ディズニー・ピクサーが短編映画「Purl」をYouTubeで公開中、男性のみの職場で奮闘する異色の毛糸玉の物語
ピクサーのアーティストやディレクターが作った独立系のショートムービーを公開する「SparkShorts」というプログラムが新たにスタートしました。SparkShortsの一作目は、男性ばかりの職場に異色の毛糸玉が入社する「Purl」という作品です。
Purl | Pixar SparkShorts - YouTube
とあるオフィス。
会社員たちが笑い合う、楽しげな職場ですが……
オフィスにいるのは男性のみ。
そこに入ってきた新入社員は……
ピンク色の毛糸玉。
エレベーターで新入社員を案内しようとしていた男性は、予想外の新入社員の見た目に「信じられない……」と言葉を失います。
毛糸玉に手渡される社員証。新入社員の毛糸玉はその優秀さを買われて雇用が決まったとのこと。
毛糸玉の名前は「PURL(パール)」
「ここで働けるなんて信じられない、すごくうれしい」と喜びを表現するパールですが……
男性は物珍しさから新入社員について他の社員にメールを送っているようです。
オフィスに到着すると……
何事かというように社員たちが一斉にパールへと目を向けます。
視線にひるみながらも、緊張を解くべく深呼吸を1つしてから歩き出すパール。
男性社員たちはパールの姿に目を疑うような表情。
デスクを自分の荷物で整え……
仕事を始めるパールに……
分かりやすく陰口をたたきます。
ジョークを言い合い楽しそうにするグループを目にしたパール。
なんとか職場の雰囲気になじむべく、会話に混ざろうと奮闘します。
……が、男性社員たちはパールの話についていけずポカーン。
そそくさとその場を離れる男性社員たち。パールは完全に浮いてしまっています。
ミーティングでも……
居場所のないパール。
「資金繰りをして複数の戦略を1つにまとめましょう」と提案すると……
「そんなソフトじゃだめだ!もっと攻撃的にいかないと!」と社員たちが興奮していきます。
はじき出されてしまったパール。
休憩時間になっても……
社員たちはまるでパールが存在しないかのように振る舞い、ピシャっと扉も閉めてしまいます。
完全に取り残されるパール。
そこでパールが取った方法は……
大胆なイメージチェンジ。男性社員たちと同じように振る舞います。
作戦が功を奏し、職場になじめるようになったパール。
会議でも、誰よりも攻撃的です。
オフィスで置いてきぼりになることなく、場の中心人物となりました。
男性社員たちとスポーツ観戦
飲み歩き
自信たっぷりに過ごしています。
そんな時に、新たに入ってきた毛糸玉の新入社員。
入社したてのパールと同じように、たくさんのニットを入れた箱を抱えています。
パールが何者だったのかを思い出したかのように社員たちの視線は一気にパールに集まります。
自分の立ち位置を守るため、新入社員の毛糸玉をバカにするようなジョークを口にするパール。
そして毛糸玉を無視して他の社員たちとエレベーターへ。
新入社員はショックを受けたような表情。
パールも、男性社員から見えないところで悲しげな表情を浮かべています。
見ているのは……
かつての自分が写る社員証。
エレベーターの扉が閉まりそうに。
その瞬間、飛び出して新入社員の元へと向かうパール。
二人してエレベーターに乗り込み……
ぎこちないながらも他の社員たちも新入社員を受け入れだします。
そしてまた新しく入ってきた社員に社員証を渡すのは……
入社したばかりの頃に戻ったかのようなパール。
二人がオフィスに到着すると……
たくさんの毛糸玉が働く職場になっていました。
Purlのメイキングは以下のムービーから見ることができます。
Go Behind the Scenes of Purl | Pixar SparkShorts - YouTube
「Purlは居場所についての映画」だと語るのは、映画「ウォーリー」などに携わるプロデューサーのGillian Libbert氏。
脚本&監督を担当したのは、Purlが初監督作品となるKristen Lester氏です。
パールが働く場所はファンタジーの世界ではなく、限りなく現実に近い場所。そのためオフィスは現代的にデザインされました。
オフィスのモダンなデザインのおかげで、ふわふわした見た目のパールが「よそ者」だとはっきりわかるようになるわけです。
もともとLester氏は、さまざまなオブジェクトを毛糸で包んで物の質感を変えるYarn bombingというアートを行っていました。1980年代の映画「ワーキング・ガール」や「9時から5時まで」といった映画と、Yarn bombingを組み合わせることでPurlが生まれたとのこと。
「自分は他の人と違う」と理解したパールは「自分は他の人よりも優れている」と証明しようとしますが、そのような行為はすべきではない、とLester氏は考えています。このムービーはそのことを伝える物語。
みんなで作品を作ることの素晴らしいところは、最初は一人で作業していても、一人、また一人とその場に参加して作品をよくしていくことだ、とLester氏。
そして最終的には、「いい映画を作りたい」と考え懸命に働く人々の力で素晴らしい映画が完成する、とLester氏は語りました。
以下のムービーでもLester氏のインタビュー映像が映し出され、Purlがアニメーションの現場での自分自身の経験を元にしていることが語られています。
Meet the Filmmakers Behind Purl | Pixar SparkShorts - YouTube
なお、SparkShortsでは今後もさまざまな作品が公開され、ムービーは独自動画サービスの「Disney+」で配信されていく予定です。
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