何の変哲もない画像にAIが自動で幽霊を合成してくれるシステム「AI Spirits」を学生が開発
不可思議な存在を信じて心霊写真の撮影に熱意を燃やす心霊愛好家は、夜中に心霊スポットや墓地に出向いてカメラを回し、「幽霊」や「死者の魂」といったものが映り込むことを期待します。心霊現象が撮れたと思ったものの多くは、微妙な光をカメラセンサーが捉えてぼやけた光が映り込んだだけの単なる勘違いですが、マサチューセッツ工科大学の学生が普通の画像に幽霊を合成するシステム「AI Spirits」を開発しました。
AI Spirits
http://spirits.media.mit.edu/
MIT's AI Spirits adds ghosts to your photos
https://www.fastcompany.com/90258225/ai-is-making-halloween-so-much-spookier
画像に幽霊を合成してくれるツールであるAI Spititsを作成したのは、マサチューセッツ工科大学の学生であるZiv Epstein氏とMatt Groh氏。Epstein氏は、「この地球上では非常に多くの人々が生きてきましたが、人々の中には感情や感覚的な部分で幽霊の存在を受け入れている人もいます。忙しい日々の中でそんな幽霊の存在を忘れてしまうこともありますが、AI Spititsはそんな私たちの身近にいる幽霊の存在を思い出させてくれるものです」と語っています。
AI Spiritsがどのようなものになっているのかは、以下のムービーを見るとわかります。
AI Spirits
世の中に至るところに、AIの幽霊は出現することができます。
屋上に現れるぼやっとした気味の悪い影や……
カメラの前に立つ2人の怪しい黒い物体となって「AIの幽霊」は現れます。
人の顔のような形が見えることもあるようです。
何の変哲もない風景画像の中に、AIの幽霊は出現します。
ハッキリとした人の形をしているわけでもないのに、なぜか人が立っているように見えるのが不思議です。
時には2本の足が見えたり……
人の画像を思い切りぼやかしたような奇妙な人影が生成されることもある模様。
近年では「邪魔な物体を塗りつぶすだけで違和感なく修正してくれるツール」が開発されるなど、画像を修正して邪魔になる人や物体を取り除く技術に大きな注目が集まっています。そんな流れの中で、あえて画像に不可思議な存在を写り込ませるという技術は自動化された画像の検閲やデジタルメディアの信頼性について再考を促すものであるとのこと。
Epstein氏やGroh氏らも、「Deep Angel」という画像を簡単に修正して人や物体を消去できるツールを開発しました。2人はそこで大量の画像をAIの訓練に使い、人や車といった物体を消去してきたわけですが、「画像から消去したものをもう一度この世の画像に出現させてみてはどうか」という発想で今回のAI Spiritsを開発したそうです。
もともと人が写っていた画像を用い、人を消去するように訓練したDeep Angelにもとづいて構築されたAI Spiritsは、もともとの人影が画像の中でどのような場所に存在していたかを学習しています。そのため、画像の空中にいきなり幽霊を浮かばせるようなことはせず、地面の上や木々の中といった人が立っていても不自然でない場所に影を生成するとのこと。
公式サイトでは、さまざまな画像に合成されたAIの幽霊をみることができます。
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