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ダイヤモンド業界を支配し「天然石」の価値を訴えてきたデビアスが「合成ダイヤモンド」のジュエリー販売へ


ダイヤモンドの採鉱・流通・加工・卸売を行うデビアスが、今後は合成ダイヤモンドの販売を行う予定であることを明かしました。デビアスはこれまで天然ダイヤモンドに価値を置いて販売してきていたため、大きな方針変換であると指摘されています。

De Beers to Sell Diamonds Made in a Lab - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-05-29/de-beers-is-said-to-make-u-turn-by-selling-man-made-diamonds

De Beers to start selling man-made diamonds
http://money.cnn.com/2018/05/29/news/companies/de-beers-man-made-diamonds/index.html


デビアスは1880年以降にダイヤモンド・カルテルを作り上げた企業といわれており、「ダイヤモンドは永遠と愛の象徴」というイメージも当時のデビアスが作ったもの。映画の中での結婚祝いとしてダイヤモンドを使ったり、有名人を起用し雑誌や新聞中にダイヤモンドのロマンチックな面を想起させるストーリーを掲載したりするデビアスのマーケティングによって、ダイヤモンドの価値は人為的につり上げられているという指摘も行われています

一方で、合成ダイヤモンドは1870年代から研究が始まり、1950年代に最初の合成に成功したといわれています。合成ダイヤモンドは天然のものよりも硬さや熱・電気伝導性、電子移動度に優れていることから研磨材、切削工具、ヒートシンク(放熱板)などに使われるほか、量子コンピューティングの研究にも用いられています。

デビアスはドリルや機械加工に使われる合成ダイヤモンドの製造を長い間行ってきましたが、これまで、ジュエリーとして研究所で作った合成ダイヤモンドを使用することはありませんでした。デビアスは客が「本物を買っている」ということを確信するために合成ダイヤモンドのジュエリーの販売を避けており、むしろ天然石と合成品の違いを何年ものあいだ伝える立場にありました。

デビアス 『ダイヤモンドは永遠の輝き』CM 1996 De Beers - YouTube


デビアスの方針転換の背景には合成ダイヤモンドを使ったジュエリーを販売する競業他社の存在や消費者のニーズを受けてのものだと見られています。合成ダイヤモンドのターゲット層は高価なジュエリーを買うことに抵抗がある若年層であり、デビアスの方針転換によってダイヤモンド産業は「婚約指輪など高級な指輪に飾られる天然ダイヤモンド」と「ミレニアル世代がつけるファッションアイテムとしての合成ダイヤモンド」に二分されるという指摘も。

デビアスの合成ダイヤモンドはキュービックジルコニアといった「ダイヤモンドに近い」とされる人造石とは異なり、天然ダイヤモンドと物理学的に同じ性質を有しているとのこと。ダイヤモンドの合成は、「炭素シートにマイクロ波でエネルギーを加え、高圧下で熱することで炭素をプラズマ状態に変化させる」という方法がとられています。これによって粒子は1週間以内にダイヤモンドとして結晶化するとのこと。完成した合成ダイヤモンドは専門家が識別機器を用いないと、天然ダイヤモンドと見分けがつかないそうです。

合成ダイヤモンドは「Lightbox」という名でデビアスから販売され、アメリカでの価格は1カラット800ドル(約8万6700円)になる予定。天然ダイヤモンドは1カラット8000ドル(約86万7000円)ほどなので、およそ10分の1の価格です。

デビアスのブルース・クリーバーCEOは「研究所で作ったダイヤモンドは特別でなく、本物でも、ユニークでもありません。何度も何度も同じものが作れるのです」と天然石と合成品の違いを語っており、これからも天然石の販売をメインに行う意向を明らかにしています。合成ダイヤモンドの販売は「小規模で収益性の高いビジネスを創出する」ためのものであり、既存の合成ダイヤモンド製造業者を混乱させるものでないとのことです。また、天然のダイヤモンドに対して行われる格付けは、合成ダイヤモンドに対しては行わないことも明かしています。

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