2008年に落下したアルマハータ・シッタ隕石は「失われた惑星」の破片である可能性が高いと研究者が指摘
2008年にスーダンのヌビア砂漠に落下したアルマハータ・シッタ隕石にはダイヤモンドが含まれていました。2009年の分析では小惑星「1998 KU2」に由来する隕石として考えられていましたが、地球惑星科学研究所(EPSL)のフィリップ・ジレット氏ら研究チームによると、アルマハータ・シッタ隕石は、かつて太陽系の初期に存在していた「失われた惑星」の一部である可能性が高いとのことです。
A large planetary body inferred from diamond inclusions in a ureilite meteorite | Nature Communications
https://www.nature.com/articles/s41467-018-03808-6
Diamonds in Sudan meteorite 'are remnants of lost planet' | Science | The Guardian
https://www.theguardian.com/science/2018/apr/17/diamonds-in-sudan-meteorite-are-remnants-of-lost-planet
ジレット氏ら研究チームがアルマハータ・シッタ隕石に含まれているダイヤモンドを分析したところ、ダイヤモンドは衝突時に生成されたものではなく、元は別の惑星の一部で、その深部にダイアモンドが存在していた可能性が高いことがわかりました。なお、隕石に含まれるダイヤモンドを生成する圧力を生むには、水星や火星と同程度の大きさの惑星でないと生み出せないとのこと。
天文学者はこれまで、太陽系は最初の1000万年の間に、月から火星程度の大きさの惑星を数十個形成し、これらが衝突を繰り返すことで、最終的に現在の太陽系の形になったと考えてきました。今回発表された研究は、この仮説を裏付ける1つの証拠になる可能性があります。
2008年にヌビア砂漠で爆発したアルマハータ・シッタ隕石は、スーダンのハルツーム大学によって480個のサンプルが集められました。当初行われた分析では、「ユレイライト」と呼ばれる珍しい種類の隕石であることがわかっていました。
また、2015年には日本とスイスの研究者たちが、アルマハータ・シッタ隕石は地球との衝突などで発生する圧力によって生成されるダイヤモンドよりも、はるかに大きなダイヤモンドが含まれていることを確認しました。このため、隕石が「失われた惑星」起源のものではないかと考えられていましたが、裏付ける証拠がなかったそうです。
ジレット氏らの研究チームは、隕石中のダイヤモンドには、20ギガパスカル以上の圧力でしか形成されないと考えられる鉄硫黄化合物の斑点が存在しており、このダイヤモンドは、「未知の世界」で生成されたものであると結論付けています。つまり、太陽系にかつて存在した「失われた惑星」の破片である可能性が高いことを示唆しています。
北アリゾナ大学で隕石研究所を運営しているジェームズ・ヴィトケ氏は「失われた惑星の大きさが、水星ならまだしも火星ほどの大きさだったという点には驚きますが、この研究はアルマハータ・シッタ隕石の本来の姿を示す十分な証拠を提示しています」と語っています。
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