郵便による不在者投票ができない大学生が増加、その理由は「切手の買い方がわからない」から
By snow
選挙で投票して首長や議員などを選ぶのは民主主義の最も重要な行為のひとつですが、アメリカでは不在者投票をしようとしても用紙を返送できない大学生が増加中とのこと。その理由はなんと「どこで切手を買えばいいかわからないから」というものだそうです。
Why college students don’t vote absentee? They don’t know where to buy a postage stamp | WTOP
https://wtop.com/local/2018/09/why-college-students-dont-vote-absentee-they-dont-know-where-to-buy-a-postage-stamp/
選挙の投票日に都合があって投票所に足を運べない人は、事前に「不在者投票」を行うことができます。アメリカではAbsentee ballotと呼ばれる不在者投票制度では、事前投票や代理人による投票用紙の提出、指定された投票所以外での投票が可能であるほか、郵送による投票用紙の受付が行われています。
しかし、アメリカのバージニア州フェアファックス郡では、切手の買い方がわからなかったために用紙を返送できなかった大学生が多く現れたそうです。フェアファクス郡公安局のリサ・コナーズ氏によると、学生たちはきちんと不在者投票用紙を申請し、用紙に記入するところまでは済ませたものの、いざ切手を買って返送する段階になった際に「切手が売られている場所」がわからなかっために、用紙を返送できなかったそうです。
By Nadya Peek
これは、実際に郵便を利用して手紙や封書を送る機会が少なくなったことが原因とみられています。「切手」という概念をうまく理解できていない人も実際におり、郵便という仕組みに慣れ親しんでいない若い世代にとっては意外にハードルが高いものになっている模様。コナーズ氏によると、このような壁にぶち当たって事前投票を行えなかった若い人は少なくはないとのことです。
郵便を使った経験がある人たちにとっては驚きを禁じ得ない出来事であるわけですが、2000年代に入ってからの急激な社会の変化を考えると「さもありなん」と理解できてしまう部分も。Netflixなどの有料・ネット配信型番組を見てきた子どもたちが「CM」というものが理解できないように、小さな子どもの頃からメールやメッセンジャーアプリでコミュニケーションをとることに慣れ親しんできた世代が、「郵便」という仕組みの概念が理解できないというのも無理がないのかもしれません。
そのように切手を買えなかった人たちは実際に事前投票所に足を運んで投票する必要があるとのこと。ただしその制度を利用する際にも居住地の変更手続きや投票所の変更など新たに煩雑な手続きを行う必要があり、選挙運営組織はその周知に多くの労力を割いているとのことです。
By norobodo
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