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サイエンス

化石をわずか1日で作れる方法が見つかる

by Frédéric Glorieux

生物の死骸が長い年月そのまま残ることで化石となります。化石は保存状態がよければ長い年月存在し続けることが可能であり、も2017年3月には地球最古となる42億年前の化石が発見され話題となりました。そんな太古の生命の軌跡をたどるための重要な手がかりとなる化石を、わずか1日で作り出す方法を研究者たちが発見しています。

Sediment‐encased maturation: a novel method for simulating diagenesis in organic fossil preservation - Saitta - - Palaeontology - Wiley Online Library
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/pala.12386

July: creating synthetic fossils | News | University of Bristol
http://www.bristol.ac.uk/news/2018/july/creating-synthetic-fossils.html

Researchers Have Discovered How to Make Proper Fossils - In a Day
https://www.sciencealert.com/fake-fossil-method-baked-in-a-day-artificial-maturation-sediment

化石を作り出す際に最も問題となるのが「時間」で、これまでは化石を作るには「数千年から数百年」という長い年月が必要と考えられていました。しかし、ある研究チームが信じられないほど長い化石を作るための時間を「わずか1日」に短縮するという驚異の方法を開発しています。

従来の化石に関する研究では、化石を人工的に作り出すため実験的アプローチとして、物体に熱と圧力を加える「人工成熟」と呼ばれる手法が採用されています。「人工成熟」は、何百万年もの長い年月をかけて地中深くに埋もれた有機物が、堆積物からの圧力と地熱にさらされることで化石へと変化していく化学分解反応を模倣したものです。この化石を作る過程の研究は、人工の化石燃料を作ろうとする有機地球化学者に広く知られており、似た手法を取る合成ダイヤモンドの生成よりもはるかに難しい実験であると考えられていました。実際、フィールド自然史博物館の古生物学者であるエヴァン・サイータ氏が人工成熟で羽毛を化石にしようとしたところ、石ではなく臭いのある泥になってしまったそうです。

ブリストル大学の古生物学者であり、サイータ氏の顧問でもあるるヤコブ・ヴィンダー博士は、人工成熟が失敗したことについて、「化石は素早く腐敗したからできあがるというものではなく、さまざまな組織の分子組成から成り立っているのだと実感できた」と語っています。

by Irene Grassi

サイータ氏の試みの中で欠けていたものは「堆積物」の存在であると考えた研究チームは、化石が自然に作り上げられる地中では、堆積物が多孔性であるためその穴から腐敗した液体が流れ出し、良質な乾燥した化石のみが残るのではと考えたそうです。

そこで、ヴィンダー博士はFoundation For Scientific Advancementのトム・ケイ氏と協力し、植物や動物の標本から炭素質の化石を作りだすという新たな方法を編み出します。ヴィンダー博士はトカゲ・鳥羽・葉っぱ・樹脂からサンプルを採取し、油圧プレスを使い、これらを直径約19mmの小さな堆積物に圧縮します。続いて、この堆積物を金属管の中に入れて密閉し、約3500psiの圧力をかけ、そのままセ氏約210度で加熱します。この圧力をかけながら熱する工程は、人工成熟で用いられるものと同じ装置が使用されたそうです。

そうして出来上がった物体を見た際についてサイータ氏は、「私たちはとても興奮していました」「(出来上がったものは)実際の化石のように見え、皮膚やウロコは黒いフィルム状になり、骨は褐色化しました」と語っています。

以下の写真はサイータ氏やヴィンダー博士らの研究チームがわずか1日で作り出した化石と本物の化石を並べた写真。ヴィンダー博士らによる合成化石はB・C・H・Iの4つです。Kは始新世のトカゲの化石で、KとL以外は本物の化石とは呼べないものだそうです。しかし、実際の化石を調べる際と同じように電子顕微鏡を用いて精密な検査を行ったところ、合成化石でも動物の体内細胞の中にあるメラニン色素を合成・貯蔵するオルガネラを発見することができたそうです。さらに、実際の化石にはタンパク質や脂肪組織が含まれていませんが、合成化石でもそれらの物質を検出することはできなかったそうです。


実験のカギとなったのは合成化石を作る際に粘土を一緒にいれて圧力と熱を加えたことだそうです。この土が化石全体を濁らせる代わりに、不安定な生体分子が漏れ出ることを許し、堆積物が腐敗した土ではなく化石となる手助けをしたと考えられています。

サイータ氏は「我々が化石化の過程をシミュレートすることで、7000万年という長い期間をかけて行う実験の必要がなくなります」と実験の意義について語っており、「これを使ってどのような種類の生体分子が化石化の圧力と熱に耐えることができるのかを知ることができ、実際の化石を調べる際に『何を探すべきか』より明瞭になります」と語っています。

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in サイエンス, Posted by logu_ii