中国の宇宙ステーション「天宮1号」は偶然にも陸地から最も遠くて「人工衛星の墓場」と呼ばれる海域に落下した模様


運用終了後に「制御不能」の状態となって地球の引力に任せて落下する状態に陥っていた中国の中国の宇宙ステーション「天宮1号」が2018年4月2日、ついに地球の大気圏に突入して最期を迎えました。人が住む地域に落下して被害を出す確率は3兆分の1ともいわれていた天宮1号でしたが、最終的に落下したとみられるのは地球の陸地から最も遠く離れ、多くの人工衛星の残骸が眠る海域「ポイント・ネモ」から数百~数千km外れたエリアだったことがわかっています。

Chinese Space Station Tiangong-1 Burns Up Over the Pacific Ocean
https://www.popularmechanics.com/space/satellites/a19656153/chinese-space-station-tiangong-1-burns-up-pacific-ocean/

The Chinese Space Station Narrowly Missed Landing in the World's Largest ꞌSpacecraft Cemetery’
https://www.livescience.com/62197-point-nemo-tinagong-1-crash-landing.html

天宮1号が近くに落下したとみられるポイント・ネモは、人類が到達することが難しい到達不能極の1つに挙げられる地点です。陸上では「ユーラシア到達不能極」や「南到達不能極」などがあり、海洋の「北到達不能極」と並ぶのがポイント・ネモこと「太平洋到達不能極」で、南太平洋の南緯48.89度・西経123.45度に位置しています。最寄りの大陸は北のピトケアン諸島のデュシー島、北東のイースター島の属島モトゥ・ヌイ、南にある南極のマリーバードランドシプル島沖のメイハー島の3地点で、それぞれ2690kmも離れているため、仮に速力30ノット(時速約55km)の高速船で向かったとしても約49時間、つまり2日以上もかかります。


このように、ポイント・ネモは人間が船で到達することは非常に困難である上に、仮に到達したとしてもそこには何の観光スポットもありません。必死の思いをしてたどり着いても、ただ大海原を目の前に「ふむ、ここか」と納得して帰るだけではあまりに得られるものがないということで、この地点を目指す人は皆無です。しかし逆にいえば「地球上で最も人間が存在する可能性が低い場所」であるとも言えるため、「人工衛星の廃棄場所」としては格好のポイントと言うことができます。

事実、ポイント・ネモは別名スペースクラフト・セメタリー(宇宙船の墓場)とも呼ばれ、1971年から合計で260機余りの宇宙船がこの地点に投棄されてきました。最も多いのはソ連時代を含むロシアで、宇宙ステーション「ミール」など190機以上を投棄。これにアメリカ(52機)、ヨーロッパ(8機)、そして日本(6機)が続いています。また、2020年代の運用終了が予定されている国際宇宙ステーション(ISS)も、最終的にはこの海域に落とされることが決まっているとのこと。

そして今回、中国の天宮1号もこの海域の近くに落下したとみられています。これはもちろん「全くの偶然」ということにはなりますが、被害が最も少なく抑えられるエリアに落ちたということは人類にとってもホッと一安心できることといえそう。正確な場所を特定することは容易ではなさそうですが、直前の軌跡から判断すると天宮1号はポイント・ネモから南西に数千km離れてサモア諸島に近い海域に落下したと予測されています。


当初は「北緯43度から南緯43度の領域のどこか」という大ざっぱ極まりない落下予報しかなかった天宮1号でしたが、最終的には人類にとって最も安全な場所に落ちてくれたとのことで、恐らく中国政府を含め多くの人が幸運に胸をなで下ろしているはず。なお、日本から遠く離れた海に落ちたということで、日本には直接の被害は及ばなかった模様ですが、潮の流れに乗って破片が日本にやって来ないとも限りません。万が一何らかの部品を見つけてしまったとしても、勝手に持って帰ったりすると後から問題になることもあるので、以下の記事のようによく注意して警察に通報するなどの対応をとればOKです。

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in ハードウェア,   サイエンス, Posted by logx_tm