サイエンス

「砂浜でのランニング」は本当に有効なのか?

by Bradley Wentzel

暑い夏場は海からの潮風が心地良い砂浜が絶好のランニングスポットとなります。実際に部活や体育の授業などで砂浜を走った経験があるという人も少なくないと思いますが、柔らかい砂の上を走ることで起きる好影響と悪影響について科学系ニュースメディアのLive Scienceがまとめています。

Is Running on the Beach Bad for Your Body?
https://www.livescience.com/62814-beach-running.html

オハイオ州立大学Wexner Medical Centerの整形外科医であるKelton Vasileff氏によると、砂浜には無数の凹凸が存在しており、足元で常にその形状が変化するため、「砂浜でのランニング」は初心者にとって難しいものだそうです。Vasileff氏は「砂の動きにより踏み込みを失うこともあるかもしれず、舗装された道を走るような推進力を得られないだろう」と語っています。

しかし、この砂浜特有の不均等さが人体に余分な負荷をかけ、舗装された道を走る際にはあまり使われないような筋肉を鍛えることが可能となります。例えば、足・足首・インナーマッスル・腰回りの筋肉・腰の筋肉などは、形が変化する砂浜を走ることで通常よりも高い負荷をかけて鍛えることが可能です。

by Alex wong

もちろん砂浜を走ることで体に悪影響を及ぼすこともあります。大抵の砂浜は水面に向かって傾いているため、砂浜で長時間のランニングを行うと、片方の足首・脚・膝に負担をかけることとなります。砂浜を裸足で走る人もいますが、「普段から裸足で走っている」という人以外は、「砂浜で裸足でランニングする」という場合、初めは長距離を走ってはいけないとVasileff氏はアドバイスしています。これは、裸足で走る場合、靴を履いて走る際とは異なる筋肉を使用するからであり、これらの筋肉を少しずつ鍛えて足を「裸足で走ること」に適応させることが重要だからだそうです。

加えて、砂の粒が粗い場合もあるので「裸足で走ることは素晴らしいことですが、水ぶくれができやすいというリスクもあります」とVasileff氏は指摘しています。

by Toa Heftiba

それでも砂浜を走ることはアスリートにとって優れた選択肢となる、とLive Scienceは記しています。砂は高い衝撃吸収性を持っており、ある研究によれば、砂浜でのトレーニングは「高強度トレーニングが体に与える悪影響を軽減することができる」とのことです。

また、2017年に発表された別の研究により、芝生の上を走ったあとよりも砂浜を走ったあとの方が血中のミオグロビンが少ないことが明らかになっています。ミオグロビンは、筋肉の炎症兆候となるタンパク質の一種であり、つまり、砂浜などの柔らかい地面を走ることで、筋肉の損傷を軽減することが可能であることが示唆されているわけです。「体に高い負荷をかけながら怪我のリスクを減らすこともできる」ということで、砂浜でのランニングはアスリートにとってベストな体力強化手段なのかもしれません。

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in サイエンス, Posted by logu_ii

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