「グラフでうそをつく方法」とは?
by Pressmaster
グラフなどの「統計図表」は、集められた統計データを視覚的に示し、データが持つ特徴やデータ同士の関係などを理解することを手助けしてくれます。しかし、単なる数値の羅列では理解できない事柄がわかりやすくなる一方で、扱い方次第では「伝えたい事実をねじ曲げてしまう」ことも可能です。
Excel Chart Lies - TechTV Articles - MrExcel Publishing
https://www.mrexcel.com/tech-tv/excel-chart-lies/
Want to spin your data? Five Ways to Lie with Charts
http://nautil.us/issue/19/illusions/five-ways-to-lie-with-charts
◆視点を斜めにする
濃紺部分で示される「Labor(労働力)」は、左の3D円グラフでも右の3D円グラフでも全体の30%を占めています。しかし、3Dで斜めの視点からグラフを見せられると、錯視が原因で、右の3D円グラフにおけるLaborの比率は30%よりも多く見えます。
人間の目にとって、3次元的な視点からの比率の解釈は難易度が高く、立体的視点のグラフを見た場合には「色がついた面積が分量の大きさを示している」と単純に考えてしまう傾向があるようです。
◆コーン型グラフとピラミッド型グラフは悪
グラフにおける古典的な詐欺の手法は無関係な情報を入れ込むことです。左右のグラフでデータを示している部分は「高さ」のみで、「Admin(管理費)」は全体の約30%となっています。しかし、右側のコーン型グラフでは「体積」がデータの内容に関係しているように見え、「管理費が全体の30%」だとは思えません。
MrExcel.comでは「コーン型グラフとピラミッド型グラフは純粋に悪で、絶対に許されるべきではありません。帳簿をごまかしたい非営利団体の最高責任者なら使ってください」とのコメントがつけられていました。
◆人間は「関係性がある」と思い込みがち
以下のグラフでは、赤い線は「ミスアメリカの受賞時の年齢」を示し、黒色の線は「蒸気などの熱い物体を用いた殺人の件数」を示しています。この2つのデータには全く関係がありませんが、グラフの外形が似ているため、人は「実は相関関係があるのでは?」と無意識的に考えてしまいます。
tylervigen.comでは「一見、相関関係があるように見えるものの、実際は全く関係のない2つのグラフ」を集めた本「Spurious Correlations(偽の相関関係)」の抜粋が掲載されています。
◆他のグラフに隠す
左のグラフはマーケティングコストが3年で3倍になったことをわかりやすく示しています。一方、右の積み重ね面グラフを見ると、マーケティングコストは緑色の面積で示されており、3年で3倍になっていることは非常にわかりにくくなっています。
下端と上端が同時に変化するグラフの面積は、人間にとって自然な視覚的作業ではないためデータの把握が難しくなるようです。
◆グラフの縦軸の比率をゆがめる
以下のグラフは左右で全く同じデータを扱ったグラフですが、グラフの縦軸の比率だけが違います。
元となるデータでは縦軸の値の変動は4.5から4.7の範囲で、左のグラフでは、月ごとに数値の変化はほぼないことがわかりやすくなっています。一方で、同じデータを使っているにも関わらず、右のグラフでは月ごとにすさまじい変動があるように見えます。グラフの縦軸の比率を操作するだけでも人がグラフから受ける印象はグッと変わります。
◆都合のいい解釈を見つけてくる
このグラフは「市の人口が40年で半分になった」ということを示しています。
しかし、「人口が減少している」という事実はそのままに、「人口の減少率は鈍化してきている」という見せ方に変えることが可能です。
1つの事象をもとにしていても、そこから得られる事実はいくつもあります。グラフによって強調される「事実」は、必ずしも「他人が本当に知りたいデータ」であるとは限らない、というわけです。
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