6万年以上前の洞窟壁画が発見され、ネアンデルタール人による芸術作品であると判明

by Erich Ferdinand

今から4万年ほど前まで、ヨーロッパ周辺に住んでいた旧人類がネアンデルタール人(ホモ・サピエンス・ネアンデルターレンシス)です。ネアンデルタール人は厳密には現生人類(ホモ・サピエンス・サピエンス)とは別系統の人類ですが、私たちと同じように芸術活動を行っていたということがドイツの研究チームによって、アメリカの科学雑誌Science電子版で発表されています。

U-Th dating of carbonate crusts reveals Neandertal origin of Iberian cave art | Science
http://science.sciencemag.org/content/359/6378/912.full


Ancient cave paintings turn out to be by Neanderthals, not humans - The Verge
https://www.theverge.com/2018/2/22/17041426/neanderthals-cave-painting-spain-uranium-dating


洞窟に描かれた絵の中で最も有名なフランスのラスコー洞窟壁画は、およそ2万年前に生きていたクロマニョン人によって描かれたことが判明しています。一方、最古の洞窟壁画と考えられていたのはフランス南部にあるショーヴェ洞窟壁画で、描かれたのはおよそ3万2000年前とされています。ネアンデルタール人は約3万年~4万年前に絶滅したというのが通説で、ネアンデルタール人がショーヴェ洞窟壁画を描き芸術活動を行っていたという主張はあったものの、確定的な証拠がなく仮説どまりであったとのこと。

洞窟内では、水に溶け込んだ炭酸カルシウムなどが少しずつ層を成して壁や鍾乳石を作っています。そこで研究チームは、ラ・パシエガ洞窟、マルトラヴィエソ洞窟、ドニャ・トリニダード洞窟という3つの洞窟壁画の炭酸塩をサンプルとして採集し、ウラン-トリウム法と呼ばれる方法で年代測定を行いました。絵が描かれている層の上と下を測定することで、絵が描かれた年代を特定する狙いです。


その結果、調査した洞窟壁画は一番新しいものでもおよそ6万4800年前ということが分かりました。これはクロマニョン人がヨーロッパで生息を始めたとされる時代よりも4万年ほど古く、さらにその時代のスペイン周辺にはネアンデルタール人しか生息していなかったであろうことが既に先行研究で示されていたため、この洞窟壁画はネアンデルタール人によるものだと主張されています。


対象となっている壁画は点や線といった幾何学文様だけではなく、以下のマルトラヴィエソ洞窟壁画のように手をかたどったものもありました。「何かを象徴的に描くという芸術活動は新人以降の人類だけに認められる」という考えが通説とされてきましたが、他の洞窟壁画もネアンデルタール人によるものである可能性も浮上し、「ネアンデルタール人に芸術活動は認められるか」という議論に終止符を打つことになると研究チームは述べています。

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in サイエンス,   生き物,   アート, Posted by log1i_yk