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宇宙で働く宇宙飛行士が選挙に参加する方法をNASAが公開


アメリカでは2020年11月3日(火)にアメリカ大統領選挙が実施されます。アメリカの今後を決める重要な選挙となるわけですが、国際宇宙ステーション(ISS)で働く宇宙飛行士も宇宙から選挙に参加できるようになっているとして、NASAが「宇宙飛行士が宇宙から投票する方法」を明かしています。

Astronauts to Vote in Space | NASA
https://www.nasa.gov/feature/astronauts-to-vote-in-space


有人宇宙飛行の初期の頃は、宇宙飛行士が宇宙空間に滞在する時間は数日から数週間程度と非常に限られた時間のみでした。しかし、記事作成時点では宇宙飛行士の宇宙空間に滞在する時間は飛躍的に長くなっており、NASAの宇宙飛行士の中にはISSに半年以上滞在する人もいます。宇宙飛行士がISSに滞在する時間が長くなるにつれ、宇宙飛行士が選挙期間に宇宙空間にいる可能性も高くなっています。そのような状況であっても宇宙飛行士が選挙に参加するための方法を、NASAが解説しています。

方法としては、不在者投票と同じく「Federal Post Card Application(FPCA:連邦郵便はがき申請書)」が用いられます。これは基本的に軍属やその家族がアメリカ国外に居る際に使うシステムです。具体的には、宇宙へ上がる前の段階で必要なフォームに入力し、FPCAを用いることを申請します。

なお、NASAの宇宙飛行士は基本的に訓練のためにジョンソン宇宙センターのあるテキサス州ヒューストンに移り住むこととなるので、テキサス州在住の市民として選挙に投票することとなります。しかし、NASAの宇宙飛行士は世界中から集まっているため、「出身州の居住者として選挙に投票したい」という人もいます。この場合、NASAは郡と協力して出身地を移さずに宇宙から投票するための手配を行うそうです。


宇宙飛行士がFPCAの利用を承認されると、宇宙から投票する準備がほとんど整ったといえます。その後、宇宙飛行士の住んでいる郡の選挙を管理している郡書記官が、ヒューストンにあるNASAのジョンソン宇宙センターのチームにテスト投票用紙を送ります。次に、ISSの訓練用コンピューターを用いて宇宙飛行士がFPCAに記入し、これが郡の書記官に返送できるかをテストします。この行程についてNASAは「宇宙での素晴らしいことの多くがそうであるように、宇宙での投票は実験から始まります」と記しています。

一連のテストが成功した後、ハリス郡とテキサス州の周辺郡の書記官事務所によって作成された安全な電子投票用紙が、ジョンソン宇宙センターのミッションコントロールセンターによりISSに滞在中の宇宙飛行士へと届けられます。また、宇宙飛行士にはそれぞれ固有の資格情報が記載されたメールが郡書記官から送信され、この資格情報を用いないと投票用紙にはアクセスできないので、宇宙飛行士たちはそれぞれ自身の投票用紙に安全にアクセスできるようになっているわけです。

電子投票用紙を用いて投票を行った後、投票用紙はISSから地上の受信局へと送信されます。そして、ジョンソン宇宙センターから郡の書記官にメールで投票用紙が送信され、正式な投票として記録されることとなります。これらのプロセスは非常に迅速なものですが、選挙日の現地時間19時までに投票する必要があるとのこと。


なお、テキサス州で宇宙からの投票が合法化したのは1997年のこと。それ以来、数人のNASAの宇宙飛行士たちが宇宙からの投票を行っており、2020年の大統領選挙でも3人の宇宙飛行士がISSから投票を行います。また、2024年にはNASAが火星への有人宇宙飛行ミッションを開始するため、それ以降も宇宙からの投票が定期的に行われることとなりそうです。

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in メモ, Posted by logu_ii

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