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ゲーム史に残る名作「パックマン」の最終仕様書全ページが学会誌で公開、生みの親が開発の舞台裏を語るインタビューも

by Rob Fahey

1980年にナムコから発売された「パックマン」は、黄色いパックマンを操作してモンスターにやられないよう注意しながら迷路内のドットを食べ尽くすというゲームです。パックマンの動きに合わせて動作を変えてくるモンスターの動きは当時のゲーマーたちを驚かせ、大ヒット。2005年には「最も成功した業務用ゲーム機」としてギネス世界記録の認定を受けました。

そんな「パックマン」を開発した岩谷徹氏へのインタビューと「パックマン」の最終仕様書が、人工知能学会の発行する学会誌「人工知能 Vol.34 No.1」で公開されています。本文のPDFファイル(22.07MB)は以下のリンク先にある「34-1_086-099_F00アーティクル1.pdf(22.07MB)」をクリックするとダウンロード可能です。

アーティクル ゲームAI の原点『パックマン』はいかにして生み出されたのか?:岩谷 徹インタビュー|人工知能学会 AI書庫(アイショコ)


インタビューの中では、岩谷氏が「パックマン」を作るまでの経緯や開発のコンセプトが語られていました。また、パックマンの中でも特に象徴的な4匹のモンスターに性格を設定し、それぞれの自動行動を制御するアルゴリズムを仕掛けていったと岩谷氏は語っています。「パックマン」のモンスターに設定されたアルゴリズムは、まさに現代のAI(人工知能)の先駆けといえます。

by Philip Wilson

また、「パックマン」だけではなく、以後のゲームには欠かせない「セルフゲームコントロールシステム」についても言及されていました。「セルフゲームコントロールシステム」とは、プレイヤーのプレイスタイルからゲームの腕を判定し、それに合わせてリアルタイムで難易度を調整するというもの。

「ゲームを開発している制作者側からすると特に難しくない設定でも、一般のプレイヤーにとってはめちゃくちゃな高難度になってしまっている」ということが80年代当時のゲームではよくありましたが、「セルフゲームコントロールシステム」があれば初心者プレイヤーが極端な高難度に苦しめられることはありません。ただし、興味深いことに、その後の調査によると「セルフゲームコントロールシステム」を導入した方が高難度のゲームよりも売上がやや落ちるということが判明したそうです。

by Sam Howzit

記事と同時掲載で全ページが公開されている「パックマン」最終仕様書では、難易度表やモンスターのスピード表など各種設定がまとめられているほか、パターンシートを用いたゲーム画面のデザインを拝むことができます。また、開発当初に作られた仮仕様書も掲載されていて、この時点で既に「パックマン」のコンセプトや迷路のパターンがほぼできあがっていることがわかります。

なお、「パックマン」は開発30周年にあたる2010年にGoogle Doodleに採用され、Googleのロゴ型の迷路ステージを実際にアーケードの仕様で遊ぶことができるミニゲームが公開されました。以下のページからプレイが可能なので、気になる人はぜひ遊んでみてください。

パックマン誕生 30 周年
https://www.google.com/doodles/30th-anniversary-of-pac-man

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in ゲーム,   デザイン, Posted by log1i_yk

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