トリュフ塩やトリュフオイルなどは本物のトリュフを使っているわけではなく「本物のトリュフ」だと思って食べていたものも見た目だけの無味無臭で粗悪なものが使用されているという指摘


トリュフオイルやトリュフ塩、トリュフバターなど、高級食材として知られるトリュフを名に持つ加工食品は多数存在します。しかし、これらの食品が使用しているのは本物のトリュフではなく合成トリュフ香料であり、実際は価格に見合った高価なものではないと、食べ物関連メディアのTasteAtlasが指摘しています。

The truffle industry is a big scam. Not just truffle oil, everything
https://www.tasteatlas.com/truffle-industry-is-a-big-scam

スペインのバルセロナには観光客に人気のバル「Quimet & Quimet」が存在しますが、この店舗の人気の秘訣は、「トリュフはちみつをタパスにかけていること」です。エルサレムで人気のレストラン「Machneyuda」は、ポレンタにトリュフオイルを使っていることが人気の要因となっています。このように、トリュフオイルやトリュフ塩のような「トリュフ」と名の付く食品を大々的にアピールしている飲食店は多くあります。クロアチアのイストリア半島にあるレストランでは、本物のトリュフを削ってオイルに漬けたものをディスプレイとして展示しているものの、実際に料理で使用しているのは普通のトリュフオイルだそうです。

TasteAtlasは「トリュフオイルはトリュフから作られているわけではないことは、すでに多くの人の知るところかもしれません。トリュフオイルは、正確には合成トリュフ香料を加えただけの安価なオイルです。このように、高級食材として知られる『トリュフ』の名をかたるゴミが世の中にはたくさん存在します。これらは明らかに顧客を欺いており、トリュフとは何の関係もない製品を偽って表現するものです」と述べ、トリュフオイルなどの「トリュフ」と名前に入っている食品は、本物のトリュフを使っているわけではないと指摘しています。

トリュフを使った食品には、ポテトチップスやケチャップ、チョコレート、タルトゥファタ(黒トリュフソース)、チーズ、ソーセージなどさまざまなものが存在しますが、これらのほとんどが本物のトリュフを使用していないと、TasteAtlasは指摘しているわけです。


トリュフオイルなどが本物のトリュフを使用していないということを知らないことは恥ずかしいことではありません。品質の高いトリュフを見つけるのは非常に困難であるため、ほとんどのシェフやジャーナリストも本物のトリュフが使われていないことに気づいていないとTasteAtlas。専門家ですら、トリュフオイルなどに装飾として入れられている「トリュフのかけら」だけで、トリュフオイルが本物のトリュフを使って作られたものと勘違いしてしまうそうです。しかし、「実際に飲食店で使用されていたり、小売店で販売されたりしている『トリュフ』と名の付く食品のほとんどが、合成トリュフ香料で香りをつけただけの詐欺的商品である」とTasteAtlasは改めて指摘しています。

多くのトリュフと名の付く食品で使用されている合成トリュフ香料は一体何なのかというと、天然のトリュフに含まれる有機硫黄化合物である「2,4-ジチアペンタン」だそうです。この2,4-ジチアペンタンは天然のトリュフから抽出することはできませんが、油から抽出することができます。そのため、石油由来の無色の2,4-ジチアペンタンが、イタリア・ドイツ・中国から数万円程度で輸入され、「トリュフ」と名のついた高級なチーズやソーセージ、オイルに姿を変え、世界中で高値で販売されている模様。

そのため、TasteAtlasは「レストランのトリュフ料理の香りが苦手と感じたとしても、トリュフそのものが嫌いというわけではないかもしれません。トリュフオイルなどの強烈なガスのような香りとは異なり、本物のトリュフの香りはマイルドでとても複雑なものです」と記しています。


「でも、レストランで食べた料理には本物のトリュフが載っていた」と思う人もいるかもしれません。これこそが「食品産業におけるトリュフ詐欺の最悪の部分である」とTasteAtlasは指摘。すべてのトリュフがそうというわけではないものの、本物のトリュフとして販売されているものの中には、味も香りもないただの装飾として扱われるものもあるとTasteAtlas。このような無味無臭のトリュフは提供時に合成トリュフ香料で香りをつけたトリュフオイルなどと一緒に提供されており、販売価格も安価だそうです。なお、トリュフには60以上も種類が存在しますが、このうち食用に適したものは25種類程度で、一般的に使用されているのは4種ほど。

最も高価で貴重なトリュフは冬に採れる白トリュフで、具体的には9月頃から1月末にかけて採取可能です。世界で最も有名な白トリュフはイタリアのアルバやクロアチアのイストリアで採取されるもので、季節によっては1kgあたり1万ユーロ(約140万円)近くで取引されることもあります。

冬に採れる黒トリュフも貴重かつ高価です。黒トリュフは11月上旬から3月中旬にかけて採取可能で、最も有名な黒トリュフはフランスのペリゴールで採取できるもの。これらの黒トリュフは1kgあたり数万円から数十万円で取引されます。

これらの冬に採れるトリュフ(冬トリュフ)は冬以外の季節に採れることはありません。また、冷凍・調理・滅菌・包装などで保管することもできないため、季節外れにこれらのトリュフを提供することは不可能です。そのため、季節外れにこれらのトリュフを提供している場合は、「間違いなくトリュフ詐欺です」とTasteAtlasは指摘しています。


一方で、「Tuber aestivum」などの黒トリュフは、オーク・ハシバミ・ポプラ・ブナ・松の木などの木の根元でほぼ一年中大量に採取可能です。これらのトリュフは夏トリュフと呼ばれ、地表近くで成長し、比較的見つけやすいため、価格は1kgあたり100ユーロ(約1万4000円)からと比較的安価です。冬トリュフと夏トリュフの見分け方は、外皮が黒く、芯が明るいものが夏トリュフで、夏トリュフは香りもとてもマイルドです。

これよりも悪質なのが、中国産の黒トリュフで、これがヨーロッパやアメリカの市場に殺到しているとTasteAtlasは指摘。中国産の黒トリュフは無味無臭で、価格も1kgあたり10ユーロ(約1400円)未満と非常に安価。見た目は冬に採れる高価な黒トリュフと変わりありませんが、風味は全く別物。中国産の粗悪な黒トリュフは値段も味もじゃがいもと大差がないため、「じゃがいも」と呼ばれることがあるそうです。夏に芯の色が濃いトリュフが出てきた場合は、「間違いなく詐欺」とTasteAtlasは指摘しています。


さらに、TasteAtlasは正しいトリュフ料理の提供方法について、「本物のトリュフはマイルドで高価です。つまり、料理の主役でなければなりません。数万円から数十万円もするものを他の香りで隠しても意味がありません。そのため、トリュフ料理を提供する唯一の正しい方法は、マイルドでニュートラルな料理(バターを使ったシンプルなパスタなど)を用意し、ゲストの前でトリュフをすりおろすことです」と言及しています。

なお、イタリアのアルバでは料理が目の前に届き、合成トリュフ香料の香りがないことを確認したあと、ウェイターがトリュフの重さをはかり、顧客がストップと言うまで皿の上でトリュフをすりおろします。すりおろしたのち、ウェイターは再びトリュフの重さをはかり、使用した分量に応じて料金を請求するそうです。このような正しい方法でトリュフが提供されているのは、イタリアとフランス以外だと「ほとんどない」とのこと。


スーパーマーケットなどの棚に並ぶ「トリュフ」と名の付く商品はすべて、合成トリュフ香料を使って香りづけされています。これらの商品には「天然アロマ使用」などと書かれているケースがありますが、これはあくまで植物や動物から抽出したオイルを使用しているということを指しており、本物のトリュフ由来のオイルであることを示す表記ではないそうです。本物のトリュフが瓶の中に入っているトリュフオイルでも、前述の通り風味のない安価なトリュフを中に入れ、オイルの香りづけには合成トリュフ香料が使用されているわけです。

問題はトリュフオイルや安価なトリュフを使い、天然物の高価なトリュフを提供しているかのような価格でメニューを提供するレストランにあると、TasteAtlasは指摘。これを避けるには本物のトリュフを使用しているかをレストランのスタッフに尋ね、トリュフをのせる前に料理の香りをかぎ、ウェイターに目の前でトリュフをすりおろしてもらう以外にないと、TasteAtlasは述べています。

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in , Posted by logu_ii

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