高校の生徒たちから失われつつあるコンピューターのスキルとは?
by rawpixel
高校で4年間、コンピューターの授業を担当しているというソフトウェアエンジニアのクリス・ウェロンズさんが、4年の経験の中で、生徒たちから失われているコンピューターに関するスキルがあると警鐘を鳴らしています。
The Missing Computer Skills of High School Students « null program
https://nullprogram.com/blog/2018/10/31/
ウェロンズさんによれば、生徒たちのPCに関するスキルや知識には人によって大きな差があるものの、共通して弱い部分があるとのこと。
その1つが「ファイル、ディレクトリ(フォルダー)、パス」の概念です。
生徒たちは、PCの中身について「なんとなく階層構造になっているらしい」ということぐらいは把握しているものの、「相対パス」や「絶対パス」とは何でどう表記するのか、「カレントディレクトリ」「親ディレクトリ」とは何かということまではわかっていないそうです。
ウェロンズさんは授業でまず「Linux」のインストールを行わせるのですが、「パス」を知らない場合、多くの引数やシェルコマンドが制限されることになり、ディレクトリ間の移動や、ホームディレクトリ外のファイルについての話が通じないため、まずは「パス」の概念から教え始めるとのこと。これは、思っているよりも時間がかかり、また、考え方が定着するまでにも時間がかかるそうです。
そして、実際に作業を行う上で引っかかってくるのが、「タッチタイピング」ができないという点です。
ウェロンズさんが教える生徒の中にはタッチタイピングができる子がまったくおらず、みんなキーボードを見て打鍵しているそうです。当然、タッチタイピングに比べて打鍵速度が遅くなり、すべての作業に時間がかかることになります。ウェロンズさん自身、タッチタイピングを習得したのが遅く、もっと早く習得していればと思うことが多々あったため、「タイピング精度が低いとPCを使っていてもあまり楽しく思えないのでは」と懸念しているとのこと。「パスが分からない」であればウェロンズさんが教えることができますが、タッチタイピングは知識ではないので、ウェロンズさんにはどうにもできないというのも困るポイントです。
さらにウェロンズさんが問題だと感じているのは、こうした問題が今後、さらに悪化していくと考えられることです。スマートフォンやタブレットの普及により、ノートPCの役割も奪われつつあり、すでにウェロンズさんの生徒の中には家でまったくPCに触らないという子どもも出てきているとのこと。それでも、当面の間はキーボードは滅びることはなく、必要な場では重要なツールとして使われ続けると考えられます。
そのため、ウェロンズさんは親御さん向けに、安価なRaspberry Piでもいいので、マウスとキーボードを使う汎用コンピューターを子どもに触らせるようにして欲しいと呼びかけています。
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