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密輸されたStarlink機器を活用し政府の通信規制といたちごっこを続けるイランの現状とは?


経済崩壊等に端を発するイランのデモが2025年12月末から続く中、イラン政府は史上最も厳しいインターネット遮断措置を実施しました。衛星インターネットサービスの「Starlink」は遮断措置の影響を受けつつも、多くのイラン人が外界と隔絶されている中でわずかな外とのつながりの維持に一役買っています。

Free Starlink access for Iran seen as game changer for demonstrators getting their message out | Mint
https://www.livemint.com/technology/free-starlink-access-for-iran-seen-as-game-changer-for-demonstrators-getting-their-message-out-11768395754683.html

An ecosystem of smuggled tech holds Iran’s last link to the outside world | Iran | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2026/jan/13/ecosystem-smuggled-tech-iran-last-link-outside-world-internet

Starlink tries to stay online in Iran as regime jams signals during protests - Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2026/01/starlink-tries-to-stay-online-in-iran-as-regime-jams-signals-during-protests/

How Iran switched off the internet
https://www.ft.com/content/5d848323-84a9-4512-abd2-dd09e0a786a3

イラン全土でインターネット接続の遮断が確認されていますが、ごく一部の国民はインターネット接続を確保し、テヘラン南郊カフリザクの路上に横たわる遺体の写真を投稿したり、葬儀でイラン国民が「ハメネイ師に死を」と叫ぶ動画を共有したりしています。イランのデジタル権利専門家アミール・ラシディ氏によれば、これらの動画やメッセージは検閲を回避するために設計されたオンラインツールを通じて送信されており、その中にはTelegramのプロキシCenoと呼ばれるブラウザが含まれているそうです。中でも最も重要な役割を担っているのが、低軌道上の数千基の衛星を介してインターネットに接続するStarlinkです。

Starlinkは2022年、イランのスカーフ着用義務法に対する抗議活動の最中にイランへ密輸され始めました。Starlinkを提供するSpaceXのCEO、イーロン・マスク氏がバイデン政権にStarlinkを対イラン制裁から除外するよう働きかけた後のことでした。それ以来5万台以上のユニットがひそかに持ち込まれたと推定されており、国内のユーザー数は最大で10万人に上るとみられています。

しかしながらイラン政府はこれをよく思わず、2025年にはStarlinkの輸入・販売・使用を違法化。Starlinkの使用はアメリカやイスラエルを支援するスパイ行為だとして、最悪の場合は死刑に処するとしています。今回のデモの最中もイラン政府によるStarlink通信の妨害行為が確認されていて、電子戦用に開発されたツールを用いて地域全体の信号を妨害したり、ドローンを屋根の上空に飛ばして証拠となる衛星アンテナを探したりしているとのこと。

Starlinkがイランの完全インターネット遮断を突破できない理由 - GIGAZINE


記事作成時点では、Starlinkを密かに使用している少数の人々はオンライン接続が可能ですが、電波干渉が激しい地域ではメッセージの送信以上のことはほぼ不可能とのこと。おまけにStarlink機器が使用する特定の周波数の信号を追跡することは技術的には可能とのことで、今後ますます取り締まりが厳しくなる可能性が示唆されています。

Starlinkは現地組織の尽力で一時無料化されていて、パケットロスを減らすアップデートが行われるなどイラン政府とのいたちごっこが続いています。Starlinkの積極的展開にはドナルド・トランプ大統領も乗り気で、「Starlinkをイランでも利用できるようにしたい。イーロンと話をしてみるつもりだ。ご存じのように、彼はそういうことに非常に長けており、素晴らしい会社を持っている」と話していました。後にトランプ大統領とマスク氏との会談が行われたと伝えられています


経済紙のFinancial Timesは、今回のイラン政府による通信遮断は「長年の計画が実行に移されたもの」だと指摘しています。イラン政府は約10年にわたり、外国のウェブコンテンツへのアクセスを制限し、政府が承認したウェブサイトのみを閲覧可能にする「国家情報ネットワーク(NIN)」を構築していましたが、過去の実験はうまくいかず、政府内では「次回は全てを閉鎖せざるを得なくなる」との声が出ていたとのこと。今回、イランはまさにそれを実行したものとみられています。

今回の遮断は徹底的で、基本的には自由なアクセスが認められるという「ホワイトSIM」を発行されていた政府関係者やジャーナリストでさえ、インターネットにアクセスできなくなっているとのことです。

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in ネットサービス, Posted by log1p_kr

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