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日本の白熱電球が世界的な電球カルテル「ポイボス・カルテル」を揺るがしていた

By Robbie Sproule

1924年に世界の主要な電球メーカーによって締結されたポイボス・カルテルは白熱電球の寿命が1000時間を超えないようにすることを定め、安定的な利益を得ようとするものでした。このカルテルは第二次世界大戦が近づくことで次第に続けられなくなるのですが、終息をもたらした原因の一つに日本の白熱電球の存在があったようです。

The Great Lightbulb Conspiracy - IEEE Spectrum
https://spectrum.ieee.org/tech-history/dawn-of-electronics/the-great-lightbulb-conspiracy

1924年12月23日、スイスのジュネーヴにドイツのオスラムやオランダのフィリップス、フランスのLa Compagnie des Lampes、アメリカのゼネラル・エレクトリックなど世界有数の電球メーカーの代表者が集まり、ポイボス・カルテルを締結しました。これは歴史上最初のカルテルと言われています。

ポイボス・カルテルで合意された内容は「白熱電球の寿命を1000時間未満にする」というものです。しかし、当時の各電球メーカーの白熱電球の平均寿命は1500時間~2500時間程度だったため、大幅な時間短縮を行うための技術的な対策を行う必要に迫られることになります。それでも、なぜ計画的陳腐化ともいえるこの合意ができたのかというと、「消費者の電球の買い換えを促進できれば、利益の確保が見込める」という利点に各メーカーが賛同したからです。

By Mike Mozart

このカルテルは「国際的な白熱電球産業の発展のための条約」と呼ばれ、締結したメーカーは上述のメーカー以外にもハンガリーのTungsramやイギリスのイングリッシュ・エレクトリック、日本の東京電気などが含まれており、各国で「白熱電球は1000時間程度の寿命が最も効率的で、熱を発すれば発するほど明るくなくなり電力が無駄になるトレードオフの関係がある」という嘘を消費者に認識させることにしたとのことです。

このカルテルの締結後、各メーカーで製造した白熱電球の試験がスイスで定期的に行われるようになります。この試験では白熱電球の寿命が1000時間を超過したり、基準値より短い場合に罰金が課せられるようになりました。このため、各メーカーの研究者は短期間で白熱電球の寿命を短くする必要に迫られました。


各メーカーの研究者は白熱電球に対して、「標準電圧よりも高い電圧で動作」「電流を大きくする」という2つのアプローチをとり、1926年~1934年の約8年間で平均1800時間あった寿命が1205時間に短縮できたと報告されています。


こうしてポイボス・カルテルの効果で1926年~1927年には3億3570万個の電球を販売し、その4年後の1930年~1931年には4億2080万個の売上にアップしました。さらに実際の製造コストもどんどん低下していっていたため、利益率も高かったようです。

しかし、大企業の間で行われていたカルテルも徐々に継続困難になる事態が訪れることになります。それは日本の白熱電球が世界中を席巻することになったからです。日本ではブランド志向が強く、カルテル企業の東京電気など大手メーカーが製造する高価格の白熱電球の需要が高かったため、小さな工場や家族経営の工房が作る低価格の白熱電球が国内でほとんど売れず、アメリカやヨーロッパなど世界中に輸出されることになります。するとカルテル企業の電球の数分の1という安価な白熱電球はコストパフォーマンスに優れていたこともあって、瞬く間にヒット商品となり、1922年~1933年で安価な白熱電球の生産量は4500万~3億個に増加することになりました。

By Bryan Brenneman

日本の白熱電球が輸出されるようになった後、1930年~1933年の約4年間でカルテル企業の電球販売個数が20%以上減少することとなり、カルテルの是非をめぐって企業間で議論が紛糾するようになりました。そして第二次世界大戦が近づくにつれて、戦争の影響から企業間での調整が困難となりカルテルは1940年に廃止されることになりました。

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in メモ,   ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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