アリゲーターガーは獲物にかみつく時に「吸引」することで獲物を逃がさない
by FWC Fish and Wildlife Research Institute
アメリカやメキシコの淡水に生息するアリゲーターガーは野生下で全長2mにまで成長する巨大な淡水魚であり、日本でも鑑賞目的で飼育されていた個体が放流され、一部が外来種として生息しています。アリゲーターガーの名前の由来ともなっているワニのような口やアゴは、獲物に力強くかみつくだけでなく、かみつく際に強い吸引力を発生させていることが明らかとなりました。
Feeding kinematics and morphology of the alligator gar (Atractosteus spatula, Lacépède, 1803) - 561993.full.pdf
(PDFファイル)https://www.biorxiv.org/content/biorxiv/early/2019/02/27/561993.full.pdf
Alligator gar both sucks and chomps to catch its prey, new study finds | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2019/03/alligator-gar-both-sucks-and-chomps-to-catch-its-prey-new-study-finds/
アリゲーターガーは1億年近く前の白亜紀初期から地球上に生息しており、生きた化石ともいわれています。そんなアリゲーターガーの特徴はワニのような巨大なアゴであり、獲物をとらえる際にはワニと同様に、横方向にスナップしつつ獲物にかみつくと思われていました。
シカゴ大学の研究者であるJustin Lemberg氏によるとアリゲーターガーのアゴは非常に多くの関節を有しており、ワニよりも可動性が高いとのこと。「私はアリゲーターガーが持つ多くの関節が、摂食行動時にどのように動くのか興味がありました」とLemberg氏は語っており、アメリカの合衆国魚類野生生物局からアリゲーターガーの個体を譲り受け、アゴの動きについて調査したそうです。
Lemberg氏らは研究室でアリゲーターガーにオキアミを食べさせ、その様子をハイスピードカメラを使って記録しました。また、頭蓋骨のCTスキャンを撮影し、高解像度の3Dモデルの作成も行ったとのこと。
アリゲーターガーはワニのようにびっしりと並んだ上アゴにある2列の歯によって、魚や水鳥、カエル、小さめの哺乳類など、多くの獲物にかみつきます。「かみつくことが可能で安全に飲み込めるものであれば、アリゲーターガーは何でも食べます」とLemberg氏は述べています。
しかし、アリゲーターガーのような大きなアゴを持った動物が水中で獲物にかみつこうとすると、水が押し出されて捕食者の存在が獲物に気づかれてしまうという問題があります。この問題に対処するため、アリゲーターガーはアゴにある多くの関節を動かしてアゴを膨らませ、かみつくと同時に水を吸い込むことにより、獲物を一気に口元まで吸引するとのこと。
Lemberg氏らが作成した3Dモデルを正面から見ると、アリゲーターガーが口を開くと同時に……
アゴが横方向に開き、水ごと獲物を吸引するシステムになっていることがわかります。
上方向から見ると、アリゲーターガーのアゴが開き……
ガバッとアゴが横に大きく広がっている様子が確認できます。
これらの動きはアリゲーターガーが持つ多くの複雑な関節により可能になっています。Lemberg氏は、「アリゲーターガーは非常に古くから生息している生きた化石であるという点だけでなく、その存在自体が非常に興味深い動物です」と述べました。
by J. Lemberg
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