オリーブオイルの偽造はなぜ多発するのか?そして本当においしいオリーブオイルの選び方とは?

by stevepb

殺虫剤に使用される硫酸銅を色出しのためにまぶしたオリーブ8万5000トンがイタリア警察に押収されたと、2016年にニュースになりました。このような偽造オリーブオイルは日本でも販売されており、オリーブオイル業界に対する信頼は、近年減少しています。なぜオリーブオイル業界では不正が起きやすいのか、そしておいしいオリーブオイルを選ぶにはどうすればいいのかを、ニュースメディア「Quartz」のレポーターであるDave Gershgornさんがまとめています。

Olive oil can be a scam. How to buy extra-virgin olive oil — Quartzy
https://qz.com/quartzy/1373867/olive-oil-can-be-a-scam-make-sure-youre-getting-the-good-stuff/

スーパーマーケットに陳列されているオリーブオイルのラベルは「エクストラバージン」「バージン」「ピュア」「コールドプレス」「イタリア製」「ギリシャ製」など、さまざまな文字で飾られています。このようにオリーブオイル関連の言葉が複雑で独断的だということは業界も認めるところで、スペインのオリーブオイルメーカー「Deoleo」のCEOであるPierluigi Tosato氏も「もはや消費者が商品を信頼しておらず、確信を持てないためにオリーブオイルの消費量は減少しています」「オリーブオイルのビジネスは破壊されました。我々は変わらなければなりません」と語っています。

パッケージの問題以外にも、オリーブオイル業界には製造・輸入・輸出において長い間、ごまかしや不正が広まっていました。数年単位で複数のオリーブオイルメーカーの不正が明らかになり、2017年には質の低いオリーブオイルを「最高品質のエクストラバージンオイル」として販売されたことがイタリアの警察によって摘発されました。また、イタリアにおける違法な農業の規模は170億ドル(約1兆9000億円)にも上っているといわれています。

◆そもそもオリーブオイルはどうやって作られているのか?

by Nazar Hrabovyi

オリーブオイルの製造において不正が起こる1つの理由が、オリーブオイル作りの難しさにあります。オリーブオイルは、オリーブを収穫してからできるだけ早くに細かく砕き、プレスする必要がありますが、同時に作業は非常に優しく行わなければなりません。摩擦によって果肉の温度が上がれば風味が損なわれてしまうためです。作業中のコストを27度以下に保つ「コールドプレス」をラベルに付けるのは、実は難しいことだとのこと。

実を砕いた後は圧力をかけて絞り出したり、遠心分離器にかけたりすることで、オイルと果肉に分けます。その後、大量消費されるオリーブオイルのほとんどは沈殿物がろ過されます。

◆複雑きわまりないオリーブオイル用語の意味は?

by Roberta Sorge

エクストラバージン、バージン、ピュア、といった単語は似たような響きを持っていますが、実際のところ、その意味は大きく異なります。

国際オリーブ協会(IOC)の基準では、バージンオリーブオイルは脂肪酸レベルによって4つの種類に分けられるとのこと。オリーブオイルの脂肪酸レベルは、オリーブが砕かれた時の状態と関連しており、ダメージがあるオリーブや古いオリーブを使用したり、処理の温度が高すぎるとオレイン酸が多く含まれるオリーブとなり、等級は低くなります。

オリーブが砕かれる時にハエの幼虫が交じっていると味が変化するのですが、これも、専門家が実際にテイスティングすることで判別されます。


エクストラバージン」は脂肪酸が0.8%以下で味にも欠点がないもののこと。エクストラバージンは化学物質を使った処理を行わず、機械を使って物理的に粉砕され絞りだす方法でしか作られません。エクストラバージンの次の等級が、脂肪酸を0.8~2%含み、時には味にも欠点がある「バージン」で、バージンでない通常のオリーブオイルは2~3.3%の脂肪酸を含みます。このオリーブオイルは「ピュアオリーブオイル」と名付けられることもありますが、「ピュア」という用語はマーケティングの言葉なので科学的には意味を持ちません。

また、「ランパンテ・バージンオイル(Lampante virgin oil)」というオリーブオイルの名前は、イタリア語の「灯油」という言葉に由来します。ランパンテ・バージンオイルは3.3%以上の脂肪酸を含み、IOC規定では食用できないため精製オリーブオイルや工業用油の原料となります。

◆テイスティングの方法

by ulleo

ワインやコーヒーと一緒で、オリーブオイルにも味わい方が存在します。世界のさまざまなオリーブオイルを受け取れるサービス「Grove and Vine」の創設者であり、オリーブオイル研究を行う「オレオロジスト」でもあるNicholas Coleman氏はオリーブオイルのテイスティング方法について以下のように述べています。

1.少量のオリーブオイルを小さなカップやショットグラスにいれ、片手をグラスの下に、もう一方の手をグラスの上に置き、グラスを回します。この方法だと、下の手によってオイルを温め、上の手で香りを閉じ込めることができるとのこと。

2.オイルのアロマを嗅ぎます。

3.口元にグラスを近づけ、音を立ててオイルを吸います。「ee」を発音する時のような口ですすることで、オイルが口の中にスプレー上に広がって、口の中をオイルでコーティングすることが可能になります。

4.口を開けて急激に空気を吸い込み、口内だけでなく喉もオイルでコーティングします。

5.この状態で味わうと、早い時期に収穫されたオリーブオイルはピリッとしていて苦みがあることがわかるはず。遅い時期に収穫されたオリーブオイルはなめらかでバターのような風味が感じられます。オリーブオイルは時に切り立ての草のような味わいがありますが、泥や干し草、プラスチックのような味わいはあるべきものではないとのこと。

◆どうすれば質のいいオリーブオイルをゲットできるのか?

by Jessica Lewis

オリーブオイルを購入する時に気をつける内容は以下の通り。

・収穫時期、または賞味期限をチェックする。オリーブオイルが食べ頃なのは作られてから1年だけです。

・ラベルにオリーブの生産地が書いてあるか、品種は何かをチェックする。

・ラベルに「輸入」と書いてあるものは、コスト削減のために輸入し、「イタリアから輸入」と書くことで価格をつり上げていることがあるため注意する必要があるとのこと。ただし、このような慣習は集団訴訟が起こった結果、減少したといいます。

・オリーブオイルの色は味と関係ありません。透明なガラスを使うとオイルが光で酸化するため、暗褐色のガラスを使ったボトルのものを選ぶこと。

・オリーブオイルはワインと同じ。赤身肉など味が強い食べ物にはコクのあるオイルを選び、魚やチーズ、フムスなど淡泊な料理には繊細な風味のオイルを選びます。

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in , Posted by darkhorse_log

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