MacBook Proの熱問題を解決してパフォーマンスを上げる方法
ノートPCを利用している時に、少し重い処理を走らせるだけでファンが高速回転を始めて騒音生成機となってしまったり、底面が触れなくなるほど熱くなってしまったりしたことがあるという人は多いはず。とはいえノートPCの構造上、排熱の設計を完璧に行うのは難しいものです。そんな中、インドのラシュトリーヤ・ヴィジュアライア工科大学の大学院に通うB・シッダールタさんが自分のMacBook Proの排熱問題を解決した方法についてブログに書いています。
How to improve MacBook Pro Performance and Thermals :: B Siddhartha
https://bsid.io/posts/2019/03/how-to-improve-macbook-pro-performance-and-thermals/
シッダールタさんが持っているMacBook ProはEarly 2015バージョンで、大学に入学した際に購入したものとのこと。長らくこのMacBook Proを愛用していたそうですが、使っているうちにだんだんと何のアプリも動作していないアイドル状態でも熱を持つようになったり、ブラウザでちょっとページを閲覧しただけで高熱を発するようになったりという症状が現れてきたとのこと。
熱の原因を調べるために、シッダールタさんが症状を分析すると、温度が高くなるにつれてパフォーマンスが低下し、また温度は90度から92度あたりで打ち止めになり、それ以上には上昇しないことが分かったそうです。Mac OSには、高熱によってハードウェアが損傷してしまうことを防ぐためのシステムとして内部温度が高くなりすぎた場合にCPUのパフォーマンスを低下させるシステムが存在しますが、シッダールタさんはこのシステムが働いているのだろうと見当をつけたとのこと。
シッダールタさんの経験的には、こうしたノートPCのCPU関係の熱問題はたいていグリスに原因があるそうです。グリスはヒートシンクがより効率的にCPUから熱を奪えるようにヒートシンクとCPUの間に塗布されるものですが、シッダールタさんによるとこのグリスは気泡ができにくいように非常に薄く塗布するのが効率的とのこと。しかし、工場においてグリスが過剰に塗布されてしまうことがあり、安価なグリスのため熱伝導性もそれほど高くはないそうです。そこでシッダールタさんはMacBook Proを分解し、CPUグリスを塗り替えることにしたそうです。下の画像ではシッダールタさんのMacBook ProのCPUが映っており、工場で塗布されていたグリスの様子が確認できます。
新しく塗布するグリスとして、シッダールタさんはArctic Silver 5 Thermal Compound 3.5GというグリスをAmazonから調達したとのこと。
そして古いグリスを落とすための99%のイソプロピルアルコールも用意。
シッダールタさんはイソプロピルアルコールと布を用い、下の画像のように光沢が見えるようになるまで磨いて古いグリスを落としたそうです。
そして新しいグリスを塗布すると、グリスを変えただけにも関わらず高負荷時で約5.6度、低負荷時で約4.8度も温度が低下したとのこと。シッダールタさんは「CPUをアップグレードしたかのように感じる」とコメントしています。
シッダールタさんは「同じ問題で悩んでいる人にこの解決法を強く勧めたい」と述べていますが、グリスを塗り替える時にMacBook Proの基板を開けているため、Appleによる保証の対象外になる点には注意が必要となっています。
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