物悲しい短調の曲をハッピーな長調に変換するとものすごい破壊力を発揮することが判明

By Trillium Artisans

学校の音楽の授業で習ったはずの「長調」や「短調」は、その曲が持つニュアンスを決定する役割を果たしています。総じて長調は明るくて前向き、短調は物悲しくて愁(うれ)いのある雰囲気をかもし出すものですが、元は短調で書かれた曲をデジタル技術で長調に置き換えてみると、とてつもない破壊力で違う曲を生みだしてしまうことがわかりました。

Sad songs made happy: The amazing art of turning minor-key songs major
http://theweek.com/articles/467109/sad-songs-made-happy-amazing-art-turning-minorkey-songs-major

「短調を長調に変換する」とは言え、以下に挙げた楽曲は楽譜を書き直したり、新たに演奏しなおしたものではありません。いずれも、元の楽曲のデジタル音楽データをもとに、調を決める特定の音程だけを持ち上げたり下げたりできるソフト「Celemony Melodyne」などを用いて加工されたものとなっています。

◆短調の悲しい曲を明るい長調に変換
ド短調の曲として誰もが知っているのが、映画「ゴッドファーザー」のテーマ曲ですが、長調に変換するとイスから転げ落ちそうになるほどの衝撃をもって別曲に生まれかわってしまいました。冒頭だけを聴くと妙に牧歌的な雰囲気に笑いがこみ上げてくるのですが、そのまま聴き続けていると、不思議とどこかのタイミングからエンニオ・モリコーネ作曲の映画「ニュー・シネマ・パラダイス」の主題曲や、山本直純作曲の映画「男はつらいよ」のテーマ曲にも通ずる雰囲気が漂ってくるから不思議です。

"The Happy Godfather": original soundtrack in Major key (full) - YouTube


同じ短調ではありながら、アメリカのロックバンド・R.E.M.の名曲「ルージング・マイ・リリジョン」は悲しみというよりも「愁い」を感じさせるメロディーを持つ曲。原曲は「イ短調(Am)」ですが、シャープを3つ付けて「イ長調(A)」にしてしまうと妙な明るさを持つ曲に。しかし、「ゴッドファーザー」ほどの破壊力はなくスッと入ってくる感じもあり、むしろ「嫌いじゃない」と前向きに受け入れることができそう。

Major Scaled #2 : REM - “Recovering My Religion” on Vimeo


ちなみに原曲はコレ。まさにR.E.M.のもつ味わいが凝縮された曲です。

R.E.M. - Losing My Religion (Official Music Video) - YouTube


大幅に「やっちゃった」感のあるのが、スウェーデン出身のヘヴィメタルバンド・ヨーロッパの超有名曲「ファイナル・カウントダウン」の長調バージョンで、イントロの効果音に続くパイプオルガンのテーマが明るすぎで「おい!」とツッコミを入れてしまうほど。余りに雰囲気が変わりすぎで、荘厳さを感じさせる原曲が「コンサートの1曲目」だとしたら、長調バージョンのファイナル・カウントダウンは「コンサート最後で大盛り上がりの曲」といった雰囲気。

Final Countdown in Major key (full!) - YouTube


原曲はコレ。あちこちで使われている曲なので聴いたことがある人も多いはず。

Europe - The Final Countdown (Official Video) - YouTube


マイケル・ジャクソンの「ビート・イット」も原曲は短調。これを長調にしたのが以下のムービーですが、コレはどちらかというと違和感のほうが強く出てしまってるかも。それだけ原曲の印象が強すぎるということなのかもしれません。

"Beat it": original in Major key (full) - YouTube


原曲はといえばこんな感じ。

Michael Jackson - Beat It (Official Video) - YouTube


こちらも超有名曲、イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」を長調にしてしまったもの。イントロを聴くと全くの別曲ですが、歌メロが入ってくると調が変わっているはずなのにこれはまさに「ホテル・カリフォルニア」そのもの。ということは、いかにこの曲がドン・ヘンリーの声とメロディによって成り立っているのかが感じられます。

"Hotel California" in Major key! (short) - YouTube


◆今度は明るい長調の曲を悲しい短調にしてしまったら
先ほどまでとは逆の、長調を短調にしてしまったバージョンもなかなか味わい深いものがあります。平和を夢見るルイ・アームストロングの名曲「この素晴らしき世界」を短調にしてしまった作品がこちら。サビの部分で「そして心の中で思うんだ なんて素晴らしい世界なんだろうって」というハッピーな歌詞をマイナー調の愁いのあるメロディで歌い上げる様子は、まるで理想とはかけ離れた社会の姿を皮肉っているようにすら聞こえ、ブルース・スプリングスティーンの世界観とも共通するものがある、というと少し良く言いすぎかも。

"Wonderful world" in minor key - YouTube


ポリスの名曲「見つめていたい」を短調にしてしまったのがこちら。原曲を知っている人なら、特徴的なギターの音色を聴くとあのイントロが反射的に脳の中に浮かぶものですが、期せずして短調に行ってしまうところにものすごい違和感。しかし、聞き慣れてくると「コレはコレでアリか」などと妙に腑に落ちてくるからやはり不思議です。

"Every breath you take" in minor key - YouTube


とはいえ、原曲を聴くとやはり「ホッ」としてしまいます。

The Police - Every Breath You Take - YouTube


◆おまけ
以下のムービーは、原曲のデジタル処理ではなく、実際の演奏で長調を短調に変えてしまった例。知る人ぞ知る名バンド「XTC」の楽曲「Senses Working Over Time」を、これまた名バンド「マリリオン」がカバーした演奏では、どメジャーな原曲のメロディーをマリリオンのヴォーカル、スティーヴ・ホガースが愁いのあるマイナー調のメロディーに自動変換してしまっている様子を見ることができます。これぞ「ホガース節」と言えるフレーズに変換されており、まるでマリリオンの持ち曲のようにすら聞こえてしまう「破壊力」を示しています。

Marillion - Senses Working Over Time (Traducción al español) - YouTube


原曲はコレ。ホガースの歌もいいですが、やはりXTCのアンディ・パートリッジが歌う正確無比なメロディも非常に魅力的です。

XTC - Senses Working Overtime - YouTube

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