結婚回数やパートナーの数の傾向は母親から受け継がれる

by nastya_gepp

結婚関係や同居関係における母親のパートナーの数は、その子どものパートナーの数に影響することが研究で示されました。また母親が結婚をせずパートナーと同居関係を結んでおり、子どもが長期にわたってその同居生活を経験した場合、大人になった子どもはパートナーの数が多くなる傾向にあるとのことです。

The intergenerational transmission of partnering
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0205732

Why your number of romantic partners mirrors your mother
https://news.osu.edu/why-your-number-of-romantic-partners-mirrors-your-mother/

Why You Can Blame Your Mom If You're Still Single
https://www.livescience.com/64076-mother-daughter-relationship-patterns.html

近年のアメリカの家族おける最も大きな変化の1つは、「結婚を伴わない同居関係」の増加だといいます。このような関係を結ぶ人は2007年時点では約1400万人だったのが、2016年には1800万人に上っており、約29％の増加をみました。オハイオ州立大学のClaire Kamp Dush氏ら研究チームは、このように大きく変化しつつあるアメリカの家族の形について調査を行いました。

研究チームは過去に行われた2つの調査を分析。いずれも何千人ものアメリカ市民を数十年にわたって追跡調査したもので、1つは1979年に行われた「National Longitudinal Survey of Youth(NLSY79)」、もう1つはNLSY79の被験者の子どもや女性を追跡した「National Longitudinal Survey of Youth: Child and Young Adult(NLSY79 CYA)」です。調査は24年、2世代にわたったため、子どもと母親との関係を調べられたとのこと。データには「結婚・離婚」という情報だけでなく「同居・同居解消」の情報も含まれました。

この結果、母親の結婚回数や同居パートナーの数は、その子どもが行う結婚回数や同居パートナーの数と類似する傾向が発見されました。また一方で、母親とそのパートナーとの同居を長期にわたって経験した子どもは、その期間が短かった兄弟姉妹よりも、パートナーの数が多くなるという傾向もみられたとのこと。これは、母親の人間関係から「同居」を魅力的なものとして考えた子どもが、より解消が容易な同居という選択を行うためだとみられています。

by stevepb

研究者は、なぜ子どもは母親の人間関係をなぞってしまうのかについて3つの仮説を立てました。

まず1つは、離婚によってそれまで得られていた経済的安定性が失われてしまい、子どもが十分な教育や生活環境を得られなくなるという可能性。このような子どもは大人になりきれず、成人しても不安定な人間関係を築いてしまうというものです。しかし、研究で経済的要因を調整してもパートナー数における母子のつながりは変わらなかったことから、金銭的な問題は主たる要因ではないとみられています。

また研究者らは「母親の離婚あるいは同居解消を見た経験が子どもの離婚を引き起こす」という2つ目の仮説も立てました。しかし、この説に従うと、離婚を目撃した数が多い年長の子どもは、下の子どもよりも離婚数が多くなるはずですが、実際には統計的にそのような傾向はみられませんでした。

このため、研究者らは「パートナー数が多い母親は人間関係を保つことにたけておらず、上手に争うことができないか、メンタルヘルスでの問題を抱えているために、パートナーとの関係が不安定になることが考えられる」とも述べています。3つの仮説のどれが正しいのかという証明は行われていませんが、「どのようなメカニズムであれ、母親の気質は子どもに受け継がれ、子どもの人間関係を不安定にします」と研究を行ったDush氏はコメントしました。

by RyanMcGuire