スーパーコンピューターTOP500発表、アメリカが首位奪還

by U.S. Department of Energy

ベンチマークによるコンピューターの性能ランキングTOP500の2018年6月版が発表されました。過去5年間は中国製のスーパーコンピューターがランキングを席巻したのですが、IBMの世界最速スーパーコンピューター「Summit」がトップに踊りでるなど、大きな変化が見られます。

June 2018 | TOP500 Supercomputer Sites
https://www.top500.org/lists/2018/06/

Summit Supercomputer Ranked Fastest Computer in the World | Department of Energy
https://www.energy.gov/articles/summit-supercomputer-ranked-fastest-computer-world

US Regains TOP500 Crown with Summit Supercomputer, Sierra Grabs Number Three Spot | TOP500 Supercomputer Sites
https://www.top500.org/news/us-regains-top500-crown-with-summit-supercomputer-sierra-grabs-number-three-spot/

ランキングのトップ5に並んだスーパーコンピューターは以下の通り。

◆1位：Summit
1位に輝いたのは122.3ペタFLOPSという性能を誇るIBMとNVIDIAが設計したスーパーコンピューター「Summit」。4356個のノードそれぞれに22コアのIBM Power9 CPUと6枚のNvidia Tesla V100 GPUが搭載されています。

Summitについては以下の記事からも読むことができます。

IBMとNVIDIAが世界最速のスーパーコンピューター「Summit」を構築、中国から世界一の座を奪還へ - GIGAZINE

◆2位：神威・太湖之光
中国の中国国家並列計算機工程技術センター(NRCPC)が開発した神威・太湖之光は、93ペタFLOPSをマークし、2016年・2017年にはTOP500で1位となっていました。

◆3位：Sierra
IBMが新たに開発した71.6ペタFLOPSのSierraはアメリカにあるローレンス・リバモア国立研究所で使われているもの。SierraのアーキティチャはSummitに似ていて、Power9 CPUと NVIDIA Tesla V100 GPUを使った4320個のノードを持ちます。

◆4位：天河二号
中国人民解放軍国防科学技術大学のスーパーコンピューター天河二号は33.86ペタFLOPSの処理能力を持ち、2013年にはTOP500の1位を獲得しました。当時はXeon Phiプロセッサで構築されていたのを、新たにMatrix 2000コアプロセッサに変更していますが、2018年度のランキングでは4位に落ちています。

◆5 位：ABCI
19.9ペタFLOPSの人工知能処理向け大規模・省電力クラウド基盤(ABCI)は富士通が開発しているもの。NVIDIA Tesla V100 GPUと、20コアのXeon Goldプロセッサを搭載しています。

SummitとSierraの登場によって中国が独占していたランキングに再びアメリカのメーカーが登場することになったものの、「アメリカは124システムしか有しておらず、一方で中国には206のシステムがある」として、まだまだアメリカのスーパーコンピューター数が少ないとTOP500は評しています。アメリカ・中国に続いてスーパーコンピューターの設置数が多いのは日本(36システム)、イギリス(22システム)、ドイツ(21システム)、フランス(18システム)となっています。

また、500システム合計の演算性能は1.22ExaFLOPSであり、初めてExaFLOPSを突破しました。1PFlops超えのシステムも前回は181システムだったのが273システムに達しています。これは驚異的な数字のように聞こえますが、2013年から記録していた上昇率よりも下回っているとのことです。

なお、全ランキングは以下から見ることができます。

June 2018 | TOP500 Supercomputer Sites
https://www.top500.org/lists/2018/06/