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Androidの次期バージョン「Android Q」のベータ1が提供開始


2019年は次世代モバイル通信システムの「5G」や、折りたたみ式スマートフォンなど、新しいテクノロジーが登場する年となっています。そんなモバイル業界にとっても大きな変革の年となる2019年に登場する、Androidの次期メジャーバージョン「Android Q」のベータ1がついにリリースされました。Pixelシリーズの端末はAndroid ベータ プログラムに参加することでAndroid Qのベータ1が利用可能となります。

Android Developers Blog: Introducing Android Q Beta
https://android-developers.googleblog.com/2019/03/introducing-android-q-beta.html

モバイルエコシステムが進化するにつれ、Androidはユーザーのセキュリティやプライバシーを常に最優先事項としながらシステムの開発に取り組んできました。新しい「Android Q」は、Google Play プロテクトランタイム権限などの取り組みに基づいて構築されたもので、これまで以上にユーザーのプライバシーおよびセキュリティを向上させることが可能になっています。加えて、折りたたみ式スマートフォンの機能拡張や、接続用の新しいAPI、新しいメディアコーデック、カメラ機能、NNAPI拡張機能、グラフィックスAPI「Vulkan」のサポート拡張などが挙げられています。

Androidはセキュリティとプライバシー保護を中心に設計されたOSで、OSとしての成熟に伴いファイルベースの暗号化機密リソースにアクセスする前に許可を要求するようアプリに要求するOSコントロール、カメラ/マイクをバックグラウンドでは使用不能にすること、ロックダウンモード暗号化バックアップ機能など、ユーザーを保護するための幅広い機能が追加されています。他にも、1日で500億を超えるアプリをスキャンし、潜在的に有害なアプリを特定・削除するGoogle Play プロテクトという24時間稼働のセキュリティプロセスも存在します。

Android – Google Play プロテクト


Android Qではユーザーを保護するためにさらなる機能強化が行われており、これらはProject Strobeの一環として行われているとのこと。

◆ユーザーの位置情報管理を強化
Android Qではアプリがいつ位置情報を取得できるかをユーザーがより詳細に制御できるようにしています。以前のバージョンではアプリが許可を求めてきて、ユーザーが許可した場合にのみアプリはユーザーの位置情報を取得できるようになっていましたが、これはAndroid Qでも基本的に同じようです。



Android Qでは「アプリが使用されていない間の(バックグラウンドでの)アプリによる位置情報へのアクセス」が特に機密性が高いものとされており、「アプリの使用中」または「常に」アプリがユーザーの位置情報にアクセスすることを許可できるように、選択肢を増やす予定であるとのこと。これによりアプリがバックグラウンドで起動している際に位置情報へのアクセスを許可するか否かをユーザーが選択できるようになるというわけです。

◆Android Qにおけるその他のプライバシー保護
他にも透明性の確保やユーザー管理、個人情報保護のためのさらなる機能改善がAndroid Qでは行われています。

Android Qでは、ユーザーがアプリをさらに細かく制御できるようになり、共有ファイルへのアクセスを制御できるようになります。ユーザーは新しいランタイム権限を介し、アプリによる写真・ビデオ・オーディオコレクションへのアクセスを制御可能です。ダウンロードの場合、アプリはシステムファイルピッカーを使用する必要があり、これによりユーザーはアプリがアクセスできるダウンロードファイルを決定できるようになります。アプリが外部ストレージの共有領域を使用する方法に変更があるため、開発者はScoped Storageの変更点をチェックするよう促されています。

また、アプリケーションが予期せずにフォアグラウンドにジャンプする動作にユーザーおよび開発者が不満を抱いていることが明らかになったため、こういった自動切替えによるアプリの中断を減らすことをAndroid Qでは模索しているとのこと。Android Qではバックグラウンドでアプリがアクティビティを起動することを防ぎます。ただし、着信やアラームなどのユーザーの注意をすぐに引きつける必要のあるものについては、優先順位の高い通知ということで素早く全画面表示することが可能とのこと。こちらも詳細はAndroid Developersを参照とのこと。

さらに、Android QではデバイスのIMEI、シリアル番号、識別子を含むリセットできないデバイス固有の情報へのアクセスを制限しており、ユースケースに応じた識別子の選択に役立つベストプラクティスを確認の上、これまでとの変更点をAndroid Developersで確認することが推奨されています。また、Android 9 Pieではオプション設定となっていた「異なるWi-Fiネットワークに接続されている場合は、デバイスのMACアドレスをランダム化する」機能が、Android Qではデフォルトで有効化されているとのこと。

◆折りたたみ式スマートフォン向けのUI
折りたたみスマートフォンのサポートを正式に発表していたAndroidですが、Android QではonResumeonPauseに変更が加えられています。また、resizeableActivityマニフェスト属性の機能が変更され、アプリを折りたたみ式の大きなディスプレイに表示する方法を管理できるようになります。

加えて、新しい折りたたみ式デバイスの構築とテストを始めるために、Android開発チームはAndroid Emulatorをアップデートし、マルチディスプレイタイプの切り替えをサポートするとしています。



◆Sharing Shortcuts
ユーザーが写真などのコンテンツを別アプリのユーザーと共有したい場合に使えるのが、新しい「Sharing Shortcuts」です。Android Qで登場するSharing Shortcutsを使用することで、アプリ上のコンテンツを素早く特定のユーザーに共有できるようになります。具体的には、以下のように共有オプションの中に、「Sharing Shortcutsで特定ユーザーと共有」というオプションが表示されるようになる模様。



Sharing ShortcutsのメカニズムはApp Shortcutsの仕組みと似ているため、ShortcutInfo APIを拡張することで両方の機能の統合が容易になった模様。新しいAPIは新しいShareTarget Android Xライブラリでもサポートされています。また、Android Q以前のデバイスはDirect Shareを使用することでSharing Shortcutsを動作させられるそうです。なお、Sharing ShortcutsのソースコードおよびサンプルアプリはGitHub上で公開されています。

◆設定パネル
Android 9 Pieで導入されたスライス機能を利用した新しい設定パネルAPIを介して、アプリのコンテキストで主要なシステム設定を直接表示することが可能になります。

設定パネルはインターネット接続・NFC・音量などユーザーが必要とする可能性のあるシステム設定を表示するためにアプリから呼び出すフローティングUIで、例えばブラウザならば機内モード・Wi-Fi・モバイルデータなどの接続設定を持ったパネルを表示できます。ユーザーは必要に応じてパネルから設定を管理可能で、設定パネルを表示するには新しいSettings.Panelアクションのひとつを使用してインテントを起動する必要があります。



この他、ピアツーピアおよびインターネット接続のパフォーマンス向上や、新しくビデオコーデックのAV1およびオーディオコーデックのHDR10+をサポートしたこと、C++でオーディオ処理を実行するアプリのためにNDKを通してMIDI機器と通信するためのネイティブMIDI APIをサポートしたこと、ゲーム向けのグラフィックスAPI・Vulkanの拡大、2017年に導入されたNeural Networks API(NNAPI)のバージョン1.2のリリースなどが挙げられています。

また、カメラで撮影した写真の深度に関する情報を含む「動的深度画像」をアプリが要求できるようになることで、アプリ内で特殊なぼかしやボケを表現できるようになることも明かされています。また、この動的深度画像は3D画像を作成したりAR写真のユースケースをサポートすることにも役立てられることになるとのことです。



なお、Android Qは2019年5月のGoogle I/Oの中で正式リリースされる見込みです。

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in モバイル,   ソフトウェア, Posted by logu_ii

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