世界一プレイされているゲーム「League of Legends」のプロの試合をじっくりと観戦してみた
「リーグ・オブ・レジェンド」は、日本にも公式のプロリーグがあり、プロプレーヤーが存在し、日本に来る海外の選手にアスリートビザが発行されたこともあるほど競技性が高く、eスポーツとして認められています。2017年9月23日より世界大会も行われており、その賞金は総額4億5600万円を超えるほど。その世界大会の様子がゲーム系動画配信サイトtwitchやYouTubeで配信されているので、"スポーツ観戦"してみました。
WCS 2017 Group Stage Day2 EDG vs SKT - YouTube
リーグ・オブ・レジェンドの基本的なルールは以下の記事を見ればよくわかります。
世界で1億人がプレイする大人気ゲーム「League of Legends」はどんなゲームなのか? - GIGAZINE
まずは試合前の様子が映し出されています。これはチーム「SK Telecom T1(SKT)」の5人。世界大会を何度も制覇している韓国の強豪です。
反対側の5人はチーム「EDward Gaming(EDG)」に所属する5人です。中国を代表するチームで、夏の中国リーグで優勝しています。
LoLの試合では実際の「プレイ」の前に、「ピック&バン」と呼ばれるフェイズが存在します。各プレイヤーはゲーム内で1体のキャラクター(LoLではこのキャラクターのことをチャンピオンと呼びます)を操作するのですが、130体以上いるチャンピオンのうちどのチャンピオンを操作するかを選択するフェイズです。序盤において強いチャンピオンや、序盤は弱いが終盤にかけて強くなっていくチャンピオン、相性がバツグンに良くて2体そろうと手が付けられないチャンピオンなど様々なチャンピオンがいますが、敵との相性や味方とのシナジー、自分たちのチームの戦略など色々な点を考慮して交互にチャンピオンを選択していきます。
チャンピオンが決まると、後ろのモニターに各プレイヤーが選択したチャンピオンが表示されました。SKTは終盤の5対5でぶつかる集団戦を見据えたチーム構成。
対するEDGは1対1や2対2といった少数戦に強いチャンピオン達を選択。序盤で相手を潰しきるという考えが見て取れます。
野球において守備位置が決まっているように、LoLにおいても各プレイヤーが担当するポジションが存在します。マップに3本あるレーンのうち、一番上のレーンに行くのが「トップ」。ジャングルの中立モンスターを狩る「ジャングラー」。真ん中のレーンを守る「ミッド」。一番下のレーンに行く「ボット」とその補助をする「サポート」の5つです。
「ピック&バン」が終わったらいよいよ対戦スタート。
「ボット」と「サポート」の2人は、自分たちの担当する一番下のレーンである「ボトムレーン」に行く前に、味方の「ジャングラー」が最初のモンスターを狩るのを手伝うというのがセオリーになっています。画像は青側チームのEDG。
赤側チームのSKTも同じようにジャングラーを手伝っています。こうすることで、味方のジャングラーが中立モンスターを早く狩ることができ、相手のジャングラーに対して先手を取れる可能性が高まるためです。
ミッドレーンの様子が映し出されました。それぞれのレーンにミニオンが進軍してくるので、そのミニオンを倒して経験値とお金をゲットします。お金を得るにはミニオンにとどめを刺さなければなりませんが、目の前には相手のミッドがいるので、いかに相手がとどめを刺すのを妨害し、それでいてどうすれば自分はうまくとどめを刺していけるのか、など駆け引きの連続です。
トップレーンでも駆け引きが行われます。今回の試合ではお互いのトップが近接チャンピオンを選択しているので、ミニオンを倒す時に接近せざるをえず、そのため激しい殴り合いが行われています。
そうこうしているうちにミッドレーンにEDGのジャングラーがやってきました。
移動スキルで壁を越え、SKTのミッドに2人で襲い掛かります。
「フラッシュ」という瞬間移動するスペルを使ってSKTのミッドはタワー下に逃げ込もうとしますが……
EDGのジャングラーも迷わずフラッシュで追撃。
見事「ファーストブラッド(最初のキル)」を得ることに成功しました。
ボットレーンにはお互いの「ボット」と「サポート」が来るので、2対2のレーンになります。ボットはミニオンへとどめを刺してお金を稼ぎ、サポートは相手を攻撃したりプレッシャーをかけたりして味方のボットがお金を稼ぐことに集中できるようにするのが役割です。
今度はSKTのジャングラーがEDGのボットとサポートに襲い掛かります。
後一歩でキルできるというところまで追いつめるものの……
EDGのサポートがスキルを使うタイミングがうまく、惜しくも逃げられてしまいました。
この試合は中国で行われているため、中国のチームであるEDGのファンが多く応援に来ています。そのためEDG側の上手いプレイが炸裂すると会場は大盛り上がり。多く掲げられている「Meiko」というのはEDGのサポートを担当するプレイヤーの名前です。
今度はEDGのジャングラーがまたしてもミッドに襲い掛かります。今度は惜しくもキルにはつながりませんでしたが、相手の体力を減らし、本拠地に帰ることを強制しました。本拠地に戻ると体力とマナは回復できますが、戻っている間は経験値もお金も得ることができないので不利になります。
画面下側に映っている青色チーム、EDGのジャングラーがSKT側の中立モンスターを狩ろうとしています。この青い中立モンスターは通称「青バフ」と呼ばれるモンスターで、とどめを刺したチャンピオンにマナ回復量を大幅に増加させるなどの戦いに役立つバフ(支援効果)を与えてくれます。バフがチャンピオンの足元に青色で表示されるので青バフと呼ばれています。画面上側の赤色チームのSKT側のジャングラーも青バフを取りに行こうとしますが……
EDGのチャンピオン達が集まってきたので断念しました。ここまでEDG側がかなり有利にゲームを進めていると言えそうです。
そのままEDGのチームメンバーはボットレーンに集まり、「そのままレーンにいればキルするぞ」というプレッシャーをかけてSKTのボットとサポートを本拠地に追い返します。
EDGのジャングラーがボットレーンにいるのが分かったので、SKTのジャングラーはEDG側のジャングルに侵入して相手の青バフを狩ります。本当はボットレーンの2人を助けたいところですが、相手が5人集まっているところに行って5対2を5対3にしても出来ることが少ないためやむを得ない選択肢です。
人数をかけたおかげでEDGはSKTのボットレーンにあるタワーを破壊することに成功しました。タワーを破壊するとかなりのゴールドが貰え、強い装備を買うことができるので一気に有利になります。
今度はEDGのトップがSKTのミッドに襲い掛かります。
戦いの最中にそれぞれのチームのメンバーがどんどん集まってきてなし崩し的に集団戦が始まります。
集団戦に勝ったのはEDG。攻撃的な姿勢でどんどん前に出ていき、3キルを獲得しました。
そのままミッドレーンのタワーも破壊します。
公式のツイッターに日本語実況解説を切り取ったものが載っていました。解説者によると「EDGは完璧な序盤の形が作り出せている」とのこと。
【#Worlds2017 Group Stage Day2】
— LJL公式アカウント (@Official_LJL) 2017年10月6日
序盤の流れを創るのはEDG!
美しいガンクからSKT Faker選手を落とし3キル獲得。そのままミッドタワーを破壊して、自分たちのペースに持ち込みます。https://t.co/cdt3Mf5X8H pic.twitter.com/0SJAsoeU5d
そのままミッドレーンの2本目のタワーまで破壊し、EDGが絶好調です。
しかしSKTもトップレーンのタワーを1本なんとか破壊しました。
SKTのトップも、スキを見せたEDGのトップをキルしようと食らいつきますが……
予想よりもEDGのメンバーが集合するのが早く、逆に倒されてしまいました。
EDGはそのままドラゴンを獲得します。ドラゴンを倒したチームにはゲーム終了まで続く永続バフが与えられます。
SKTもなんとか反撃の狼煙をあげようと、EDGのミッドを奇襲しますが……
フラッシュで上手くスキルをかわされてしまい、捕まえることができません。
しかもそのスキにトップのタワーを破壊されてしまいました。
そうこうしているうちに「バロン」を警戒しなければいけない時間になってきました。バロンとは画面左側に映っている龍のような中立モンスターで、非常に強く倒すのに時間がかかりますが、倒すと3分間とてつもなく強いバフをもらえます。
そのバロンの周りに敵が潜んでないかチェックしようとやってきたEDGのミッドをSKTの2人が待ち構えていました。
襲い掛かりますが、EDGのミッドの巧みなプレイで逃げられてしまいます。
ボットレーンにいた両チームのトップが「テレポート」というスペルを使って長距離をワープして合流し、集団戦が始まります。
長距離の追撃をこなし、EDGが3キルを獲得します。画面左下に会場が映っていますが、大歓声が聞こえてきます。
そのままバロンを獲得。一気に勝勢です。
バロンがくれるバフは味方のミニオンを強化してくれるのですが、このミニオン強化がタワーを攻略するときに非常に役に立ちます。タワーの攻撃を受けてもミニオンがなかなか死なないので、タワーを攻撃できるチャンスが多くなるためです。
タワーを守ろうとしたSKTのミッドをサクッとキル。
邪魔者を排除してからゆっくりタワーとインヒビターを破壊します。インヒビターは各レーンに1つずつあるのですが、それを破壊すると破壊したレーンに「スーパーミニオン」という強力なミニオンが召喚されるようになります。スーパーミニオンは通常のミニオンを薙ぎ払い、どんどん相手の本拠地へ進軍してくれます。
EDGは続いてトップレーンの第2タワーへ攻略目標を移しました。
SKTは敵のスーパーミニオンを処理するために一人が本拠地を守らなければなりません。
そのため、トップのタワーを守れるのは4人ということになってしまいますが、5対4では守れないほどの差がついてしまっています。仕方なくSKTはトップのタワーを明け渡しています。
つづいてEDGはボットレーンの第2タワーを攻略します。SKTもしばらくは守ろうとしますが……
スーパーミニオンが本拠地を攻め始めると誰かが本拠地の防衛に回らなければならなくなり、そうなると5人で攻めてくるEDGに対抗できません。仕方なくボットのタワーも明け渡します。
強力なバフをくれる「バロン」が再出現する時間が近づいてきたのでEDGは5人でバロンの出現地点へ向かいます。
そのタイミングでSKTが奇襲をかけます。ほぼ敗勢だったSKTが逆転するにはこのタイミングしかなかったのですが、集団戦を意識した構成とチャンピオン間の相性が良かったため、見事コンボがつながります。
瞬く間に敵を壊滅させました。大差で負けていたチームとはとても思えません。世界王者を何回も獲得しているだけあって、その底力はすさまじいものでした。
公式の解説者のコメントも「いや、おかしいでしょ」
【#Worlds2017 Group Stage Day2】
— LJL公式アカウント (@Official_LJL) 2017年10月6日
これが、SKT。https://t.co/cdt3Mf5X8H pic.twitter.com/qZxInMHewe
集団戦に勝ったSKTはそのままタワーを1本……
2本と破壊していきます。みるみるうちにお金の差が埋まっていきます。
そのままバロンも獲得。敗勢から一気に有利を得ました。
ミニオンを強化してくれるバロンバフのおかげで、さくっとボットレーンの第2タワーを破壊します。
そのままSKTが好調に進軍……と思いきや、SKTのジャングラーがボットレーンを離れたタイミングを見逃さず、EDGが仕掛けます。
相手の立ち位置の不備を突いたEDGが3キルを獲得。
復活していた敵のインヒビターを破壊し、再度スーパーミニオンが召喚される状態にします。
まだまだどっちが勝つか分からない……という状態ですが、ここでEDGのミッドが手痛いミス。茂みに不用意に近づいてしまい、そこに潜んでいたSKTのチームメンバーたちのスキルを食らってしまいます。
そのまま全員集まってきて集団戦へ。EDGがSKTのサポートをキルしたところまでは良かったのですが……
SKTのボットが終盤にかけて急激に強くなるチャンピオンを選択していたため、その攻撃で壊滅してしまいます。
集団戦に勝ったSKTは再びバロンを獲得。
強化されたミニオンの力でタワーを破壊します。
そのまま押せ押せの姿勢でインヒビターも破壊しました。SKT勝勢です。
3分が経過しSKTのバロンバフは無くなりましたが、EDGは終盤あまり力を発揮できないチャンピオンが多く、SKTの攻勢になすすべがありません。
ここが最後のチャンスとみてEDGから集団戦を仕掛けますが……
集団戦に強いチャンピオンがそろっているSKTを止めることはできません。
そのままネクサスを破壊し、SKTが見事逆転勝利を納めました。
【#Worlds2017 Group Stage Day2】
— LJL公式アカウント (@Official_LJL) 2017年10月6日
序盤の10K差、一つの集団戦で逆転を成功させたのはSKT!
苦しい状況から好転、見事ネクサスを破壊していきます。GGWPhttps://t.co/cdt3Mf5X8H pic.twitter.com/YleEjR9Ks8
2017年10月26日時点では世界大会も残り準決勝と決勝のみとなっています。試合の様子はゲーム系動画配信サイトtwitchやYouTubeで生中継されるほか、YouTubeのLoLeSportsJPチャンネルに過去の動画が残っており、いつでも視聴できるようになっています。生中継の日程はLJLの公式ページに記載のとおりとなっています。
・関連記事
eスポーツがオリンピック競技となっても暴力的なタイトルは除外される - GIGAZINE
白昼夢を見るのは「脳の能力が高すぎる」ためで、注意散漫になるのもそのせいかもしれない - GIGAZINE
「ゲームで教育に革命を起こす」という壮大なテーマを掲げる企業Triseumとは? - GIGAZINE
・関連コンテンツ