MicrosoftがIoT端末のセキュリティを高めるべくチップ・OS・クラウドを統合した「Azure Sphere」プラットフォームを発表、OSにはWindowsではなくLinuxを採用


MicrosoftがIoT端末のセキュリティを確保するために、マイクロコントローラーチップ、OS、クラウドに至るまで一貫したシステムを構築できるプラットフォーム「Azure Sphere」を発表しました。Windowsを捨ててカスタムLinuxを採用するなど、Microsoftにとっても革新的なサービスになっています。

Introducing Microsoft Azure Sphere: Secure and power the intelligent edge | Blog | Microsoft Azure
https://azure.microsoft.com/en-us/blog/introducing-microsoft-azure-sphere-secure-and-power-the-intelligent-edge/

マイクロコントローラーチップ(ハードウェア)、OS(ソフトウェア)、クラウドの三位一体のIoTシステム「Azure Sphere」のコンセプトは以下のムービーで説明されています。

Microsoft Azure Sphere Leadership Vision - YouTube


Azure Sphereのマネージングディレクターのガレン・ハント氏は「Microsoftは完全に新しいマイクロコントローラーのクラスを作り出しました」と述べています。


Azure Sphereはチップレベルから構築されたシステム。家庭に次々と導入されようとしているIoT家電の中に……


ARMベースのAzure Sphere専用のSoCが組み込まれます。


Microsoft AI and Reserchのピーター・リー副社長によると、「MicrosoftのクラウドシステムAzureの接続性と安全性の基礎をAzure Sphereで築き上げる」のが狙いだとのこと。


Azure Sphereのプロダクトマネージャーのヴィクラム・デンディ氏は、「Azure Sphereは今後数十年のMicrosoftのセキュリティ、生産性、クラウドの可能性を築く基礎になるもの」だと述べています。


シングルチップコンピューターにおいてはマイクロコントローラーの「価格」は重要な要素になります。


Azure Sphere専用チップは、スケールメリットを生かすことで低価格を実現する、とハント氏。


オリジナル端末の開発者の場合、Azure Sphereテクノロジーを導入することでコストをほとんどかけることなく、また複雑な組み込みソフトウェアを設計することなくIoT端末を開発できます。


IoT端末を開発する人にとって、セキュリティ面で妥協することは許されません。


セキュリティはIoT端末の基礎にあるもの。


Azure Sphereはチップレベルからセキュリティ面の対策が施されます。


チップからOS、クラウドに至るまでのすべての過程を通じて、セキュリティが確保されるとのこと。


また、クラウドへの接続性もIoT端末では重要な要素ですが……


それ以上にIoT端末を通してユーザーとつながることは重要です。


ソフトウェア開発者にとって、既存のマイクロコントローラー・プラットフォームの生産性を高めることは困難になりつつあります。


Azure Sphereの大きな利点は、マイクロコントローラーの領域にVisual Studioのエコシステムを利用できるということ。


ハント氏がAzure Sphereに最も興奮するのはその巨大なスケールだとのこと。


毎年何十億もの端末が誕生します。Azure Sphereは、そのすべての端末をクラウドに接続することで新しいユーザー体験を実現させられます。


「Azure SphereはIoT端末開発者とIoT端末利用者の両方に、新しい革新的なアイデアを提供します」


Azure SphereはIoT端末のための、ハードウェア・ソフトウェア・クラウドのすべてを一貫して構築できるプラットフォームです。専用のマイクロコントローラーユニット(MCU)にはARMのCortexベースのチップが採用され、Microsoftのセキュリティモジュール「Pluton」が組み込まれ、暗号鍵のサポート、システム更新機能などが含まれます。ソフトウェアには専用の「Azure Sphere OS」が採用され、すべてのAzure Sphere端末を保護するカギとなるセキュリティは、証明書をクラウドベースで管理して認証することで、IoT端末におけるセキュリティ面への懸念を払しょくします。


MicrosoftはすでにシリコンベンダーのMediaTekとAzure Sphereチップの共同開発を行っており、2018年内に最初のAzure Sphereチップ「MediaTek MT3620」をリリースする予定だとのこと。また、より多くのシリコンベンダーがAzure Sphereプラットフォームに参加することによる量産効果でチップ価格が下がることを期待して、チップに関する技術をロイヤリティフリーで提供します。一部の端末メーカーとは製品開発に向けて協力しており、2018年内にAzure Sphere採用のIoT製品が登場する見込み。一般の開発者向けの開発キットも2018年中期にリリースする予定です。

なお、Azure Sphere OSはLinuxベースだとのこと。Microsoftの礎を築いたWindowsにこだわることなくカスタムLinuxカーネルを利用する点でも大きな注目を集めています。2018年4月にMicrosoftは大規模な組織改編を行いWindows部門のリーダーを務めていたテリー・マイヤーソン氏が同社を離れたことが分かっています。「クラウドファースト」を掲げるサティア・ナデラCEOの指揮の下、Windowsを捨ててLinuxを採用してまでAzure Sphereテクノロジーを構築する点に、Microsoftの本気が感じられます。Microsoftはハード・ソフト・クラウドが三位一体となったAzure Sphereエコシステムで今後、急激に発展するIoT市場の制圧を狙うようです。

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