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なぜ中国ではリアルの男性でなく「ソシャゲーのイケメン」に人気が集まっているのか?


女性向け恋愛ゲームのうち、主人公が女性のゲームを「乙女ゲーム」と日本では呼びますが、近年この乙女ゲームが爆発的な人気を集めている国があります。

Love and Producer: A Mobile Game for Fake Relationships - The Atlantic
https://www.theatlantic.com/magazine/archive/2019/01/love-and-producer-game/576397/

午前2時、中国人女性のIvy DengさんのiPhoneに、ボーイフレンドからメッセージが届きます。ボーイフレンドの名前は「Bai Qi」で、職業は警察官です。Dengさんは最近Qiさんとバイクでデートしたそうで、それ以来Qiさんのことをとても気に入っているとのこと。ここまでは何の変哲もない若い女性と男性の恋愛話のように聞こえますが、ボーイフレンドのQiさんは、実際の人間ではなく中国のソーシャルゲーム「Love And Producer(恋与制作人)」に登場するキャラクターだそうです。

「恋与制作人」は2017年12月に中国でリリースされたソーシャルゲーム。ゲームは警察官、科学者、アイドル、CEOという異なる職種の4人の男性と恋をする、というもの。

《恋与制作人》官方网站--超现实恋爱经营手游


日本語版は「恋とプロデューサー~EVOL×LOVE~」という名称で2019年に配信予定となっており、以下からティザームービーをチェックできます。

恋とプロデューサーティザーMV - YouTube


公式Twitterによると、あらすじは以下の通り。

亡くなった父の経営危機に陥った会社を救わなければならなくなったヒロイン。
会社を救おうとする中で、CEOのゼン、人気アイドルのキラ、特殊部隊員のハク、脳科学者シモン、この四人に出会い、いつの間にか巨大な陰謀に巻き込まれていくことに……。


「恋与制作人」が2017年12月に配信されて以降、主に女性ユーザーにより、中国では同アプリが1000万回以上ダウンロードされています。基本無料でプレイ可能な「恋与制作人」ですが、ユーザーは声優の声が録音されたテキストメッセージや電話を受けることが可能となっており、これを利用するには料金を支払う必要があるそうです。リリースからしばらくの間、中国版Twitterとも呼べるWeibo上では最も話題なゲームとして高い人気を集めていました。

「恋与制作人」をプレイしているユーザーの中には、自身の推しキャラであるLi Zeyanの誕生日を祝うため、深セン市の巨大LED広告にメッセージを掲載した人もいるそうです。なお、広告の掲載には3万9000ドル(約440万円)かかったとのこと。

ちなみにLi Zeyanは、日本語版だと「ゼン」という名前になり、CVは杉田智和さんが担当します。


なぜ中国人女性の間でソーシャルゲームの中の仮想ボーイフレンドが流行しているのでしょうか。海外メディアのThe Atlanticは「中国は現在は緩和されている一人っ子政策の影響で、男性が女性の数を3400万人も上回る国となってしまいました。これにより、異性愛者の女性がモバイルゲーム以外で相手を見つけることは容易なはずです」と、本来ならば中国では女性が多くの男性の中から自分の好みの相手を選べるような状況になっているはずと指摘しています。

そのような状況でありながら、なぜ女性がソーシャルゲームの中のイケメンに心を奪われているのかについて、The Atlanticは2点を挙げています。

1つ目は一人っ子政策による予想外の時代の到来。一人っ子政策では男の子よりも女の子、特に都市部の裕福な家庭の女の子に対して、これまで前例にないレベルの「親の資産へのアクセス権」を認めています。これにより、高度に教育され、財政的に独立した女性の時代が中国に到来することとなりました。しかしその結果、高度な教育を受けた財政的に独立した女性の多くが「両親と同じように若くして結婚すること」を望まなくなったそうです。その結果は結婚率に如実に現れており、中国は過去5年間で結婚率が約30%も低下するという事態に陥っています。また、2012年には上海で暮らす女性の平均結婚年齢が初めて30歳を超えています。

2つ目は、多くの中国人が恋愛に対して恐れを抱いているという点。中国では大学に通うようになるまで若者同士のデートが非常に避けられており、20歳以降になってもデートに恐れを感じる人は多いそうです。「Do Not Marry Before Age 30(30歳まで結婚しないで)」という書籍の著者である中国系アメリカ人作家のJoy Chen氏は、「恋与制作人」の魅力は「潜在的屈辱や悲劇、喜劇のないデートが楽しめるという点だ」と指摘しているように、リアルの恋愛で恥をかくくらいならばデジタル上の恋人で満足してしまう、という女性が中国では多くなってきているということのようです。

もちろん「恋与制作人」をプレイするのは未婚の女性だけでなく、結婚している女性の間でも人気を集めているとのこと。ロマンス小説を読んだりTVの恋愛ドラマを見たりするように、夫が寝静まったり外出したりしている間に、罪悪感と喜びの狭間で「恋与制作人」のような乙女ゲームをプレイすることが流行っているそうです。

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in 動画,   ゲーム, Posted by logu_ii

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