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触れるだけで惑星が崩壊するといわれる「宇宙で最も危険な物質」とは?


人類の科学は今や地球を崩壊させうるほどですが、宇宙はそれを上回ります。存在はまだ証明されてはいませんが、仮説の上ではたった1つであらゆる惑星を崩壊させうるという超危険物質「ストレンジ物質」について科学系YouTubeチャンネルKurzgesagtがアニメーションで解説しています。

The Most Dangerous Stuff in the Universe - Strange Stars Explained - YouTube


中性子星」はブラックホールの次に密度の高い天体です。


中性子星の中心部を構成しているものこそ、宇宙で最も危険な物質である「ストレンジ物質」であるという仮説があります。


ストレンジ物質は宇宙の法則をねじ曲げ、他の物質に感染し、破壊する物質であり……


「宇宙の起源」を指し示してくれる可能性のある物質であるとも考えられています。


ストレンジ物質がどれほど異常な物質なのかを理解するために、このムービーではまず基本的な知識がかなり簡略的に説明されています。


中性子星は大質量の恒星が超新星爆発を起こした結果生じます。


超新星爆発では、恒星自身は自身が持つ重力によって崩壊してしまいます。恒星自身の重力の内向きの力によって、恒星の中心部では原子核粒子はかき混ぜられた状態になります。


かき混ぜられた電子は陽子に押し込まれて結合し、中性子に変化します。


粒子は原子の内側をギッシリと完全に満たしますが、粒子同士は反発力によって互いに押しつぶされないように抗い続けます。


粒子が重力によって完全に押しつぶされた場合、恒星はブラックホールとなり、原子の反発力が勝った場合は、恒星は中性子星になります。


中性子星は人間の街ほどの大きさしかありませんが、太陽ほどの質量があります。


中性子星の内部では核物理の原則が異なるため、結果として危険極まりないストレンジ物質が生じているという説があります。


ムービーでは次に、「ストレンジ物質がどのように形成されるか」が説明されます。原子核を構成する粒子である陽子と中性子は、「クォーク」という素粒子からできています。


クォークは単体では存在できず、他のクォークと結合した状態で常に存在しています。


通常の空間では、クォークを単離させようと引っ張ったとしても、反発力が働きます。


クォークにエネルギーをかけると、クォークはそのエネルギーを使用して新しいクォークを生み出すという特性を持っています。


クォークには様々な種類が存在しますが……


アップクォーク」「ダウンクォーク」以外のクォークはすぐに崩壊して、アップクォークかダウンクォークになります。


これらのクォークに関する法則が、中性子星の内部では異なっているのでは、という説があります。


中性子星の内部に働く力は、ビッグバン直後の生まれたばかりの宇宙にとても近い状態となっていて……


中性子星はまるで化石のように、「宇宙の過去」を教えてくれるわけです。


中性子星内部のクォークのふるまいを学ぶことは、宇宙の法則を学ぶことに繋がります。


中性子星の中心では、陽子と中性子を構成するクォークの結合が解き放たれ、単体となったクォークが入り交じるようにして存在し……


単体のクォークが「クォーク物質」と呼ばれる巨大な塊を形成するとのこと。


外見的には中性子星と全く同一に見えるものの、クォーク物質から構成された星を「クォーク星」と呼びます。


そのクォーク星の内部にあるものこそ、宇宙で最も危険な物質「ストレンジクォーク」なのです。


クォーク星内部の圧力が一定以上高まったとき、クォークはストレンジクォークに変化し始め、その変化は継続し続けます。


ストレンジクォークの特性を言い表す適切な語句はありませんが、あえていうならば、ストレンジクォークは「強い」のです。


ストレンジクォークがひとたび生じると、「ストレンジ物質」を作り出します。


ストレンジ物質は完璧な密度や安定度を持ち、破壊不可能で、あらゆる物質よりも安定で、中性子星の外部でも存在することが可能だと考えられていますが……


ストレンジ物質の重大な問題点は、「感染性がある」ということです。


ストレンジ物質に触れた物質はすべてストレンジ物質になってしまうという特性があると考えられています。


すべての陽子と中性子は分解されクォーク物質の一部となって、ストレンジ物質に変化してしまいます。


ストレンジ物質を除去する唯一の方法は、ブラックホールに押し込むことだけです。


しかし、ストレンジ物質は中性子星の内部にあるものなので、気にする必要はありません。


唯一の例外は中性子星が他の中性子星やブラックホールと衝突した場合で、衝突した中性子星はストレンジ物質のかけらである「ストレンジレット」を大量に放出すると考えられています。


ストレンジレットは亜原子粒子よりも小さい物質ですが、他の物質と衝突するまで、宇宙を何億年も飛行します。


もしストレンジレットが1つでも地球に衝突した場合、地球の原子はすべてストレンジ物質に変化し、小惑星サイズのストレンジ物質の塊に成り果ててしまいます。


ストレンジレットが太陽に衝突した場合、太陽はストレンジ星となって太陽光は減少します。その結果、地球は凍りつき、死の惑星になります。


仮説の中には、「銀河に含まれる星の数よりもストレンジレットは多く存在している」と唱えるものもあります。


これらのストレンジレットは、ビッグバンの直後、まだ銀河が中性子の中心のような温度と圧力をしていた頃に形成され、ダークマターは実はストレンジレットかもしれないとも考えられています。


けれども、それは単なる仮説です。


地球や太陽などの惑星は少なくとも何十億年の間はストレンジレットの侵略をうけていません。


なので、少なくともすぐには何も起きないと考えてよさそうです。


ストレンジ物質やストレンジレットについて考えることは、宇宙の成り立ちと、今日の宇宙のあり方を考える鍵になってくれます。


科学者が磁石と電線を使って電子に関する実験を行ったとき、その実験が数百年後どんな科学技術になっているかは想像もつかなかったはずです。


今日の科学者が中性子星やストレンジ物質に立てている仮説は、我々の想像もつかないような未来に繋がる可能性だってあるのです。


もちろん、単なる仮説で終わる可能性だってあります。すべては時間が証明してくれることでしょう。

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in サイエンス,   動画, Posted by darkhorse_log

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