どのくらい視線を合わせているとアイコンタクトが不快に感じるようになるのか?
By Luca Campioni
視線と視線を合わせる「アイコンタクト」はコミュニケーションの基本であり、会話をする際の基本的なルールと見なされています。そんなアイコンタクトにとって「適切な長さ」は存在するのか、存在するならどれくらいの時間目を合わせておくことが適切なのかについての研究結果が公表されています。
Gaze preference and pupil response | Open Science
http://rsos.royalsocietypublishing.org/content/3/7/160086
Video: How long can you make eye contact before things start to get uncomfortable? | Science | AAAS
http://www.sciencemag.org/news/2016/07/video-how-long-can-you-make-eye-contact-things-start-get-uncomfortable
オープンアクセスジャーナルのひとつであるROYAL SOCIETY OPEN SCIENCE上で発表された「Pupil dilation as an index of preferred mutual gaze duration」という研究で、アイコンタクトにとって適切な長さが調査されました。研究では498人のボランティアに対してスクリーン上で視線を合わせてくる俳優のムービーを見せ、その視線が不快になってきたタイミングでボタンを押してもらうことで、「アイコンタクトが不快になるタイミングを探る」という実験が行われました。
実験ではボタンを押すタイミングの他に、ボランティアの視線の動きや瞳孔の拡張などが視線追跡技術を駆使して記録されています。
以下のムービーは実際に実験で使用されたもので、SHORTが約1秒、MEDIUMが約3秒、LONGが約8秒で視線を外しています。どのタイミングで視線が不快になってくるか実際に試してみることが可能です。
How long can you make eye contact before things start to get uncomfortable? - YouTube
アイコンタクトの理想的な時間は人によって異なりますが、被験者の瞳孔がどれくらい急速に広がったかを見ることは、「人々がどのくらいの時間アイコンタクトをしていたいかを測る良い指標になる」と研究者は語っています。瞳孔の拡張は人が反射的に別のものを見た際に起きるものであり、これが起きる前に視線を外すのがちょうど良いアイコンタクトの時間であるというわけ。実際、実験では人間の目で確認するにはあまりにも小さな変化である瞳孔拡張をしっかりと捉えるため、視線追跡ソフトウェアを駆使しています。
以下のグラフは「PGD(好ましいアイコンタクト時間)」の人口分布を記したもの。実験によるとアイコンタクトが不快になってくるタイミングは平均3.3秒で、人によってプラスマイナス0.7秒程の誤差があるとのこと。
長すぎても短すぎても不快に感じられる可能性のあるアイコンタクトですが、目を見ることを意識しすぎて見つめすぎても不快に感じられてしまうということで、適度に視線を外しながらコミュニケーションをとることが大事なようです。
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