サイエンス

拳や指をポキポキ鳴らす「クラッキング」音の正体とは?

by Jaysin Trevino

握った拳を反対の手で包み込んで「ポキポキ」という小気味よい音を鳴らす行為は、ケンカなどの前に相手を威嚇する目的で行われ、英語圏では「クラッキング」や「ポッピング」ともいわれます。クラッキング音の原因は「関節内の気泡が爆発する音」ともいわれていますが、最近の研究では「音は気泡が形成される時に鳴る」という説も唱えられています。

The Knuckle-Cracking Debate Gets Twisty
https://www.livescience.com/62172-knuckle-cracking-debate.html

Pop! Knuckle-Cracking Noise Finally Explained
https://www.livescience.com/50495-knuckles-cracking-pop-explained.html

握った拳が発するクラッキング音の正体について、研究者たちは20世紀初頭から研究を続けてきたとのこと。しかし、1世紀以上にわたって多くの研究者たちが謎に挑んできたにもかかわらず、完全なメカニズムの解明には至っていません。


長年の間「関節内に形成された気泡が押しつぶされ、破裂した時の音がクラッキング音の正体である」という説が有力でしたが、MRIでクラッキング時の拳を観察した2015年の研究によれば、関節内に気泡が形成された時点で音が鳴るという説が新たに唱えられました。

研究を行ったアルバータ大学のグレッグ・カウチュク氏は、「関節と関節が急速に引き離された時、関節の間に生じる隙間を埋める滑液の量が足りなくなり、滑液中に気泡が形成されます。これがクラッキング音の正体だと考えられます」と主張し、クラッキング研究者たちの間に大きな衝撃を与えました。

by Robin Inkysloth

関節内の気泡形成メカニズムについてはキャビテーション(空洞現象)という、液体内の圧力が下がった時に気泡が形成される物理現象として知られています。ところが、スタンフォード大学の研究者であるヴィネース・チャンドラン・スジャ氏はこの説に疑問を持ち、「キャビテーションによる気泡発生にしては、クラッキングの音は大きすぎる」と主張しています。

スジャ氏らの研究グループはMRIの画像撮影速度があまりにも速すぎるため、関節内の気泡形成がクラッキング音と関連していることを証明することができていないとして、代わりにクラッキング音を数学的モデルで記述する方法を考案。スジャ氏が考案した数学的モデルによれば、クラッキング音の発生は関節内の滑液に大きな圧力がかかり、同時に滑液内の気泡が崩壊して小さくなるタイミングと対応して発生していることがわかったとのこと。

「私たちの開発した数学的モデルは、これまでクラッキング音に対して唱えられてきた『関節内の気泡が爆発したことが原因でクラッキング音が鳴る』という説に合致する」とスジャ氏は述べていますが、クラッキング音を実際に観察したわけではないため、さらなる議論が巻き起こる可能性があります。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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