高度に発達したAIは人間よりもうまく世界を運営できるが、十分な対策と整備が必要
by Mike MacKenzie
現代において人工知能(AI)について語られる時、その比類ない素晴らしさと同時に、「AIに仕事が奪われる」「AIが人類を支配する」といった恐れが語られることが多いです。一方で、そういった懸念を抱くことは重要だとしつつも、高度に発達したAIが人類をより良い方向に導いてくれるという前向きな視点も存在しており、科学系メディアのFuturismが発信しています。
Advanced Artificial Intelligence Could Run The World Better Than Humans Ever Could
https://futurism.com/advanced-artificial-intelligence-better-humans/
AIの未来について語る時、高度な学習により人知を超えてしまうのではないか、間違った使い方をすれば世界中の政府や軍を支配しジョージ・オーウェルの「1984年」を思わせる管理社会を作り上げてしまうのではないか、といった恐れが論じられる傾向にあります。
by Gaellery
しかしその一方で、人工知能の専門家の中には、このような恐れが実現することは考えづらく、むしろ実際には高度に発達したAIは世界と人類とを素晴らしく導いてくれる可能性があり、それは人類が自ら管理するよりもずっといいものになると主張する人もいます。
by deepak pal
FacebookのAI研究者トマス・ミコロフ氏は2018年8月25日にプラハで行われた「人間レベルのAIに関する会議」において、「AIに手が届かないことは人類にとって危険かもしれない」と発言しました。ミコロフ氏は「人類が自らのために行ってきた選択はひどいものであり、その結果として不可逆的な惑星レベルでの損傷を引き起こしている」とし、洗練されたAIシステムが人類のそんな愚かさから私たちの未来を守ってくれるかもしれないと述べています。
ミコロフ氏は「私たち人類は20年、30年先の未来を予測するのが非常に苦手であるが、自分たちよりはるかに賢いAIを作ることができます。そのAIと何らかの共生関係を構築できたなら、未来に起きるであろう災害を防ぐことができるかもしれません」と、AIを上手く活用することで人類がより良い未来を歩める可能性を主張しています。
しかし、ミコロフ氏のように高度なAIを好意的に捉えるのは少数で、実際にプラハの会議では多くの講演者が主に「危険な目的で使われたり、悪意のある人に間違った使い方をされる」ということについての共通した恐れを口にしました。そういった懸念は決して笑い飛ばすべきではないと、Futurismはあらかじめさまざまな事象について想定しておく重要性を説いています。
AIが発達した未来はとても有望ですが、そこにはまだたくさんの倫理的な疑問が残されています。そして私たちはおそらく、答えるべき疑問の全てを把握することすらできていません。
しかし、プラハ会議に参加した人のほとんどが「必要とする前にルールを制定しなければならない」という意見に同意したように、政府や民間企業、学会をまたいだ国際協定や倫理委員会、規制機関を作ることができれば、敵対的な政府や規則に無頓着な研究者、あるいは狂気的な科学者が悪意のあるAIシステムを兵器利用しようとする可能性を抑え、正しく運用していくことができるようになるとFuturismは述べています。
このようなルールや安全対策を整備することで、高度に発達したAIと調和した未来へ一歩近づくことができ、またそれは私たちを人類史上の束縛から救うことすら可能にします。AIは懸念や恐れなしに素直に向き合えるものではありませんが、しっかりと問題を認識して取り組めば、人類をよりよくしてくれるものであると言えるはずです。
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