娘がiPhone Xのハンズオンムービーを投稿してしまったAppleのエンジニアが解雇される

YouTuberとして自身のチャンネルに複数のムービーを投稿してきたブルック・アメリア・ピーターソンさんが、自身の父親が開発に携わったという「iPhone X」のハンズオンムービーを公開しました。しかし、ムービーを公開したのがiPhone Xの発売前であり、Appleの秘密保持契約に違反する行為であったため、ピーターソンさんの父親はAppleでの職を失う羽目になってしまいます。

Apple sacks iPhone X engineer after daughter posts hands-on video to YouTube
http://appleinsider.com/articles/17/10/28/apple-sacks-iphone-x-engineer-after-daughter-posts-hands-on-video-to-youtube

Apple fires iPhone X engineer after daughter’s hands-on video goes viral - The Verge
https://www.theverge.com/2017/10/28/16565110/apple-engineer-iphone-x-youtube-video

問題となったムービーは、Appleの新社屋である「Apple Park」内にあるカフェのCaffe Macsで撮影されたもの。ムービーを撮影したのはもちろんピーターソンさんで、iPhone Xの発売前の段階でムービーはピーターソンさんのYouTubeチャンネルである「Brooke Amelia Peterson」に投稿されます。その後、Appleはムービーの存在に気付き削除を要請しますが、時既に遅しで、既にインターネット上では大きな話題になっていました。

ピーターソンさんがCaffe Macs内でiPhone Xを色々使ってみているムービーは以下のもの。ムービーの3分10秒辺りからiPhone Xが登場します。ムービーが公開されたのは2017年10月24日で、再生回数は既に40万回を超えています。特筆すべきはムービーの評価が約4000件あるのに、「低く評価」が約1500件もあるという点です。

IPHONE X and CAFE MACS - YouTube


記事作成時点でもピーターソンさんのYouTubeチャンネル上にムービーは存在しているのですが、その後の10月28日に「MY IPHONE X VIDEO WENT VIRAL(私のiPhone Xムービーが口コミで広がってしまった)」というムービーも公開しており、このムービーの中でピーターソンさんは自身の父親がAppleから解雇されてしまったことを語っています。

MY IPHONE X VIDEO WENT VIRAL - YouTube


ムービーによると、Appleは社内規則で写真・ムービー・デバイス機能の説明など、公式にリリースされていないハードウェアに関する情報を音声・写真・映像などで記録することを禁止しているそうです。当然ながら、ピーターソンさんの父親が娘にiPhone Xのムービーを撮影させてあげたことは、このAppleと社員との間でかわされる秘密保持契約に違反するもの。その結果、ピーターソンさんの父親はAppleでの職を失うこととなったわけです。

Appleの対処は厳しすぎるようにも思えますが、厳格な秘密保持契約は、Apple独自の技術を守るためだけでなく、社員の安全を確保するためのものでもあります。ピーターソンさんが公開したムービーにはApple社員専用の特別なQRコード付きiPhone Xが映り込んでおり、リリースされていないApple製品のコードネームのようなものも映り込んでいるとのこと。そもそもApple Park内での撮影は厳重に禁止されているため、発売前のiPhone Xを撮影するというのは明確なルール違反だそうです。

なお、解雇されたピーターソンさんの父親は、Appleでエンジニアとして働いており、iPhone XのRFおよびワイヤレス回路の設計に従事していたそうで、Appleでの勤務歴は約4年だそうです。なお、海外ニュースメディアのThe VergeはAppleに事実確認のための連絡を行ったそうですが、記事作成時点では返答がないとのこと。