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技術遺産として国内に1台も残っていない「九五式軽戦車」を日本に里帰りさせるためのクラウドファンディングがスタート


日本の戦車では最多の2300台以上という生産数ながら、国内に1台も現存していないという「九五式軽戦車」を里帰りさせるためのクラウドファンディングがReadyforで始まりました。

「九五式軽戦車」を日本人の手に取り戻す。修復、里帰り計画(小林 雅彦 2019/01/30 公開) - クラウドファンディング Readyfor (レディーフォー)
https://readyfor.jp/projects/type95HA-GO

プロジェクトの立案者はNPO法人「防衛技術博物館を創る会」代表の小林雅彦さん。2014年に、日本初の国産四輪駆動乗用車「くろがね四起」のレストアプロジェクトを成立させ、2年かけて復活させた実績があります。

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戦車好きでもあり、ドラマ撮影用に作られた九五式軽戦車の実物大プロップを入手して国内で展示したことも。

戦車好きすぎの社長が入手した「九五式軽戦車」実物大プロップ登場、圧巻の実物大戦車の迫力が目の前で体感可能 - GIGAZINE


今回の里帰り計画がどんなものかは、以下のムービーに端的にまとめられています。

「九五式軽戦車」を日本人の手に取り戻す。修復、里帰り計画 - YouTube


「防衛技術博物館を創る会」は、静岡県御殿場市に博物館を作る活動を行っている団体で、収集する戦車は武装解除等によって戦勝国や現地軍に接収・鹵獲された車両を対象としています。「九五式軽戦車」はミクロネシア連邦のポンペイ島に15台ほどが残されていて、1981年にアメリカの元軍人の厚意により2両が返還されたことがあります。そのうち1両は再塗装を行いポンペイ島へ戻されました。


残る1両は1986年から「京都嵐山美術館」に展示されていましたが、1991年に美術館が閉鎖され、「南紀白浜ゼロパーク」へ移されました。ところが、この施設も2004年に閉鎖され、イギリス人の愛好家・O氏の手に渡ることになりました。しかし、O氏の手に渡った車両は状態が思った以上に悪く、ポーランドの専門業者によるリストアが進められてきましたが、他にも修復すべき車両を抱えるO氏は、九五式軽戦車のこれ以上の修復を断念。

車両の売却先を考えていたときに、O氏は「防衛技術博物館を創る会」のことを思い出したそうです。「防衛技術博物館を創る会」は、2004年に戦車がO氏の手に渡って以降、連絡を取っていたほか、前述の「くろがね四起」修復プロジェクトでO氏の協力を得ていたということも、今回の売却の申し出につながったとのこと。

「状態が思った以上に悪い」といっても、部品は当時のまま残されていて、ポンペイ島の残存車両の中では状態がよいものだそうです。


小林さんらは2018年初夏から修復作業を開始。鍵となるエンジンの完全オーバーホールも終え、2018年末には試運転にこぎ着けました。


このあと、2019年3月中に補機類の調整も終えた上での試運転を行い、2019年5月末に復元を終了する予定となっています。

小林さんらは戦車を購入する権利を獲得。今回のクラウドファンディングでは購入費用1億円のうち5000万円を募ることになります。


出資プランは6つで、以下の返礼が予定されています。

・5000円:お礼のメッセージメール
・1万円:ボービントン戦車博物館での展示の様子をメール報告+お礼のメッセージメール
・10万円(1):修復から完成までを記録した小冊子+1万円の内容
・10万円(2):(内容は1万円コースと同じ)
・100万円(1):九五式軽戦車のオリジナルの履板(キャタピラ)1枚(約25cm×約15cm・約3kg)+10万円(1)の内容
・100万円(2):(内容は10万円コース(1)と同じ)

ちなみに、「ボービントン戦車博物館での展示」となっているのは、現状の日本の法律では戦車をすぐに日本に輸入できないため、当面、イギリスのボービントン戦車博物館に貸与品として展示するため。ボービントン戦車博物館は世界屈指の戦車コレクションを誇る博物館で、毎年6月には収蔵車両のパレードが行われており、もし修復した九五式軽戦車が展示された場合、世界の名だたる戦車に並んで日本の戦車が欧州を走る姿が見られるとのことです。

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in 乗り物,   動画, Posted by logc_nt

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