人は本当に「白い歯」であることにこだわらなければならないのか?

By Rupert Taylor-Price

口元から見える輝く白い歯は健康や爽やかさの象徴と受けとめられ、芸能人や映画俳優、あるいは野球選手の中にも真っ白な歯を見せる人をよく見かけます。逆にいえば黄色や茶色に色づきがちな歯にはあまり良くない方のイメージがつきまとってしまうものですが、実際には歯に色が沈着しているからといって歯の質が良くないということにはならないようです。

BBC - Future - Why having white teeth doesn’t mean they are healthy
http://www.bbc.com/future/story/20171208-why-having-white-teeth-doesnt-mean-they-are-healthy

日本に限らず、アメリカやイギリスなどの国でも「歯の美白」は人気のある歯科措置の一つとなっています。その措置方法はさまざまで、歯に付着した色素や汚れを取り除く「クリーニング」から、薬剤などを使って歯そのものを白くする「ホワイトニング」など多岐にわたります。

しかし、歯に色が沈着することは自然な現象であり、必ずしも「歯の健康状態が悪い」ということにはつながらないとのこと。歯の色を決める要因はさまざまで、遺伝的なものから加齢によるもの、そしてワインやコーヒー、タバコなど歯に色をつけやすい食品や嗜好品などの影響が存在し、むしろ「歯に色がつかない」ということのほうが通常では考えにくいともいえます。

By CCFoodTravel.com

加齢によって人の歯は表面のエナメル質が徐々に失われ、内部にある象牙質が歯の表面に現れるようになります。この象牙質は黄色っぽい色をしているために、加齢によって歯の色は黄色さを増すようになります。そうして黄色さを増した歯に、こんどはトマトベースのソースやコーヒーなどに含まれる、着色の原因となる色原体の分子が付着することで、さらにくすんだ色やすこし緑がかった歯の色へと変化していきます。

歯の着色を研究する際には、人の歯が用いられることもありますが、主に牛などの動物の歯を使った実験がよく行われます。これは、変化をより観察しやすくするためにサイズの大きい牛の歯が選ばれるとのこと。ニューヨーク大学のマーク・ウォルフ博士が行った実験では、紅茶や赤ワイン、白ワインなどの液体の中に牛の歯を1時間にわたって浸し、歯の色の変化が観察されています。

その結果、最も顕著に着色が見られたのは赤ワインだったとのこと。また、紅茶は意外にもあまり着色は見られなかったのですが、まず白ワインに歯を浸してから紅茶の中に沈めるという順番を踏むと、紅茶に浸しただけの時よりも着色度がアップしました。これは、白ワインに含まれる酸が歯の成分に作用することで、表面に小さな穴が多くできた「多孔状」になり、そこに紅茶の成分が入り込むことで強く着色するようになっているとのこと。このようなことが原因で歯に着色が起こる場合、そこにはもちろん歯の健康状態はほとんど関係がなく、歯に多少の色の沈着があるとしても、それほど気に病む必要はありません。

By TJ Gehling

むしろ、専門家の間では「歯のために良い色素沈着もある」という見方も存在しているとのこと。その一つが、歯と歯肉の隙間に見られる黒い着色です。この現象については過去100年にわたってさまざまな研究が行われていますが、実は正確なメカニズムは解明されていないとのこと。最新の研究では、カルシウムやフッ素、細菌などが鉄や銅などと結合して複合物質を形成することでこの着色が生じていると考えられているのですが、一部の専門家からはこのような着色がある子どもは、その他の子どもに比べて虫歯になる確率が低いという事実をもとに、歯の健康にとって「良い着色」であるとする見方も示されています。

「きれいな歯になりたい」という感情は自然なものではありますが、一方では「歯の着色=ネガティブイメージ」とは必ずしも言いきれないという考え方も存在します。歯みがきなど日常的なケアを怠らず、時おり歯科医の診断を受けることが大前提ではありますが、白い歯であることにとらわれすぎる必要はなさそうです。

By Daniel Horacio Agostini

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