりと描きたかったこともあり、「case.魔眼蒐集列車」を中心とした企画を提案することとなった模様。ただし、「case.魔眼蒐集列車」だけを1クールで描くとなるとさすがに間延びしてしまうと感じたため、前半の6話をオリジナル、後半で「case.魔眼蒐集列車」を表現するという方向でアニメ化することとなったそうです。

TROYCAの長野敏之社長は毎回携わる作品の中で水着回や温泉回を提案するそうですが、今回も水着回を提案してきたそうです。しかし、この作品で本気で水着回をするとなると、脱ぐことになるのはロードエルメロイII世しかいないということで、紆余曲折があり、代案として完成したのが6話の「少女とデパートとプレゼント」だそうです。

TVアニメ『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-』|6話「少女とデパートとプレゼント」予告映像 - YouTube


さらに、「総作画監督の仕事は作品によってかなり違ってくると思うけど、今作で中井さんが行っていたのはどんな作業?」という質問も。これに対して中井さんは、各話ごとに複数の作画監督が立てられるため、微妙な画風の違いが出てくるため、それをそろえるような作業などを行っていたと明かしてくれました。


続いて、作画が大変だったキャラクターについて聞かれたところ、加藤監督は即答で「ヘファイスティオン」を挙げました。中井さんは12話でドクター・ハートレスとロードエルメロイII世というロン毛の男2人が戦うシーンは長い髪の毛がなびいて大変だったと明かしています。

TVアニメ「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-」ノンクレジットOPムービー - YouTube


あおきさんはグレイを描くのが難しかったそうで、絵コンテの段階なので絵描きとしての立場とは違う難しさがあったと明かしてくれました。「このセリフの時のグレイの心情がわからない!」ということで、原作者の三田誠さんにSkypeで直接聞くこともあったそうです。加藤監督もグレイの表現にはずっと悩んでいたそうで、ひ弱になりすぎないように意識して表現したそうです。なお、グレイの声を担当した上田麗奈さんも演技の方向性で悩んでいたそうで、0話の収録の時点で監督と2人で腹を割って話して方向性を定めていったことが明かされました。そのため、加藤監督いわく前半と後半で上田さんの声も変化してるとのこと。

また、中井さんは原作でイラストを担当する坂本みねぢさんからグレイに関する「少し唇開けている」などの描き方のポイントが書かれたメモをいただいたそうで、それを意識しながら作画作業に望んだそうです。グレイはフードをかぶっているのでどういう表情をしているかがイメージしづらいキャラクターですが、フードから見える口元を口紅ではなくリップクリームっぽく表現するなどしてこだわったことも明かしており、口元の表現のために色彩設計の篠原真理子さんに色を作ってもらい、「色が濃過ぎるとケバく見える……」などと試行錯誤したことも明かしてくれました。これについて加藤監督は、中井さんから確かに「唇直します」という言葉をよく聞いたと語ってくれました。

TVアニメ「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-」ノンクレジットEDムービー - YouTube


さらに、「ロード・エルメロイII世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-」の公式Twitterアカウントで事前に募集していた質問をゲストの3人にぶつけていくことに。最初の質問は「ほめて」というもの。


加藤監督はスタッフを統括する役割を担ったものとして1人を選ぶようなことはできないとして、スタッフ全員が頑張ってくれた語りました。

続いて中井さんは、もちろん関わってくれた全員に感謝しているものの、アクションパートを担当してくれたメインアニメーターの牧野竜一さんには特にお世話になったと告白。2話で初めてグレイが戦闘するシーンや、1話の過去回想の中でギルガメッシュが出てくるシーンなど、牧野さんにお世話になったシーンを挙げてくれました。

あおきさんは加藤監督と中井さんに共通して言えることは、「仕事がねちっこい」ということだとしました。どんな作品も後半になればなるほどスケジュール的に厳しくなっていくものですが、2人は「ここまで」という理想のラインが高く、そのギリギリまで仕事をしてしまうのが「ねちっこい」と感じるポイントだそうです。理想が高く、納得のいかないものは自分で引き取ってでも直してしまうという仕事ぶりが、周りのスタッフを背中で引っ張っていくようなスタイルで、とても熱いとのこと。加藤監督は、ラッシュ後に中井さんと「まだまだだよね」と、自分たちならもっとできると話し合ったことを明かしていました。

続いての質問は13話でロードエルメロイII世がライダーと邂逅する夢のシーンについて。


ロードエルメロイII世とライダーの邂逅シーンは13話のBパートに収録されているシーンで、加藤監督がコンテを担当したそうです。初めから13話・Aパートは12話の続きで、13話・Bパートが本当の13話という構成で考えていたと加藤監督は告白してくれました。

13話ではライダー役の大塚明夫さんが収録現場へやってきて、ロードエルメロイII世役の浪川さんと久しぶりにアフレコを通したやり取りを行ったそうです。監督は「大塚さん入られました~」の時点でウルッときていたと告白していましたが、TROYCAの長野社長も大塚さんの声を聞いて泣いていたと曝露されています。

あおきさんは13話のアフレコ現場で久々に一緒にウェイバーとライダーを演じることになった浪川さんと大塚さんが、久々に夢の中で出会ったウェイバーとライダーの情景にピッタリ合致していたことがさらなる感動を呼んだと語ってくれました。


続いての質問は、制作者側のお気に入りのシーンについて。


加藤監督と中井さんは共に、「1話と13話」と告白。中井さんは9年前のウェイバーくんとメルヴィン・ウェインズを描くのが楽しかったそうで、若かりし頃の2人をもっと描きたいと語っていました。加藤監督はベストを選ぶなら「1話」としており、その理由は0話のコンテをあおきさんが行っていたということで、自分自身が試されていると感じていたため、特に演出の部分でスランプに陥っていたものの、葛藤の末に1話を完成させることができたため、特に思い入れが強いとしています。

あおきさんは13話を挙げ、「case.魔眼蒐集列車」の話は12話で終わっており、13話はまるまるエピローグのようなものだったと指摘。最初はBパートでエピローグをやるという構成でもいいのでは?となっていたそうですが、最終的には13話丸ごとエピローグという形になり、これは正解だったと13話の出来映えに満足している様子でした。

さらには、質問というよりは願望丸出しなものも。これに対して加藤監督は、ゴーサインさえもらえれば今すぐにでもコンテを描くくらいのパッションがあるととアピールしていました。


イベント終了後の挨拶では、あおきさんは原作を活かしながらもオリジナルの要素も加えるという、「ロード・エルメロイII世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-」のような手法も存在するのだとTROYCA全体で手応えを感じる作品になったと告白。中井さんはここで終わるにはもったいない作品だとして、ロードエルメロイII世とグレイをまだまだ描きたいとアピールしてくれました。そして加藤監督は、演出・監督として携わってきた数々の作品を経て完成した「ロード・エルメロイII世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-」のエルメロイII世を、今後の演出家人生で再び描けることを楽しみにしていると語ってくれました。

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in 取材,   動画,   アニメ, Posted by logu_ii

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