海賊版の利用者は「方法があればお金を払って合法的にコンテンツを得る」という調査結果
by picjumbo.com
「海賊版の音楽を違法ダウンロードするユーザーの方が音楽により多くお金を使っている」ことが2016年の調査結果で明らかになりましたが、これと同様に、海賊版の利用者は「何もかもを無料で得ようとする犯罪者」ではなく「合法コンテンツがない時に違法ダウンロードを行う潜在的顧客」であることを示す新たな調査結果が発表されました。
Annual Piracy Reports | MUSO
https://www.muso.com/annual-piracy-reports/
Pirates Are Valuable Customers, Not The Enemy - TorrentFreak
https://torrentfreak.com/pirates-are-valuable-customers-not-the-enemy-180606/
Study Again Shows 'Pirates' Tend to Be The Biggest Buyers of Legal Content - Motherboard
https://motherboard.vice.com/en_us/article/evkmz7/study-again-shows-pirates-tend-to-be-the-biggest-buyers-of-legal-content
この調査は、著作権侵害に関する技術サービスを提供するイギリスのMUSO TNTがイギリス国民1000人を対象に行ったもので、被験者のうち60%が「過去に音楽・映画・テレビ番組などを違法にストリーミングしたりダウンロードしたりしたことがある」と答えたとのこと。
しかし、同時に、被験者のうち83%は違法ダウンロードを行う前に正規のサービス内で求めるコンテンツがあるかどうかを調べていたこともわかっています。全被験者のうち86%はNetflixといったサービスに加入しており、違法ダウンロードをした経験がある被験者に限定すると、定期購読型のストリーミングサービスに加入していた割合は91%にも上りました。つまり、基本的にはお金を支払ってコンテンツを楽しんでいるものの、自分の利用するサービスに求めるコンテンツがない時は、違法な方法に移るという形のようです。
by FirmBee
また、海賊版を利用した理由で最も多いものは、「手頃な値段ではなかった(35%)」「合法な方法で手に入らなかった(34%)」「アクセスが難しかった(34%)」の3つだったとのこと。
MUSOのPaul Briley氏は「娯楽産業は海賊版を利用する視聴者を犯罪者のように描き、『損失につながる』と記しますが、それは間違いです」「ライセンスがないコンテンツを探してアクセスしようとする人の多くは、可能であれば合法的にコンテンツを得ようとする人がほとんどなのです」と今回の調査結果について語りました。
2002年頃から既に「音楽ファイルをシェアしている人は、シェアを始める前より合法の音楽ファイル購入により多くのお金を使っている」ということはいわれており、過去の調査では何度も「海賊版を利用する人は、利用しない人よりも多くの合法コンテンツを購入している」という結果が示されてきました。今回の調査結果はこれらを支持するものとなります。
IT系メディアのMotherboardは、音楽産業における海賊版の扱いについて、「『海賊版は娯楽産業の最大のカスタマーである』という主張は、ブロードバンド時代のビジネスモデルへの適合に難色を示す企業によって無視される傾向がある」と述べています。多くの企業は「海賊版の利用者は無料コンテンツに熱心な犯罪者ではなく、利用可能なオプションに満足していない潜在的顧客だ」という学びを受け入れないでいる、ということを今回の調査は示しているとのことです。
by DanFa
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