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3Dプリンター製のiPhoneより安価なドローンが海兵隊によって製造される


ここ数年で急激にテクノロジーが発達したものの例として「ドローン」、そして「3Dプリント技術」が挙げられます。ドローンに関しては民間での使用についての早急な法整備が求められているところですが、軍での使用についてもセキュリティ上の問題からDJIのドローンの使用が禁止されるなど、問題が起こっています。そんな中、アメリカ海兵隊の次世代ロジティクスチーム「NexLog」は、より安価で使い勝手のいいドローンを作成すべく、「3Dプリントで出力したドローンを実戦に投入する」という試みを行っています。

The Marine Corps wants to 3D print cheaper drones | Popular Science
http://www.popsci.com/marine-corps-3d-printed-drones


これまで、アメリカ海兵隊ではイラクやアフガニスタンで偵察用のドローン「RQ-11 Raven」を投入してきました。Ravenは、まるで槍を投げるかのように空中に送り出すタイプのドローン。うまく投げることができれば時速80kmものスピードを出すことが可能で、上空約9.7kmにまで上昇します。カメラが搭載されているため、周囲の状況を把握し地上のオペレータ-まで常にフィードバックを送ることが可能ですが、問題はコストがかなり高くつくということ。全長4.5フィート(約140cm)、重さ4ポンド(約1.8kg)のRaven1機あたりのコストは3万ドル(約330万円)ですが、空中に送り出すことに失敗すると墜落して壊れてしまう可能性があります。また、地上からコントロールするシステムを含んだ全体のコストは25万ドル(約2800万円)になるとのことです。加えて、Ravenの折れた翼を修復するコストは翼1つあたり8000ドル(約90万円)だったとのこと。

また、Ravenの輸送にはトラックが使われますが、トラック内にはスーツや水、燃料など荷物が詰め込まれており、その上で武器を持って兵士たちが搭乗します。Ravenは移動の際にペリカンのケースに入れて持ち込む必要がありましたが、荷物や人でいっぱいになっているトラックに、大きなケースを載せる余裕がないという問題もありました。


輸送トラックの中で邪魔になること、修理の費用が高額であること、そして壊れた時には修理について文書を書く必要があり書類仕事が増えることから、多くの部隊はRavenの使用を嫌がっていたそうです。

そこで、海兵隊の伍長であるRhet McNeal氏は、3Dプリンティングおよびウェアラブルテクノロジーについてのプロジェクトを行う「LOGISTICS INNOVATION CHALLENGES」でドローンに関する提案を行いました。McNeal氏の提案したドローンはRavenと同様の働きを行うものの、コストを大幅に削減し、持ち運びの際に場所を取らないというもの。McNeal氏は3Dモデルのクラウドソーシングライブラリ「Thingiverse」で簡単に翼の修復ができるドローン「Nomad design」を発見し、これを海兵隊用のドローンに転用することを決めました。Nomad designはクリエイティブ・コモンズ・ライセンスであり、GoPro・モーターを搭載したモジュール式のドローン。モジュール式であるということはすなわち、損傷を受けたパーツを簡単に出力可能で、必要な時に応じて分解・組み立てが行えるということを意味していました。

Nomad, an FPV/UAV 3D printed airplane. by CaptainObvious - Thingiverse
https://www.thingiverse.com/thing:272478


McNeal氏が改変を加えたNomad designは、2016年のLOGISTICS INNOVATION CHALLENGESで優勝した20のアイデアのうちの1つに選ばれました。そして2017年2月からアメリカ海兵隊はAutodeskのPier 9 Residency Programと協力し、「Scout」と呼ばれる3Dプリンターで出力する新しいドローンのプロトタイプを完成させました。


McNeal氏によると、Scoutのコストはシステム全体で見ても615ドル(約6万8000円)ほど。また、Ravenは翼が1つ折れただけで約90万円近い修理費がかかっていましたが、Scoutの場合は8ドル(約890円)で済むそうです。ただしRavenに比べると機能や能力が制限されていて、操作可能範囲は半径2マイル(約3.2km)以下、最大速度は時速80kmとRavenと同じですが、飛行可能時間は12分から20分となっています。ターゲットをマークするためのレーザーはなく、カメラは赤外線に対応していません。しかし、オープンソースのコントローラーとソフトウェアを使ったScoutはコスト面でのアドバンテージが大きく、実戦における偵察で投入される予定となっています。


一方で、2017年8月に「サイバーセキュリティ上のリスクや脆弱性がある」ということを理由に、米軍においてDJIドローンを使用することが禁止されましたが、既製品を使用するMcNeal氏のドローンも同様のリスクがあるものと見られています。ただし、操作の範囲が狭いことや、必要最低限のコントロールに留まることから、Scoutを3Dプリントのプロトタイプから前進させることのリスクは非常に小さいという見方もあります。NexLogのChristopher Wood氏は「私たちは完璧な答えを持ちませんし、今後しばらくは状況は同じでしょう。ドローンに関する技術は急速に進化しており、次に何が起こるのかの予測は難しくなっています。私たちは、自分たちが使用するテクノロジーのリスクを受け止め、理解する必要があると考えています」と語りました。

なお、アメリカ海兵隊には固定施設としてのメーカー・ラボがカリフォルニアやバージニアに3つ存在するほか、3Dプリンティングに関する技術からRaspberry PiやArduinoを組み立てる技術をトレーニングするWood氏の「モバイルラボ」が存在するとのこと。これらの技術を駆使して、実戦を想定した練習用のドローンを3Dプリンターで出力して使ったり、訓練に必要な軍需品のレプリカを作って役立てているそうです。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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