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実験に裏打ちされた人の購買行動をうながす価格設定のテクニックとは?


物やサービスを売って最も大きな利益をあげるためには、「最適な価格」を探し出す必要があります。さまざまな実験結果をもとに、人間の心理を活用して購買行動につなげる効果的な価格設定の方法をCXL Institute創業者のピープ・ラジャ氏が提示しています。

Pricing Experiments You Might Not Know, But Can Learn From
https://conversionxl.com/blog/pricing-experiments-you-might-not-know-but-can-learn-from/

◆比較しやすくするためのおとりプラン
MITの学生に対して、The Economist誌の購読プランにいくつかの種類を設け、どれが最も選ばれるかを調べる実験が行われました。

最初の実験では、Aプラン「オンライン版」(59ドル)、Bプラン「印刷版」(125ドル)、Cプラン「印刷版+オンライン版」(125ドル)という購読方法が提示されたところ、100人の学生のうち16人がAプランを、84人がCプランを選択しました。


ここで、誰も選択しなかったBプランを消して、AプランとCプランのみを提示すると、Aプランを選ぶ人は68人、Cプランを選ぶ人は32人とプラン選択が大きく変わりました。つまり、「誰にも選ばれないため無意味に見えるBプランが存在することで、より高価なCプランを多く販売することに成功していた」ことがわかり、より多くの購読料を稼ぐためにBプランは大きな意味を持っていたというわけです。


この実験からの教訓は、人は複数のプランを比較するのに苦労するが、選択肢のうち2つのプランが似ている場合は比較が容易になるということ。MITの例では価格が同じプランが2つあることで比較が簡単になりCプランが得だという判断を下しやすくなったというわけです。

次に、人々にAプラン「パリ旅行」とBプラン「ローマ旅行」のどちらかを選ぶように要求する実験が行われました。パリもローマも魅力的な観光地であるため多くの人は選ぶのに苦労したそうです。

ここで、実験を行った研究者がAプラン「朝食付きパリ旅行」、A-プラン「朝食抜きパリ旅行」、Bプラン「朝食付きローマ旅行」と、1つプランを追加して実験を行ったところ、圧倒的多数の人がAプランを選択するようになったとのこと。Aに似た少し条件の悪いA-プランを追加したことで、よりAプランが魅力的だと容易に判断できるようになり選ばれるようになったとのこと。


以上の実験の教訓は、売り手は売りたいサービス・商品がある場合、その隣に「おとりのプラン」をそっと置くと効果的だということです。

◆魔法の数字「9」と通常価格
スーパーマーケットに行くと多くの商品の価格が「9」の数字で終わっていることに気づきます。例えば39ドルと40ドルではそれほど価格差がないにもかかわらず、実際に同じ商品にそれらの価格を付けた場合、圧倒的に39ドルの方が40ドルの場合よりも売れ行きが良いことが実験で分かっているそうです。このような魔法の数字「9」の効果は長年知られてきましたが、さらに効果的な数字の使い方が調べられています。

例えば、以下のように通常価格として「48ドル」という条件を付けくわえた上で、セール価格「40ドル」という値札を付けた場合、なんと魔法の数字「9」を使い価格もより安い39ドルよりも売れ行きが良くなることが実験で確認されています。


魔法の数字「9」が打ち負かされたように見えますが、9で終わる「39ドル」をセール価格にした場合、さらに効果的であることが確認されているとのこと。つまり、合わせ技によってより積極的に購買行動を促すことに成功しているわけです。


なお、クラーク大学とコネチカット大学の研究によると、通常価格には小さな文字で、bold体のフォントを使った場合、最も購買行動につながることがわかっています。

◆コントラスト効果とアンカリング
冷たい水、ぬるま湯、熱い湯の3つのボウルを用意して、左手を冷たい水に、右手を熱い湯に入れてしばらく待ってから両手をぬるま湯のボウルに入れた場合、左手は温かく感じるのに対して右手は冷たく感じるものです。このような「コントラスト効果」は、価格についても同様に働くとのこと。

例えば、メニュー内に「150ドルのハンバーガー」があれば「50ドルのステーキ」は一般的には高価に感じるはずが妥当な価格に見えるものです。数万ドルのバッグがある高級ブランドでは98ドルのTシャツも安く見えることがあり得ます。このようなコントラスト効果を活用すれば、物を安く感じさせることが可能。2000ドルの時計を売りたければ、その隣に1万2000ドルの値札の付いた時計を置いておけばよい、というわけです。


また、先に与えられた情報が人の価値判断に影響を与える「アンカリング」と呼ばれる効果が知られてます。

売り出される住宅の価値を評価させる実験で、現在売りに出されている近隣の住宅価格リストを与えた場合、リスト価格が高いほど、同じ住宅なのに評価額が高くなることがわかっています。


つまり、売れなくてもいい高い価格の品を選択肢に混ぜておいたり、価格交渉では先に高い価格を提示したりするほど商品を高く売るのに有利になるというわけです。

◆シンプルな価格設定
スタートアップにアドバイスをするサービスVentureHacksは、サービス価格を3つ設定してどれが最も効果的なのかを実験しました。実験では「年間49ドルの1プラン」「年間49ドルと24ドルの2プラン」「年間49ドル、24ドル、無料ののち課金の3プラン」を用意して比べたところ、「年間49ドルの1プラン」が最も収益性が高かったそうです。この実験では、あまりにも複雑でスピードが速い最近の世の中では、人々は「シンプルであること」を望んでいるケースがあるということです。

◆3価格制
ビール販売の価格実験では3つの価格帯を出す価値が示されています。実験で「2.5ドルのプレミアムビール」と「1.8ドルのバーゲンビール」を販売したところ、約80%の人が高価なプレミアムビールを選びました。ここで、これらに加えて「1.6ドルのスーパーバーゲンビール」を加えると、今度は約80%が1.8ドルのビールを買い、残りの人が2.5ドルのビールを買い、激安品を買う人はいませんでした。追加するビールを激安品ではなく、3.4ドルのスーパープレミアムビールにすると、ほとんどの人が2.5ドルのビールを選び、少数の人が1.8ドルのビールを選び、約10%の人が3.4ドルのスーパープレミアムビールを選んだそうです。


この実験からは、価格に関係なく常に最も高価な商品を選ぶ人がいるということ。さらに、複数の価格帯を提案することで、そもそも売り手の製品を買うかどうかを選択させるのではなく、売っている中からどれを買うかを選択させることにもなると指摘されています。なお、本当に売りたい商品がある場合、3価格制の中では中間の値付けにするのが良いとされています。

◆文脈によるプレミアム
「ビールを買ってビーチで飲む」という約束をした友人が、ビールを買ってきてくれた状況に応じて受け入れる価格の違いについての(PDFファイル)実験が行われています。まったく同じビールでも購入した店が「地元の小さな食料品店」と言われた場合と「高級ホテル」と言われた場合とでは、後者の方がより高価な支払いに同意することが確認されました。

この実験からは例えば高級感のあるウェブデザインや包装など、一見無駄な贅沢に思えるコストをかけることで高い価格を受け入れさせるのに効果的な場合があると考えられます。

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