長時間労働が心臓疾患を発症させる可能性を調査した10年間の研究結果
By tiny_packages
約8万5000人を対象にした10年間にわたる長期研究の結果、週に55時間以上働く人は心房細動などの心疾患を発症する可能性が高くなることがわかりました。
Long working hours as a risk factor for atrial fibrillation: a multi-cohort study | European Heart Journal | Oxford Academic
https://academic.oup.com/eurheartj/article/doi/10.1093/eurheartj/ehx324/3958185/Long-working-hours-as-a-risk-factor-for-atrial
Long working days can cause heart problems, study says | Science | The Guardian
https://www.theguardian.com/science/2017/jul/14/long-working-days-can-cause-heart-problems-study-says
ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン疫学部のミカ・キビマキ教授率いる対照研究が、学術誌European Heart Journalに掲載されました。キビマキ氏は8万5494人の健康な中年の男女をイギリス・デンマーク・スウェーデン・フィンランドから集め、それぞれの労働形態を分析しました。参加者は労働時間によってグループ分けされ、週に35~40時間の労働時間を持つグループが対照群に指定されました。
10年間の経過観察で、この対照群では1000人あたり12.4人が心房細動を発症した一方で、週に55時間以上働く人の中で心房細動を発症したのは1000人あたり17.6人と、平均よりわずかに高い傾向が現れました。
さらに長時間労働のグループは、平均より体重・血圧・喫煙量・アルコール消費量が多いことも判明。これらの要因を考慮した上で、研究チームは長時間労働は心房細動に紐付いていると結論づけています。ただし、キビマキ氏は「健康な人が心房細動を患う可能性は非常に低いのですが、長時間労働者のリスクはその1.4倍になるだけで、それほど大きな変化というわけではありません」と説明しています。
By Mysha Islam
なお、この研究では参加者に「労働時間」だけを尋ねたため、10年間の間で参加者の働き方がどのように変わったのかは追跡していません。そのため、「どの職種が最も心房細動になりやすいか」といったデータはとれていないとのことです。
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