アスキーアートをタイプライターで作る方法&作品をまとめた1939年の書籍が公開に
インターネットの世界で頻繁に使われるアスキーアート(AA)は、普及こそネットによる影響が大きいものの、誕生は活字の時代で、タイプライターでAAを作っていたという「職人」も存在しました。1939年に出版された「Artyping(アータイピング)」ではタイプライターでAAを作る方法が初級・中級・上級にわけて詳しく説明されており、その熱量に驚かされます。
Artyping (book) : Julius Nelson : Free Download, Borrow, and Streaming : Internet Archive
https://archive.org/details/Artyping
これが表紙。タイトルももちろんアスキーアートです。作者はアメリカ・ペンシルベニア州ウィンドバー高校の秘書学教師だったユリウス・ネルソン氏。
目次に並んでいるもののうち、最初の3つは献辞、謝辞、序文。残りの13個がAA関連です。
・THE BORDER DESIGN(ボーダーデザイン)
・THE CUT-OUT DESIGN(カットアウトデザイン)
・LETTERING(レタリング)
・SIMPLE "ARTYPING"(シンプルな"アータイピング")
・INTERMEDIATE DESIGN(中級デザイン)
・ADVANCED DESIGN AND CROSS-STITCH PATTERN(上級デザインとクロスステッチのパターン)
・PORTRAITS(ポートレイト)
・SHADING(影)
・"ARTYPING" FOR SPECIAL OCCASIONS(特別な時用の"アータイピング")
・COVER DESIGNS(カバーデザイン)
・LETTERHEADS(レターヘッド)
・MULTI-COLORED DESIGN(マルチカラーデザイン)
・USES OF "ARTYPING"("アータイピング"用例)
例えば、ボーダーデザインはこんな感じ。さまざまな模様のボーダーが並んでいますが……
よく見ると、ボーダーの右側に使われている文字が記されていました。少し離れるとチロリアンテープのようにしか見えないのですが、確かにアルファベットや記号で構成されています。
飾り枠のデザインも。
どう見ても絵にしか見えないアスキーアートもありました。
記号を使ったアスキーアートなら、アルファベットのフォントサイズを大きくすることも可能。
以下は「℃」を示す時の左上の丸を使って作ったアルファベット。
顔の作り方の指南もあります。大文字の「O」と小文字の「o」を組み合わせて目を作り、鼻は「W」、口はアンダーバーとハイフンを使いましょう、とのこと。
完成するとこんな感じです。このあたりまでは初級で……
中級になると複雑さが増しました。魚や……
ハープ
バラ
ロバ
カギ編みっぽいデザインも。
ポートレートの再現はアータイピングのうち最も難しいものの1つとのこと。最も難しいパーツは鼻で、その後に目、耳、口と続きます。ポートレート全体をいきなり作り出すのではなく、まずはパーツの作り方を練習した上で、ポートレート作成に入るのが推奨されています。以下のポートレートは比較的シンプルなものですが……
さらに高度なポートレート作りを行うため、影の作り方についての指南もありました。
完成図はこんな感じ。より写実的になっています。
ポートレートの元となる写真をトレースしている制作の様子も公開されていました。。
なお、「Artyping」のPDF版が下記リンク先から無料でダウンロード可能です。
Artyping
(PDFファイル)https://loriemersondotnet.files.wordpress.com/2014/01/artyping.pdf
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