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Wikipedia創設者ジミー・ウェールズがフェイクニュースと戦う「Wikitribune」を立ち上げる


偽のニュース(フェイクニュース)の存在がアメリカのドナルド・トランプ大統領誕生に影響を与えたと指摘されるなど、近年、インターネットの世界に存在するフェイクニュースの悪影響が問題視されています。フェイクニュースを撲滅し、質の高いニュースをインターネットで提供するために、Wikipediaの共同創始者として知られるジミー・ウェールズ氏が、専門家と公衆によってニュース記事を作り上げる、広告収入に頼らない新しいニュースサイト「Wikitribune」を立ち上げました。

Wikitribune – Evidence-based journalism
https://www.wikitribune.com/

プロ(専門家)と素人(公衆)によるハイブリッドなニュースサイト「Wikitribune」の仕組みについては以下のムービーで解説されています。

Wikitribune Campaign - YouTube


「ニュースは壊された」


そう語るのはWikipedia創始者のジミー・ウェールズ氏。インターネットの登場によって、ニュースの世界は変容したとウェールズ氏は話します。


インターネットが登場するまでは、人々は新聞などからニュースを得ていました。


そこには新聞社の記者がいます。


さらに編集者……


校正


さまざまな人のチェックが入ることで、記事の質と真実性が保たれてきました。


人々はこれらの仕事に価値を認めてお金を払ってきたのです。


「しかしすべてが変わってしまった」と話すウェールズ氏。


原因は、インターネットで提供されるニュースの存在。


人々はインターネットでニュースを読むようになりました。


インターネットで提供されるニュースのほとんどが「無料」


広告収入によってインターネットニュースは成り立っています。


そのため、広告があふれることに。


無料で記事を提供するため、ニュース配信者は広告などにお金を求めるざるを得ません。


「これこそが問題だ」と語るウェールズ氏は、インターネットニュースの構造に問題があると考えています。


広告収入に頼るニュース配信者は、ページビュー(PV)を増やすことで収益を上げることができます。


ページビューを追い求めると、記事の内容が真実であるかどうかよりもPVが増えるかどうかにニュース配信者の視点が移ってしまいがちに。


時には「炎上」すら収益アップの手段として利用されます。PV至上主義の前には真実性は二の次になるというわけです。


さらに、インターネットニュースにはソーシャルメディアが大きな影響を及ぼします。


ソーシャルメディアによって記事が拡散しPVが増えるという構造。


つまり、ニュース配信者は、より多くの人に拡散され多くの人の目に触れることだけを求めてしまいます。


もっともっと……


PVを追い続ける以上、PVさえ稼げれば「真実ではなくとも良い」という考えが出ても仕方がないというわけです。さらに、記事の内容が真実かどうかをチェックするコストはバカにならず、真実性を追求しないことが収益性を高めることになるという構造も、偽のニュースがはびこる原因にもなっています。


「真実性を担保するゲートキーパーがいないインターネットの世界に嘘のニュース(フェイクニュース)があふれる構造を変えなければいけません」


フェイクニュースを排除し、高い品質の記事が生み出されるためにウェールズ氏が立ち上げた仕組みが「Wikitrebune」です。


Wikitrebuneは新しい構造を取り入れたニュースサイト。


Wikitribuneは専門的な知識と経験を持つジャーナリストが記事を書きます。


しかし、インターネットに参加する人の手で作り出していくというWikiシステムも取り入れているのが特徴です。


ジャーナリストが記事を書き、それを読む人全員で記事をチェックし改良できるという、プロと素人(公衆)によるハイブリッドシステムがWikitribuneの最大の特長。


支援するのは読み手です。


記事にはペイウォールがなくすべての内容を誰でも読めます。


そして、読み手はだれでも記事に注釈をつけられます。


ジャーナリストが書いた記事を……


読み手は記事に書かれた文章のソースをチェックすることで、事実確認をしたり真実性を確かめたりすることが可能。


さらに、内容に疑問があれば意見を出し、それを皆で議論し記事を改良していくことが可能。ウェールズ氏は「プロが書く記事にも間違いはあり得る、完璧な記事はない」という考えを前提に、記事を読み手が改良することで、より真実に近づき品質が高まると考えているわけです。


Wikitribuneには広告表示はありません。


専門的なジャーナリストが記事を書きます。


「支援し改良するのは読み手であるあなたです」


「ボランティアでありサポーターであるのは『あなた』です」


ウェールズ氏が立ち上げたWikitribuneは、プロのジャーナリストと素人の公衆が、共同作業によって真実性のある記事を作り上げていくという試みです。


Wikitribuneではまず各分野のジャーナリスト10人を雇うための寄付を求めており、Wikitribuneコミュニティに参加すると、デフォルトでは月額10ドル(約1100円)の寄付を行う設定になっていますが、寄付する金額は寄付する人が自由に設定できます。

Become a Supporter – Wikitribune


インターネットで閲覧する全員で記事を作っていくというWikipediaの手法を取り入れたクラウドソーシングのニュースサイトとしてすでにWikiNewsがありますが、WikiNewsは完全なボランティアによって維持されるという構造上、記事の数とクオリティを高いレベルで維持するのが難しいという面がありました。Wikitribuneは寄付によってジャーナリストに記事を書いてもらい、それを公衆がよりよく改良していくというハイブリッド構想です。広告収入に一切頼らず、寄付と公衆の目によって質の高い記事を生み出すという新しいインターネットニュースの形を目指すWikiNewsがフェイクニュースを撲滅することができるのか、大いに注目を集めそうです。

・おまけ
インターネット検索最大手のGoogleも、フェイクニュース排除に力を入れ始めています。

Our latest quality improvements for Search
https://blog.google/products/search/our-latest-quality-improvements-search/

Googleは、検索ランキングにおいてもフェイクニュース撲滅の視点から、記事の真実性をランキングに反映させる方針を公式ブログで明らかにしており、すでに読み手に記事の信憑性を含めて評価してもらい、フィードバックを検索ランキングに反映させるシステムをテストしています。


広告収入に頼らず真実性を公衆の手で実現するというWikitribuneと広告収入がベースであるものの真実性の低いサイトの収入源を絶つことで真実性を高めるというGoogleでは手法こそ違いますが、インターネットニュースにおいてフェイクニュースを撲滅するという目的の点では一致しており、今後、よりインターネットニュースの質が高まることが期待できそうです。

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