ゲームに登場する架空の「エイリアン言語の文字」はどうやってデザインされたのか?
エイリアンの虜囚として、工場を組み立てて指示通りに製品を生産するというゲーム「Infinifactory」には、「エイリアンが使っている言語を表す文字」がさまざまな場所に登場します。このエイリアンの文字がどうやってデザインされたのかを、「Infinifactory」を開発したZachtronicsの設立者で主任デザイナーであるザック・バース氏が解説しています。
Creating the alien writing in Infinifactory
http://www.zachtronics.com/alien-writing/
プレイヤーがエイリアンに命令されるがままに工場を組み立て、さまざまな製品を生産するゲーム「Infinifactory」では、ゲーム内に登場する機械や建物にエイリアンの文字が書かれています。エイリアンの文字はゲームの内容に関わる重要なものではなく、あくまでも世界観を演出するための小道具の1つに過ぎませんが、「Infinifactory」の開発のうちの大部分をこの文字のデザインに費やしたとバース氏は語っています。
バース氏はエイリアンの文字をデザインするにあたって、中国語や日本語で使われる漢字をモデルにして、5×5の方眼を基にしたブロックのような文字をデザインしました。バース氏によると、漢字をイメージしたのは、横書きだけではなく縦書きもできるようにする意味もあるとのこと。また、文字と文字をつないで表記できる「直線を持つデザイン」は、インドで使われる文字・デーヴァナーガリーを参考としたそうです。
文字の基本的なコンセプトを考えた後、バース氏は架空の文章を表現した「ドキュメント(文献)」を作成しました。その上で、バース氏は「文の始まりには必ず大文字を使い、文の終わりはピリオドを打って文を区切る」「単語はスペースで区切る」という英文の規則に注目しました。
バース氏はまず、複数のエイリアン文字を「開始文字」「終了文字」と呼ばれる2種類の特定の文字で挟み込むことで、単に文字が羅列しているのではなく、意味を持つ「文」が書かれているように見せかけました。さらに、複数の文字を直線部分でつなぎ、まるで英語の冠詞のように特定の文字を冒頭に置くことで、あたかも「単語」を形成しているようにデザインしました。文や単語の概念をデザインに盛り込んだのは、ひとつの文法に則った文章であるように見せる意図がある、とバース氏は述べています。
ドキュメントを作成した後、バース氏は「オーバーロード」と呼ばれるPCフォントを作成しました。アルファベットの他にピリオド・空白・数字にも対応したこのフォントは、Adobe Photoshopで打ち込んだ後に90度回転させることで、そのまま縦書きの文章となります。「オーバーロード」を使うことで、バース氏以外の開発スタッフでも簡単に「エイリアン語」のテキストを作成できるようになり、開発の効率が上がったとのこと。
こうして作成されたエイリアン語のテキストは、コンピューターのスクリーンや壁の空いたスペースに配置されました。
リリース前に公開した映像やデモ版でもエイリアン語のテキストが積極的に使われていたため、熱狂的なファンはこのエイリアン語のテキストに何か重要な意味があるはずと考え、どうにかして解読しようとしていたそうです。バース氏はあくまでも本当に言語が存在するようにデザインしただけで、一連のエイリアン語のテキストに特に意味を持たせていなかったために、申し訳なく思っているとのことですが、続編を作る機会があれば今度は架空のテキストに意味を持たせたいと述べています。
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