30年以上目撃されていなかった世界最大のハチが探検隊によって再発見される

ウォレスズ・ジャイアント・ビーと呼ばれるハチは1858年に探検家のアルフレッド・ラッセル・ウォレス氏によって発見された、「世界最大のハチ」として知られるハチの一種です。そんなウォレスズ・ジャイアント・ビーは1981年を最後に目撃例が絶えており、一部では絶滅が危惧されていましたが、2019年に再び発見されて写真に収められたことが報じられました。実際にウォレスズ・ジャイアント・ビーを38年ぶりに発見したカメラマンであるクレイ・ボルト氏が、インドネシアのモルッカ諸島で発見の一部始終について説明しています。
Rediscovering Wallace’s Giant Bee: In search of Raja Ofu, the king of bees | Global Wildlife Conservation Global Wildlife Conservation
https://www.globalwildlife.org/2019/02/21/rediscovering-wallaces-giant-bee/
The world’s largest bee vanished decades ago. Now, scientists have spotted it again | Science | AAAS
https://www.sciencemag.org/news/2019/02/world-s-largest-bee-vanished-decades-ago-now-scientists-have-spotted-it-again
ボルト氏がウォレスズ・ジャイアント・ビーの存在を知ったのは、サイエンスライターのデイヴィッド・クォメン氏のエッセイだったそうです。インドネシアの熱帯雨林に生息するウォレスズ・ジャイアント・ビーは通常のミツバチの4倍ほどのサイズで、クワガタムシのように巨大なアゴを持ち、羽を広げると翼長6cmほどの大きさにもなるとのこと。
探検家のウォレス氏はモルッカ諸島でウォレスズ・ジャイアント・ビーを発見しましたが、この時のウォレスは実に1000種にもおよぶ新種の生物を発見しており、ウォレスズ・ジャイアント・ビーはその1種に過ぎませんでした。しかし、それから長年にわたってウォレスズ・ジャイアント・ビーが再発見されることはなく、すでに絶滅しているのではないかと思われていたそうです。ウォレスの発見から1世紀以上が経過した1981年に再発見されて、ウォレスズ・ジャイアント・ビーが生存していることが確認されました。しかし、再びウォレスズ・ジャイアント・ビーは人々の前から姿を消し、やはり絶滅してしまったという説が流れるようになったそうです。
2015年にボルト氏は昆虫学者のエリ・ワイマン氏のもとを訪れた際、「Megachile pluto(ウォレスズ・ジャイアント・ビー)の標本を見たいかい?」と尋ねられて自分の耳を疑ったとのこと。しかし、ワイマン氏は本当にウォレスズ・ジャイアント・ビーの標本を持ってきてボルト氏に見せてくれたそうです。標本の状態でもウォレスズ・ジャイアント・ビーは非常に美しく、ワイマン氏はウォレスズ・ジャイアント・ビーを発見するのが長年の夢だと語りました。

そしてワイマン氏とボルト氏は、ウォレス氏の足跡をたどって実際に北モルッカ諸島へ行く可能性について話し合うようになりました。やがてアメリカの自然保護団体である「Global Wildlife Conservation」が、絶滅してしまったと考えられる生物を調査する「Search for Lost Species」というプログラムの中で、「最も再発見されて欲しい25種」にノミネートする候補を探し始めた際も、ボルト氏はウォレスズ・ジャイアント・ビーをノミネートするよう推薦したとのこと。そのおかげで、Search for Lost Speciesの再発見されて欲しい25種には、しっかりとウォレスズ・ジャイアント・ビーがノミネートされています。

2018年10月、ワイマン氏とボルト氏、カナダの冒険作家であるグレン・チルトン氏、オーストラリアのジェームズクック大学の研究者であるサイモン・ロブソン氏の4人で探検隊を組織し、ウォレスズ・ジャイアント・ビーを含む昆虫を北モルッカ諸島へと探しに行く計画を練り始めました。そして2019年1月の終わりに全員で北モルッカ諸島に乗り込み、ウォレス氏が捜索した付近を実際に探検してみることにしたとのこと。
ワイマン氏とボルト氏はインドネシアのテルナテ島でチルトン氏とロブソン氏と合流し、さらにイズワン氏とエカ氏という現地のインドネシア人ガイドと共に探検を開始しました。ウォレスズ・ジャイアント・ビーはシロアリが木の上に作る塚の中に巣を作ることが知られているため、探検隊は森の中を歩いてひたすらシロアリの塚を調査したそうです。
毎日森に入ってはシロアリの塚を探し、20分に1回ほどの間隔で塚の中をのぞき込んでは中にウォレスズ・ジャイアント・ビーの巣がないことを確認し、次の塚を探すという作業が繰り返されました。全員が疲弊して捜索の最終日となった日、それまでも数多くの塚を発見してきた非常にいい目を持つイズワン氏が、地面から8フィート(約2.4メートル)の位置にあるシロアリの塚を発見しました。
ボルト氏が腐った木を支えながらイズワン氏が塚の中をのぞき込むと、イズワン氏が「何かが動いた!」と叫んで飛び退きました。その時はジャングルの中で脅威となる「ヘビ」が塚の中にいたのではないかと思ったそうですが、再びイズワン氏が中をのぞくと、塚の内部は湿ってねばねばしていたとのこと。

それを聞いてワイマン氏とボルト氏は興奮し、さっそくワイマン氏が中をのぞき込むと、塚の中にハチの巣があるとすぐにわかったそうです。内部の構造はまさにミツバチの巣そのものであり、おそるおそるボルト氏がライトで巣の内部を照らしてみると、ずっと探し続けていたウォレスズ・ジャイアント・ビーが見つかりました。
捕獲されたウォレスズ・ジャイアント・ビーがこれ。なお、このウォレスズ・ジャイアント・ビーは撮影後すぐに自然へ戻されたそうです。

ボルト氏は念願だった「生きたウォレスズ・ジャイアント・ビーの写真」を撮影することに成功し、ワイマン氏も生きたウォレスズ・ジャイアント・ビーをその目で見るという夢を叶えることができました。ウォレスズ・ジャイアント・ビーの生態を調査するために、ボルト氏は再び北モルッカ諸島へと戻って調査したいと述べています。

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in 生き物, Posted by log1h_ik
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