サイエンス

世界中の空き地に植林すれば人間が排出するより多くの炭素を毎年吸収してくれるという研究結果

By DanielVincek

植林活動は気候変動、水資源の確保、生態系の保全などの環境問題に対する有効な解決策の1つです。世界中にあるすべての空き地は1兆2000億本の木を植えられるだけのスペースに相当し、仮に全ての空き地に植林した場合、植えられた木は毎年「世界中で人為的に排出される二酸化炭素(CO2)などの炭素」を上回る量の炭素を吸収してくれるという研究結果が報告されています。

Predicting climate change | EurekAlert! Science News
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-02/ez-pcc021119.php

Massive restoration of world’s forests would cancel out a decade of CO2 emissions, analysis suggests | The Independent
https://www.independent.co.uk/environment/forests-climate-change-co2-greenhouse-gases-trillion-trees-global-warming-a8782071.html

トーマス・クロウサーさんはイェール大学在学時に博士課程の一環として、人類が植物に与える影響を測定するという研究を行いました。この研究によると、地球上にはおよそ3兆本の木が存在していますが、毎年約150億本もの木が伐採されており、約1万2000年前に人類が農業を始めた時期と比較すると、世界中の木の本数は46%も減少しているとのこと。

By merc67

クロウサーさんはスイスのチューリッヒ工科大学の助教授に就任した後も、「人類が植物に与える影響」に関する研究を続けており、世界の炭素の大部分が北極圏および亜寒帯地域に存在していることなどを明らかにしてきました。研究によると、地球温暖化が進むとこれらの地域の土壌から二酸化炭素が放出され、気候変動を17%加速させる可能性があるとのこと。

この問題に対してクロウサーさんは「植林が気候変動に対して最も有効である」と発表しています。世界中に存在する空き地すべてに植林すると、1兆2000億本の木を植えることが可能で、その効果として世界中で排出される二酸化炭素を含む炭素を上回る量を毎年吸収してくれるとのことです。

By DanielVincek

クロウサーさんの発表を受け、国連は2006年に開始された世界中の地域に植林を促す「10億本植樹キャンペーン」の名称を「1兆本植樹キャンペーン」に変更。10億本植樹キャンペーンは2016年には世界中に植林した木の合計本数が142億本に達するという成果を収めていましたが、2017年に行われたこの改名により、植林に対する取り組みの強化をアピールしています。

クロウサーさんは「1.2兆本の植林を行うと、人間が排出する二酸化炭素の10年分の量を吸収してくれる計算になります。植林は都市環境の改善だけでなく、大気汚染、水質汚染、食品品質、生態系のバランスを改善してくれる、シンプルかつ具体的で誰もが参加できる取り組みです」と語っています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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