「大麻は普通のもの」というCMを「マルコヴィッチの穴」のスパイク・ジョーンズ監督が製作、YouTubeで「The New Normal(新しい普通)」が公開中
「マルコヴィッチの穴」で絶賛されたスパイク・ジョーンズ監督がYouTubeでショートムービー「The New Normal」を公開しました。ムービーは、もともとは「Normal(当たり前)」のもの考えられていた大麻が厳しく取り締まられるようになり、再び現代になって「当たり前」のものとして受け入れられるようになってきている、ということを示す大麻のCMとなっています。
ジョーンズ監督はダンスと共に空間が変形していくApple「HomePod」のCMでも話題になった人物。当然CGが使われているかのように思える「HomePod」のムービーは、実は欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞ばりの人力で製作されていたという驚きの作品です。
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そんな「HomePod」のCMのように舞台セットをどんどん展開させていくことで物語をつづるムービー「The New Normal」は、以下から見ることができます。
The New Normal - A Short by Spike Jonze - MedMen - YouTube
まず映し出されたのは「GEORGE WASHINGTON'S HEMP FARM(ジョージ・ワシントンの大麻農園)」というタイトルの展示。麻はその昔違法ではなく、アメリカ建国の父であるジョージ・ワシントンは自ら大麻を栽培していました。
これはウソではなく本当の話。現在でこそ大麻は大きな問題として取り上げられていますが、当時は「Normal」つまり普通のこととして見なされていました。
そしてジョージ・ワシントンの展示と壁一枚隔てたところで……
1980年代アメリカで行われた「ストップ・アンド・フリスク」の様子が展開されています。ストップ・アンド・フリスクは警察官が路上で不審者を制止して行う所持品検査のこと。
誰でも警察によって調べられるというシステムは、偏見の対象であるマイノリティに対して不公平であり、多くの人にとってアメリカを安全ではない場所にしました。
捕まった人は……
大麻所持で何十年もの懲役に服することも。最新の調査結果によると、黒人やラテン系アメリカ人は、白人に比べて大麻やその他麻薬犯罪で逮捕・投獄される割合が4倍も高いそうです。これは「狂気の沙汰」だと語るジョーンズ監督。
狂気といえば、1936年には「リーファー・マッドネス」というマリファナの有毒性を啓発する政府主導のキャンペーン映画が公開されました。この映画は過激かつセンセーショナルに作られすぎて政府の意図とは反対にカルト的人気を博し、1970年にリバイバルした際にも熱狂的なファンを作りました。
しかし、現代の大麻のイメージは「マッドネス(狂気)」から「ウェルネス(健康)」に移りつつあります。
多くの人が痛みや苦痛、不安、ストレスを和らげるために大麻を使うように。
人をブラックマーケットに駆り立てた大麻は……
新しく世界規模の市場を作りつつあります。
クリエイターや作り手、破壊者たちにインスピレーションを与えた20世紀後半のカウンターカルチャーの象徴は……
当時のメインカルチャーでは危険なものと見なされていました。
しかし、新しい時代の扉が開き……
カウンターカルチャーから、ようやくただのカルチャー(文化)へ。
ジョージ・ワシントンの時代に「ノーマル」だったことが、巡り巡って再び「ノーマル」に戻りました。「THE NEW NORMAL(新しい普通)」の時代がやってきたことをムービーは示しています。
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